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女商人は幕末から歴史を変える  作者: ネムノキ
女商人は明治でも歴史を変える
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2

 再開発中の足尾銅山や関東北部でゴロゴロと見つかった鉱山を活かすには、海まで運ばなければならない。この時代の物流の中心は海運なのだ。

 そのためには、鉄道を江戸湾まで敷く必要がある。その予算の確保方法や敷く場所などを政府と話し合う中、予想していなかった人物が私を訪ねてきた。

「板垣退助と申す」

 えーっと、去年だったかに、国会創って、国民に開かれた国家運営をしよう、って言ってた人だよね? あと、土佐で『愛国社』って政治団体を創立したって新聞で読んだよ。なかなか頑張ってるみたいだね。

「自由民権運動の大先生にそう言って頂けるとは!」

 えっ泣くほど!? と言うか自由民権運動の大先生って何!?

 ……詳しく話を聞いたところ、私の会社である『奥州屋』が、出世や雇用に身分や出自、性別や信仰に国籍を問わなかったり、保険制度を整備していざという時社員を守れるようにしたり、社内教育を推進し場合によっては学校に無償の奨学金を出して通わせたり、毎年度末社員一同に決算報告書を配布したり、現場の意見を反映出来るシステムを創っていたりと滅茶苦茶やっているのが、退助やその仲間の目には自由民権運動を体現しているように移ったらしい。いやこれ社員に投資してるだけ、って……、何か似たようなことあったなあ。

「『混合経済論』も読み申した!」

 ……あー。マルクスと手紙のやり取りしてて、『共著にしても良いか?』と言われた本。あれ文書自体はマルクスが書いたんだよなあ。理論は私が手紙に書いたんだけど。去年の暮れに手元に届いたんだけど、胸にこみ上げるものがあったなあ。

 ありがとね。で、私に会いに来たのは何でかな?

「共に憲法を考えて頂きたく!」

 それは無理。

「何故!?」

 いやだって、私実業家。私が書いてもいいけど、それは政府との癒着になりかねないよ?

「それは、そうだが……」

 ただでさえ政府の要請で動き回ってるんだから、それは良くないよ。

「むう……」

 ま、助言位ならするから、自分らで頑張れ。

「……分かり申した」

 退助はとぼとぼと帰って行った。


 この後も似たようなお願いに来る人が度々訪れ、文通仲間が次々と増えていった。

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