刀狩
「ぐはっ貴様赦さんぞぉ!」
そして、そう言い残し、血を空を切るように吹き出しながら倒れる。
ドサッと倒れると既に目には生の力は既に失っていた。
それを見届けるとサッと血を拭き取り、刀を納める。
そして、去り際に刀を奪い、一言
「妖刀に魂を奪われたものよ還れ」
そう言い残すと、霧のなかに包まれるように立ち去るのであった。
あとに照らす月夜には倒れた男の姿は光の粒となって消えた。
「おっ帰ってきたか遅いぞ、霧雨」
「遅くなってすまない……」
サッと言うと、霧雨と呼ばれた男は刀を渡すのである。
「今日、狩ってきた妖刀だ」
「おぉでかしたぞ!霧雨」
猫耳に巫女のような格好をした少女はよくやったと霧雨の肩を激しく叩く。
「痛いんだが」
「まぁいいじゃないか霧雨~」
そう言って猫のようにじゃれる猫娘に霧雨はむっと不機嫌そうな顔をする。
「これでいいだろう、早く聖霊をくれ」
「ムッ愛想のないやつ」
猫娘はムッと頬を含ますが、霧雨の言われた通りに聖霊と呼ばれた淡く輝く光が入ったであろう袋を渡す。
「また、来る」
「ありがとうもなしですか!プー」
言葉足らずに別れの言葉を言うと猫娘のいた神社の祠をでる。
竹林に囲まれた道をすたすたと歩く霧雨。
雨が降ったのが止んだのか、霧が霧雨の周りを包んでいた。
普通の人ならば霧を恐れる、もしくは不気味に感じるが霧雨にとっては名前もさることながら、心地の良いものを感じた。
ついでに安心させるものを感じさせた。
深い霧に包まれながら霧雨は思う。
闇夜を照らす光輝く霧は命を奪ってきた者達を灯す鎮魂歌、これからも奪っていくのだろう。
既に父と母は悪しき妖刀により殺された。
今も、命を奪い続けてる妖刀は存在するのだろう。
だから、これからも霧雨は殺し続ける、刀と共にその所有者も……
だから彼を刀狩と呼び忌み嫌う、当然遺族は恨むのだろう。
でも、霧雨はそれでもめげない、敵を退くためには同じくそれに対する悪が必要だから。
霧雨は悪しき妖刀の悪になる。
善だけではそれは倒せないそれを知ってるから、霧雨は先程渡された袋を飲み下す。
力が身体中を伝わらせる。
また一段と強くなった気がするのであった。
これで、今日も刀狩に明け暮れる。
そんな彼に休みなんてないのだ。
悪しき妖刀を倒すためにも……