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リカーナの学園生活  作者: 中沢 文人
1学期
46/47

手加減とおじいちゃんと隠し子

龍種人類統一法会議で裁かれる龍の中で一番多いのは博位龍か貴位龍の男龍か子龍で、龍のなかでも権力を着け始めた龍達です。こう、下手にプライドも着けちゃったとか、そういうので。自分は偉い!だから正しいよね?ってなもんで、こうして人の話を聞かないということがよくあるのです。まぁ龍種人類統一法会議のトップは龍種最高権力を持つパパで、同じ位にアドお兄ちゃんとキュリスお姉ちゃん、ミレイユお姉ちゃんが居て、裁判で言うと最高裁判官を務めてます。

だからって龍種に偏った見方をするわけではないです。パパもアドお兄ちゃんもキュリスお姉ちゃんもミレイユお姉ちゃんも、人類に深く関わっていて法というものをよく理解しています。パパはともかく、アドお兄ちゃんとキュリスお姉ちゃんはむしろ法を作る人ですし、ミレイユお姉ちゃんは法を使う人でした。パパはずっと法に生きてきましたから、公正な視点で龍種も人類も裁きます。

しかしそれを『トップが最高位龍種だから龍種が有利』と勘違いする龍種が後を絶ちません。それはおそらく、目の前の貴位龍のご夫妻も一緒でしょう。

目の前のご夫妻が揃って強大な魔法を使う準備をします。そして人類はそれに抵抗してはいけないのです。なぜか。それは、龍種がもつ『手加減』という権限でこちらは攻撃を受けても怪我を負わず、強烈な眠気に襲われるように気力がごっそり減るだけだからです。しかし攻撃に抵抗してしまうと次が起こってしまいます。『手加減』という権限は一度だけの攻撃にしか効果が及ばないからです。なので防御もしてはいけません。まぁ実際のところ抵抗してもいいのですが、私はパパの娘。最高裁判官の娘で、そんな私を裁かなかったら身内だからとかなんだかんだ言って騒ぎ立てる人、龍が絶対いて、パパの立場が悪くなってしまいます。なので抵抗ができません。

どうしたもんかなぁと本気で悩みました。しかし、唐突に空から、ズドンと。ちょうどご夫妻の鼻先へと落ちてきました。


「ぬおう…やはり着地がキツいな、まだこの体に慣れとらん証拠か」


そこに落ちてきたのは、香奈が好きな白髪の、いい感じに経験を積んだような皺を顔に刻んだ、しっぶい声をしたおじいちゃんでした。一目でドキンと心が高鳴って、トクトクとスピードを上げていきます。こ、これが一目惚れというやつ!?


「カーナ?」


ルーシャの呼び掛けで現実に戻ってこれました。助けが入ったとしても、状況は更に悪くなる一方です。むしろ、このおじいちゃんを巻き込んでしまいます。ここは逃げてもらうしかありません。


「逃げて!」

「心配には及ばん」


と、おじいちゃんは香奈達を背にしてご夫妻の全力を一身に受けてしまいました。ああ、だめ!!と手を伸ばしましたが、そのおじいちゃんの気配が消えてません。どういうことかと目を凝らして見てみると、信じられないことにそのおじいちゃんは無傷で立っていたのです。


『貴様、仲間か!!』

『仲間だというのならもろとも』


と、もう一度攻撃体勢にはいるご夫妻。しかしおじいちゃんはそれを気にせず、服を少しはだけさせると右肩に刻印されたそれを見せつけました。それは効果絶大で、ご夫妻の顔を青ざめさせるほどでした。


「貴様ら、これを見てもまだやるというか?」

『なっ、それは!?』

『まさか!!』


それの正体。それは、龍種人類統一法会議の査問官である証。しかもおじいちゃんのはその上、査問官を纏める選ばれた人だけのものでした。

しかしそれを見てもご夫婦は退きません。


『我らは無罪だ!』

『そこの人類が我らの縄張りに入り、さらには我らが子を誑かして連れ去ろうと』

「まさか貴様ら、ここがどこだか知らないわけではあるまいな?」

『くっ…』


そう、ここはアドお兄ちゃんの縄張り。人類風に言えば、アドお兄ちゃんの私有地です。そこを勝手に自分の私有地にして勝手に子作りして、それで追いたてられれば逆上するのは完全に筋違い。しかしこのおじいちゃん、ただ責めるだけではないようです。


「このまま法会議に突きだしてもいいんだがな?」

『そ、それはっ』

「だが貴様らのその可愛い子に免じて、此度は見逃してやる。して、貴様ら」

『『はっ』』

「子を連れて儂と来る気はないか?」

『『はっ?』』

「良い場所があるのだ。そこで安心して子を育めるというものだろう。仲間もおるぞ。ママ友とやらもできるのではなかろうか」


龍種の子育てを斡旋とは、流石の香奈も予想外です。


「このままこの地の主に怯えて子育てするよりも、のびのびと子育てするほうがよかろう。…それとも、その子を歪ませたいか?」

『い、いや』

『良い場所があるというなら、是非とも』

「良し、いいだろう。ついてくるがいい」


と、おじいちゃんは飛び去ろうします。しかし、こんなおじいちゃんを放っておく香奈ではありません。


「あ、あの!助けてくれてありがとうございます!」

「構わん。ここらに儂の孫がいると聞いてな、通りかかっただけだ」

「よかったら、名前を聞いても?」

「黒藤徹也。それでは、また機会があったらな」


と、おじいちゃんは軽く地を蹴って飛んで行ってしまったのでした。


「何者だ?あの老人。我をして、隙を見つけられなかった」


ぐぬぬと呻くレギアスちゃん。そして珍しいことに、ルーシャがレギアスちゃんに同意しました。


「ええ。勝てるビジョンが全く浮かばなかったわ。お父さん相手でも手を加えれば少しは勝てる気がするのに、あれはそう…最高位龍種を相手にしているような」


レギアスちゃんの言葉でそういえばそうだな~くらいにしか思わなかった香奈だけど、ルーシャの言葉にもしやという思いが出てきました。

最近パパは力を蓄えて、全盛期の8割は力を取り戻しています。お兄ちゃんお姉ちゃん達からそれぞれ1割ずつ、自分で生み出す力で1割で合計8割。その自分で生み出す力をパパは新しい最高位龍種にしたんじゃないかと、そう思えました。早く戻ってパパに確認しないといけません。

と、ちょうどそこでルーシャの転移門が開きました。私は一目散に飛んで入って、パパを見つけ出して問い詰めます。


「パパ、隠し子いるでしょ!!」

「えっ、香奈、何を言って?」

「ふーん?その話、詳しく聞かせてくれないかな?」


だらだらと汗をかくパパ。やっぱり隠し子がいるんだ!

ママの笑顔が笑顔なのに怖いですが、構わず香奈はパパに問い詰めます。


「さっきルーシャでも勝てる気がしないっていう人に会ったの!」

「本当か?あのルーシャがか?」


ふむ、と考え込むパパ。しばらくしてなにか思い至ることがあったのか、ああ!と声を上げて言いました。


「その人、自分のこと儂とか言ってなかったか?」

「言ってた」

「たぶん香奈が会ったの、白髪のおじいちゃんだろ?声がしっぶい快活なおじいちゃん」

「そうそう!」


香奈が言ってる人と、パパが思い描く人が繋がったようです。それにパパはホッとしたようで、香奈に、そして笑顔が怖いママに説明するように語ります。


「その人の名前は黒藤徹也。まぁ、俺の子どもとも呼べ…近い近い沙梛さん近いなんかこれ沙梛が生まれた時もあったよな」

「ふん…そりゃ、転生したと思ったら実はすっごい時間経ってて、しかも夫に知らない子どもが出来てたってなったら怒るでしょ普通。で?今度はどんな事情があった子どもなの?」


いじけたようなママがすぐに立て直して聞きます。これが世に言う正妻の余裕というやつでしょうか。

しかしパパはなんとも言いづらそうな顔です。それに怪訝な顔を向けるママ。


「それがなんかな…知らないうちに出来てたというか、でも実は知ってるというか、勝手に出来てたというか」

「それ、浮気した夫がヘマって子どもが出来ちゃって言い寄られたときの言い訳のやつだって、わかってる?」

「はい…でも本当にこう言うしかないんだよ」

「言ってみ?どういうことか」

「言いづらいんだが…いいか?」


完全に香奈を置いて二人の世界に入ってますが、まぁ香奈も聞いてます。ことの発端は香奈ですし。


「沙梛は平行世界ってのはもちろん信じてるよな?」

「だって、私達がもうそんな存在でしょ?多次元存在」

「そう。徹也はな、俺のその平行世界の子どもなんだ。しかも俺より年上っていう」

「どういうこと?」

「沙梛は考えたことあるか?もし俺たちが結婚してなかったらって」

「最近は考えたことないけど…転生前ならあるかな」

「徹也はその、俺たちが結婚しなかった世界の俺の子どもなんだ」

「つまり、私とは別の奥さんとの子どもってこと?」

「いや、どうやら養子みたいなんだよな。聞くところによると、俺は生涯誰とも結ばれなかったらしい」

「そう…そっか」


ママが少しだけ嬉しそうです。ですが、まだパパより年上ということの意味が分かってません。3000年以上生きているパパより年上か、はたまた転生前のパパより年上か。


「沙梛と結ばれない、つまり同居しない。ということは新しく居を構えない。イコール俺らがこうして転生した条件である『世界を救う功績を残す人物を救わない』。そして香奈がいないから俺らはあそこで死なない。ということで俺はあの世界で生き続けることになる。そこで生後すぐかな。の、徹也を拾ったっぽいんだ。それでその世界で大きめの会社立ち上げてさ、徹也育てて、徹也に跡を継がせたあと老衰で俺死んだっぽいんよ」

「へぇ、結婚しなかったらそんなことが」

「うん。俺も驚いた。それでね、まぁいろんなことがあってそのあと、なんか地球がヤバいことになるみたいでさ。ほら、あっちの瑠璃也が、俺の代わりに世界を救ったって話」

「ああ、翠沙ちゃんが言ってた?世界を何回も繰り返したってやつ」

「そうそう。それで徹也、俺の何万倍も年いってるみたいで。一応その世界の俺の記憶はインプットしたけど、それでも俺何十年しか生きてないわけじゃん?今の俺と合計しても四千年もないわけじゃん?そんな年齢で、何億年も年くった息子に父さん言われてもな…」


まさかの今のパパよりも年上でした。なるほど、それであの渋さが!と香奈は納得します。


「それで子どもと、いまのラピスより年上なのは分かったけどルーシャちゃんが勝てる気がしないって言ったのは?」

「徹也な、その世界でずっと戦ってたみたいなんよ。何十億年と、ずっと。それがこの世界に来て昇華しちゃったみたいでさ。たぶん、戦神と呼ばれるくらいは存在値あるんじゃない?繰り返した世界だからって功績がないから神格もらえないだけで。これもたぶんだけど、いま本気の(・・・)俺と徹也が戦ったら俺勝てないんじゃないかな?」

「そ、そんな!?」


まさか!と香奈も驚きます。パパはそのドジによって最高位の戦神との戦いでも、その戦神の権能、『約束されし勝利』という運命を書き換えて勝つのです。そのドジを危険視した天界を一度敵に回すほど。そんなパパでも勝てないとなると、徹也さんってどんだけ規格外なの!?と驚いてしまいます。


「徹也の権能がさ、ほら、あのドラグハートのおっちゃん。あれの権能バージョンでさ」

「な、なるほど…それは勝てないわね」


ドラグハートというのは竜種最強の竜で、パパとアヴお兄ちゃんが昔からお世話になってる竜です。その権限は『反射』。しかも上位権限なため龍種にも効くその権限は、自分にかかる全ての効果を反射するというもの。竜の癖に生意気だと襲いかかった龍を百体抜きした伝説はいまも更新され続けています。本来ならパパはそのドラグハートさんに龍種人類統一法会議のトップを任せるつもりだったけど、『儂は竜のことしかしらんでのぅ』といって断られたそう。そんなドラグハートさんの上位版と言える徹也さんは、それはもう規格外でしょう。

輪廻月で竜也のキャラが固まったので物語がやっと進みました!長らくお待たせして申し訳ないです

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