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リカーナの学園生活  作者: 中沢 文人
1学期
44/47

無知は幸せとやーたん

「よし、着いた!」


時刻は11:25分。現在地は龍霊山の花畑で、登山を終えたあとです。スレイン君やコーニス君、ティアちゃん等はともかく、アルケミアちゃんやエルシリアちゃんは貴族だからか歩き慣れていなく、少し息が上がっています。しかし、一面を覆い尽くすほどの数の色とりどりの花が咲き乱れ、アルケミアちゃんとエルシリアちゃんも荒く息をしながらもこの光景に見入っている様子。このあとは昼食をとり、しばらく休憩してから少し歩いて目的地まで行く予定です。


「みんな、今日のお昼は大きめのお弁当箱に入れてきたから、みんなで集まって食べましょうね。」


ママがそう言い、皆が思い思いに座ってもなお余るほどのレジャーシートを広げたところにお弁当を出しました。お弁当の中身は蓋を開けるまで時が止まっており、出来立てと同じお弁当が食べられるようにしてあります。魔法って便利ですね。


護衛の方々はアドお兄ちゃんやランドお姉ちゃん達に誘われそれぞれ固まり、瑠璃也お兄ちゃんや翠沙お姉ちゃん、ママやパパ達は香奈たちと一緒にお弁当を食べます。


「わ、出来立てみたい!」

「この艶、匂い…熱魔法で温め直したとは考えにくい。時魔法で時間を止めていたのか…!?」

「やっぱりシャナさんのご飯は美味しいですね。私ももっと練習しないと。」

「あら、翠沙ちゃんのご飯も十分美味しいわよ?私なんて経験を積んだだけなのに、翠沙ちゃんはすぐに上達しちゃって。良いお嫁さんね、瑠璃也君?」

「あ、はい。そうですね。」

「おい瑠璃也。こういう時は飯ばっかり食ってないでちゃんと返事をしないと嫁は…」

「ラピス?」

「はい、ごめんなさい。」


ティアちゃんは時を止められていたお弁当に驚き、スレイン君はなにやら難しい顔。翠沙お姉ちゃんとママは楽しげに話していますが、ママがパパに向ける笑顔が笑顔のはずなのに怖いです。


「ほう!お前、話分かるな!この間原本がオークションに出されて出席できなかったことに後悔したが、競り勝ったのはお前だったのか。従者の癖に密かな趣味で古文書集めとは…よくやるな。今度俺のコレクションを見せようか?」

「ぜひ見させてください!」


「やっぱりあの国の伯爵は胡散臭い?」

「はい、私の友達がそこに従者として勤めているんですけれども、話を聞く限りでは手が染まっているようです。血筋的に魔力が高いというだけであまり良い政治も行ってないって話ですね。」

「ほう、そやつ、以前妾に求婚してきたやつじゃないかの。ほれ、あれじゃろ?カエルと豚を足して2で割った感じの。」

「そうですそうです。あ、これオフレコでお願いしますね。で、その伯爵なのですが」


あちらはあちらで距離が近づいたようでなによりです。




さて、ご飯もたべて距離が近づいたことだし、食後の運動もかねて少し動こうかな。


「香奈はあっちの川にいってくるけどいく?」

「そうね、私も少し涼みにいこうかしら。」

「綺麗な景色も撮りたいよね~」

「川か…(晩御飯のために魚も採っておきたいかな。)僕もいこう。」

「みんなが行くのなら僕もいこっか。水切りの自己ベスト更新したいし。」

「俺もいこう。」


ルーシャ、ティアちゃん、コーニス君、ロロ君、ハルバード君がついてくるそうです。スレイン君はすこし考え事があると言ってどこかにいきましたし、アルケミアちゃんとエルシリアちゃんは花畑で遊んでいます。なにか忘れているような気が…まぁ、行きましょう。


と着いたのは花畑から少し離れた上流の川。ここには(あゆ)(ます)が泳いでいて、香奈の友達も住んでいるのです。


「やーたん!出ておいで!」


と呼び掛けると川上の方から大きめの影が。そして頭を覗かせたのは全長10メートル程のウナギです。やーたんは電気を出すことができ、香奈の友達のなかでも比較的大きい友達ですね。17回ほど前に温泉に入りに来たときに友達になったのを覚えています。そのときもこうして川に水遊びのついでに魚を取りにきたのでしたっけ。


「うんうん。今年は雨が多くて流れが急なんだ。やーたんの友達が川の水を調節してくれてるんだね。やーたんとやーたんの友達えらい!あ、これやーたんへのお土産ね。リディル産の魚を調合した練りものだよ。そうそう。あ、前のやつ美味しかった?それはよかった。いやぁ、それほどでもないって。あ、これやーたんの友達に渡してあげてね。いつもやーたんを助けてくれてるお礼にって。え?いやいや~やーたん食い意地はってるでしょ?またまた~そんなこと言って、最近また太ったんじゃない?成長期?いやぁ、それにしても横に大きくなってるじゃん?」

「ねぇカーナ。さっきから気になっていたんだけど、やーたん一言も鳴いてないわよね?」

「うん?鳴いてなくても喋れるものだよ?」

「そ、そう…」


そういうものなのです。と、こんどはやーたんから贈り物があるそうで、やーたんは自在に動く前ヒレを使って籠のようなものを渡してきました。


「わ、こんなに沢山!いいの?いやいや、お礼されることなんてしてないよ。あ、でもありがたく受けとるね。ふむふむ、大変じゃなかった?香奈のほうは全然!練りこむだけだし!」

「ねぇ香奈。なんて言ってるの?」


そうでした。ルーシャは天才ですが、人外と話せる権限は持っていないのですよね。と、香奈はルーシャに翻訳?して見せます。


「えっとね、いつも練りものをくれるお礼に、やーたんが捕まえた大ぶりで美味しそうな魚をやーたんの友達が作った籠に数匹入れて、あげるって。香奈が大変じゃなかった?って聞いたら、そっちこそ。って。」

「な、なるほど。」


やーたんの友達も器用なものですね。生態的には地球のカピバラに似ているはずなのですが、とても手先が器用っぽいです。


川でやーたんに会うついでに晩御飯分の魚を取るという目的は、やーたんが魚をくれたことで達成したのでした。その後、コーニス君が魚を持ってきたことに被っちゃったねと笑いあいました。



「わぁー!ひろーい!」


とはしゃぐのはティアちゃんです。一般家庭で育ったティアちゃんは、このような広さの家になれてないのでしょう。しかしティアちゃん他、香奈とルーシャが誘った子ども達はみんな驚いている様子。外から見た建物の大きさと、中の大きさがかなり違うからでしょうか。


「あれほどの大きさからこれほどに拡張するとは…学校と同じ技術を使っているのか?それにしても…」


とスレイン君は悩みます。まぁ考えたってどうしようもないです。とりあえず部屋を決めて荷物を置きにいきましょう。


「子ども達は2階にある部屋を自由に使ってね。従者の方々は主人の部屋の向かいの部屋をそれぞれ使ってください。」


ママがそう言い、皆それぞれ移動し始めます。個室ということに戸惑う従者の方々ですが、主人である子供たちが行ってしまうとしぶしぶながらもついていきました。


「さて、俺らは3階にいくとするか。」


こういう時はアドお兄ちゃんが率先して移動します。2階がお客さん用で、3階が身内用なのです。奥からパパとママの部屋、アドお兄ちゃんとキュリスお姉ちゃんの部屋、ランドお姉ちゃんの部屋、ジュピスお兄ちゃんの部屋、瑠璃也お兄ちゃんと翠沙お姉ちゃんの部屋で、パパとママの部屋の向かいに香奈とルーシャの部屋、アドお兄ちゃんとキュリスお姉ちゃんの部屋の向かいにアヴお兄ちゃんの部屋、ランドお姉ちゃんの部屋の向かいにサタンお姉ちゃんの部屋です。近いうちにアドゥース君とキュリオンちゃんの分の部屋もできますね。そのときは空間置換で部屋の場所を変えて、アドお兄ちゃんとキュリスお姉ちゃんの部屋の前にすると思います。


皆がそれぞれの部屋に入り、香奈とルーシャも一番奥の部屋に入ります。そして荷物を置いてからふかふかベッドにぽふっと座り、伸びをして深呼吸をします。


「んー!やっぱ気持ちいいね。」

「そうね。森に囲まれているってだけでこんなにも落ち着いて気分がリラックスされるのは良いことね。定期的に来たくなるわ。」

「いつもは温泉だけ入って帰っちゃうもんね。」


ルーシャと香奈は比較的頻繁に温泉に入りに龍霊山に来ますが、それでもただ入って終わりですぐに帰ってしまいます。肌がツルツルプルプルになり、血行が促進され、筋肉が温まりこりが無くなり、魔力回路の効率が良くなり体の調子も良くなるのです。ちなみに温泉は真ん中を大きな岩が区切っており、男湯と女湯に別れています。


「さて、次は夕飯の材料の採取ね。魚はあるし…山菜と肉が主かしら。」

「そうだね。とりあえずみんなと合流しよっか。」


と、香奈達はツリーハウスの前に集まるのでした。

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