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リカーナの学園生活  作者: 中沢 文人
1学期
43/47

ある賊の末路

胸糞&性的表現ありなので苦手な方は飛ばして下さい。

「あぁん?ブラックウィステリア家の魔車を襲えって?んな無茶苦茶な依頼なんか受けれるかよ。いくら雇用主でも俺らに自殺しろっていう依頼なんか受けねぇぞ。」


突然呼び出されたと思ったら、ある大商人の小娘…俺らの雇用主が無理を言ってきた。


この小娘が通っている学園で辱しめを受けたのでその復讐をし、逆らったらどうなるかを知らしめてやるんだと。相手は天下のブラックウィステリア家とフェルオス家。世界で敵に回しちゃいけねぇ奴のナンバーワンとナンバーツーを同時に相手とはいい度胸だが、それは傲慢だ。なにか策でもねぇとやってらんねぇよ。


「なにも無策でやってもらうわけじゃないわ。これを使うのよ。」


と見せてきたのは鎖と玉。


「これがなんだってんだ?」

「これはね、うちが秘密裏に開発したバインドチェーンとマジックジャマーボールよ。」

「へぇ…どれくらい使えるんだ?」


さすがにナンバーワンとナンバーツーには効くわけがないが、他の仕事で使えるかもしれないな。


「聞いて驚きなさい。高位竜の束縛、さらに火炎の無力化に成功したわ。」

「なっ!?さすがにそんなパチ誰も信じはしねぇぞ。」

「あら。なら実験結果を見てみる?」


…この自信。話が本当ならナンバーワンとナンバーツーを相手にできるかもしれないな。とりあえず実験結果とやらを見せてもらおうか。



「…こりゃすげぇな。実験対象は高位竜の幼体だが、強さは高位竜と見て良いだろう。ブラックウィステリア家とフェルオス家を相手取るのも出来るかもしれないな。」

「さすがに対象を高位竜の成体にするのは無理があったけど、高位竜の卵から孵した高位竜に卵を産ませ、高位竜の量産に成功したのよ。そのうちの3つを使った実験ではどれも成功しているわ。」


ブラックウィステリア家とフェルオス家は子供の頃から武勇伝をよく聞かされるほど有名で、中でもフェルオス家は何千年も前から存続している力ある一族だ。特に有名なのが世界対戦で、100万以上もの兵を持つ大国5つ相手にたった2人で1つの国を守ったという話だ。この話は有名で、ゲームにもなっているが作り話だろうというのが世間での認識だが、子供の頃には憧れた。1人はヴァーン。初代勇者だ。ブラックウィステリア家はこの初代勇者の遺物、聖剣に選ばれた祝福されし一族で、魔皇との戦闘も全国の地上波で流れるほどだった。もう1人は魔王。本名は人知れず、フェルオスというファミリーネームしか知られていない。この魔王の直系の子孫がフェルオス家だ。代々無尽蔵で強力な魔力を持っているとされ、天才的な頭脳で様々な魔法を作り、魔法体系を根本から何度も覆した偉大な一族でもある。そんな一族を、一度は憧れた一族を越える。これのなんとロマンなことか。


「その依頼。受けよう。」


彼らは知らなかった。世界を(おびや)かす程の兵器ならば悪魔が潰しに来ると。彼らは知らなかった。悪魔が止める価値もないと思うほどの威力しかないということを。そして、実験対象の高位竜の幼体だと思われた生物は、ただ進化過程で竜の姿を真似ただけの高位の蜥蜴だったということを。さらに、その成体も下位竜ほどの力もないということを。そして、彼らは決定的なことを見誤っていた。ブラックウィステリア家とフェルオス家の力量を。


彼らは有名な傭兵である。そこに強力なバックアップが出来たため、さらに強くなったことで自らの力量を計れていなかったのだ。なまじ竜殺しを果たしたことのある実力だったのが悪かったのか、傲慢だと思っていた小娘でさえ自らの傲慢さには及ばないことを知らなかったために身を滅ぼすことになる。




「はは、こんな簡単に無力化できちまうとは。高位竜相手に効果的だったっていうのも伊達じゃないな。しっかしまぁ、こんなにひ弱で可愛いだけの娘や女性がまぁ仲良く何しに龍霊山に…まぁ考えても仕様がねぇか。依頼主からは逆らったらどうなるかを知らしめてやるって命令だ。手段は問わねぇそうだから、傷つけても問題ないみたいだぞ?まぁ壊さねぇようにな。」


と言うと、部下から歓声があがる。俺は興味ねぇが、こんな上物の女どもが複数手に入るなんてことはまずない。浮かれるのも仕方がないってものだ。


俺らは男どもの死体は置いて、近場の隠れ家の1つに向かったのだった。



「おらぁ!もっと声上げてなけやぁ!」


パンパンと肌と肌を打ち付ける音が鳴り響く。少しくらいは良いと思ったのだが、何回も中に出して、そろそろいい加減にして欲しいものだ。俺は特に興味がないからやることもなく、ただ部下たちの行為中の音を効くばかり。おちおち寝てもいられねぇ。


「おい、お前らそろそろ…」

「うっまた出すぞ!孕むんじゃねぇぞおらっ!てこの量じゃ手遅れか!……へへへ。次はメインディッシュ、ブラックウィステリア家とフェルオス家の令嬢どもだぜ。何発でもいける!」

「………はぁ」


日も暮れてしばらく経ってるってのに、まだだったのか畜生め。整った顔の多いこの女たちだが、ただでさえ整っているブラックウィステリア家の母親とフェルオス家の母親の良いところばかりを取った顔や体は神々しいとさえ思え、精巧すぎて逆に現実味のないブラックウィステリア家の令嬢とフェルオス家の令嬢を最後に残したいのは分かるが…どこから出てくるんだその性欲と精力。俺には欠けた感情だからわからないな。


「うっ、さすがロリ。他の奴らもそうだが締まりが違うぜ。」

「あら、まだ教育ができていないの。」


と、ここで依頼主が出てきやがった。


「へへ、交ざります?」

「冗談じゃないわ。早くその汚物を処理しなさい。」

「へいへい少々お待ちください、ね!」


高速で前後運動をする部下達。戦闘での指揮を上げるためには仕方がないところではあるのだが、やはり罪のない女を犯してまでするようなことではないように思える。


「んおお?急にきつく…い、痛い!もっと力を抜け!や、やめ…潰れる!!」


突然、ブラックウィステリア家の令嬢に突っ込んでた3人の様子が変化した。嫌な予感しかしないが…


「うぎゃぁ!抜けねぇ!や、やめ、誰か!こいつを殺せ!」


しかし、フェルオス家の令嬢に突っ込んでた3人も他の女を楽しんでいた6人も同じような状況だった。俺は素早く状況を把握し、ブラックウィステリア家の令嬢の首を股間の先端を切る可能性も一切考慮せず切り落とし、心臓を一差しにしようとした…が、首を切り落とすどころか皮すら切れない。


「どういう…ことだ」

「デオグゲオ」

「!?」


奇妙な音…手遅れと聞こえたか?


俺はどういう意味だと確認する言葉もなくただ殺そうと行動を起こした。が、刃が首に入り込む(・・・・)。不自然なまでに手応えがない。


俺は素早く距離をとり、依頼主を下がらせる。一歩遅かったのなら俺も部下達のようになっていたであろう。そして俺は周囲に目を当てる。


部下達はさっきまで犯していた泥のようなものに圧殺されていた。それはまだうごめいていて、殺意が向けられているのがわかる。


「小娘、後ろを向いて逃げろ。」

「あな、たは?」

「部下達をおいていけねぇよ。ほら、いけ!!」


甘やかされて育ったために、こういう場面には慣れていないのか。依頼主は時々躓きながらも俺が教えたように魔法と体法を組み込んだ走術で逃げていく。


「そうだ。それでいい。上手く生きろよ…もう、敵を見誤るんじゃねぇぞ!!うおおお!!!」


そして俺は刺したはずの愛刀が瞬速で飛んできたのを認識できただけで、抵抗は虚しく崩れ倒れるのだった。




「もう、敵を見誤るんじゃねぇぞ!!うおおお!!!」


なによ!なによなによ!なんでこうなってしまったの!折角あのゲームのヒロインに生まれ変わったってのにこんなはずじゃなかった!最後まで名前も呼んで貰えてないじゃない!!


私は躓きながら、必死に洞窟を走り抜けていく。しかし、あと少しのところで背中に悪寒がした。


「もう…いや…許して!」

「テオグゲオ…テオグリェオ…テオクレヨ……もう、手遅れ」

「ひっ」


それでも私は走った。しかし、あとすこしなのに、なにかに足を引っ張られる感覚によって鈍る。そして復讐相手の顔を象ったそれは、私の顔に呪詛のように言葉を投げかけた。


「手遅れよ。手遅れよ。手遅れよ。手遅れよ手遅れよ手遅れよ手遅れよ手遅れよ」


私は足を引きずり這うようにして逃げる。逃げる。逃げる。足がもげそうになっても逃げる。攻撃なんか意味がない。いや、逆に攻撃していないからこそ命がある。本能がそう言っている。私はこの"モノ"に攻撃をしていないために、まだ命をとられていないだけ。


憎かったあの顔が恐ろしい。あと3メートル。2メートル。1メートル…やっと出れた!もっと、もっと距離をとらないと。


「-ッ!?」

「む?子どもか?」


一心不乱に走っていると、なにかに当たったようにぼふっという音のあとにふと、声がした。敵かそうでないか。それを確認するために、顔を上げると、真っ白な白髪をオールバックにし、すこし日焼けをした快活そうなおじさんがいた。敵…ではないと思う。会ったばかりで悪いが、この人を囮に…


「助けて!化け物に襲われているの!!」

「ふむ。安心するといい。夜遅くにこんな山奥にいる理由はなんとなく察した。大変だったな。」


都合よく勘違いしてくれたことに罪悪感を覚えながらも、私はさらに先へと逃げようとするが、おじさんに止められてしまう。


「下手に離れられると守れないからな。すこし捕まっとれ。」

「ニガサナイニガサナイニガサナイニガサナイ」

「ひっ」


人形のように精巧な顔を無数に張り付けた不定形の化け物が追いかけてくる。


「これはなんとも…む?どこかで見たことがあるような気が…」


おじさんが疑念を持った目で化け物を見つめるが、その間にも化け物は迫ってきている。


「諦めなさい諦めなさい諦めなさい諦めなさい諦めなさい」

「やめて…こないで…もうしませんから!」


そして、遂にあと10メートルにまで迫ってきてもう駄目かと思った矢先、


「むぅ、最近物忘れがひどくなってきているか…?まぁ、いいか、ほれ」


と、間の抜けた掛け声が聞こえたと思った途端怪物の体が木っ端微塵に成り果てた。意味も分からず困惑する私に、おじさんは優しく言葉を投げ掛ける。


「何をしてこんなものに追われることになったのかは知らんが、まぁ、悪い夢だったと思って少し眠りな。」


声が聞こえたと思ったら急に意識が朦朧としてきた。そして意識は暗転し、気づいたら家のベッドで寝ていた。目を覚ますと手伝いが心配した顔でこちらを見てくる。どうしたのか聞くと、悪夢にうなうされていたようですが、なにがあったのでしょうかと問いかけてきた。私は思いだそうとして…失敗する。よく覚えてないのだ。しかし、最後に誰かが助けてくれたのは鮮明に覚えていた。


これが、私の初恋のきっかけであった。

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