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リカーナの学園生活  作者: 中沢 文人
1学期
38/47

魔皇発生の予想

お待たせしました!

「それじゃぁ放課後部っていうの、作ってみる?」

「え?」


ルーシャが驚いた顔をしていますが、部を作ることはそれほど難しくありません。


「入部希望者が6人いれば簡単に作れるからね。」

「でも、その6人が難しいんじゃない?」

「それこそ難しく考えすぎだよ。香奈とルーシャで2人でしょ?それに、ピクニックで募集中!って言えばいいんだよ。」

「そんな簡単にいくかしら…」


ルーシャには積極性がないのです。香奈が引っ張ってあげないといけませんね。


「さて、と。今度はどんな魔法を作ろうかしら。」

「たしか前は等速直線加速魔法と等速直線減速魔法を組み合わせた直線速度加減魔法を作ったんだっけ。」

「えぇ。特許取って鉄道会社に技術を売って、お小遣い稼ぎにしてるわ。」


世界で凄い家といったら真っ先に出てくるフェルオス家の所以(ゆえん)はここから来ています。ルーシャが暇潰し感覚で魔法を作り、それが世の中を便利にしていく。さらに新技術となり、決してお小遣いとは言えない莫大なお金がフェルオス家に貯まっていくという、力も名声も富もある家なのです。さらに、ルーシャだけが魔法を作っているわけではなく、魔王さんも作っているわけですから半端ではないですね。


※ちなみに、うちことウィステリア家もウィステリア家で魔皇を倒す2代目勇者を演じているラピスがいて、2代目勇者という肩書きも魔皇を倒したという実績もあり、投資によって莫大な金の取引きも常に行われているので、力も名声も富もきちんとあります。蛇足ですが、香奈も投資をしているので、ルーシャに負けず劣らずお小遣いとは言えないような莫大な貯金があります。その貯金も香奈が創立した銀行が預り、さらに貸し借りで使い道があるので貯まり続ける一方です。


「今回は…そうね。今日の実技授業でやった的当てを参考にして、新しいおもちゃでも作ろうかしら。小さい子供向けにして、大人でも楽しめるように難易度も付けて。狙いはそうね…一応魔力消費もするようにして、小さいころから魔力を使うようにすることで魔法の力を伸ばし、反射神経も鍛えるという遊びにしましょう。」

「なんかすごそうだね。」


*この玩具は将来、シューティングゲームとしてゲーム屋で大ヒット。しかも教育的な目的もあるということで教材にもなり、末無く愛されることになる。


「香奈、魔物の的を創造してくれない?ボス的存在も欲しいから、竜の的を1つつけてくれるとありがたいんだけど。」

「もちろん。」


少し小さめの獣の魔物の的と、有翼の魔物の的と、すこし大きめの竜の的を、頭、胴体、脚や手等々、各部位にポイントを付けて創造しました。


「ありがとう。相変わらずの気配りね。」

「ふふん。」


元日本人なので。気配りやおもてなしは当たり前なのです。と、ここで魔王さんが教室に入ってきました。


「そろそろ始めるぞ。最初に言っておくが、リカーナとルーシャにこの授業をしても意味がない。よって、2人で自習してていいぞ。ないとは思っているが、自習の成果を授業終わりに確認するからサボることのないように。」


あ、これは魔王さんです。というか香奈たちだけ仲間外れとは…またですか。


「これで堂々と作れるわね。」

「うん。最初はどこから手をつけようか。」

「まずは…転移と防護の立体魔方陣を作りましょうか。的の表に防護の魔方陣。裏に転移の魔方陣、側面にランダムに転移するように一度魔力が通ると通った魔力の強さで魔方陣が変わるように仕組みを作って、転移の魔方陣と繋げて。防護の魔方陣に当たった魔法の魔力を吸収する機能も付けて、魔力が防護の魔方陣から転移の魔方陣に移るときと転移の魔方陣から防護の魔方陣に移るときの仕組みを微妙に変えれば完成。1つ1つの的に描いていくのは面倒だけど、仕方がないわね。」


ちなみに、こんなに簡単に転移の魔方陣を描いているルーシャですが、本来ならば難解な理論と莫大な魔力を必要とするはずなので普通はこんな簡単に作れないです。難解な理論はルーシャが、莫大な魔力は香奈が担当しているので成立しているわけですね。


「2人は何をやっているんだい?」


授業に集中しながらも話しかけてくるスレインくん。隣のレギアスちゃんも魔法の授業は興味があるのか、きちんと聞いています。


「新しいおもちゃを作ってるの。出来たら教えるから、やってみる?」

「最初の実験体ね。」

「好奇心がそそられるね。ぜひやらさせてもらおう。」


そう言いながらもスレインくんは魔王さんの授業の内容をノートに書いています。黒板に書いてあるのは魔方陣の書き順ですね。


「次は台を作りましょう。けど、ここで台を作っても邪魔にしかならないから、家に帰ったら台を創造してもらって、この時間では台に刻む魔方陣を考えましょうか。」

「ん、わかった。」


転移する的だけでは足りないのですね。


「まずはスイッチ代わりに、指先の魔力が触れたら起動する魔方陣を組んで、それを人差し指、中指、薬指で判別するようにして、難易度調整できるようにするわ。」


アルヴテリアの生物は各部位ごとにそれぞれ違う魔力情報をもっています。魔力の遺伝子といってもいいですね。ルーシャがやっているのは、その魔力情報を魔方陣が読み取って魔力が流れる量を調節して、難易度も調節するということですね。


「さっきの的に時魔法の遅延魔法をかけるようにして、スイッチを繋げて完成よ。これを台に組み込むだけね。」


こんなにも簡単に完成させるのですから、ルーシャは凄いのです。しかも、これでお金を稼いでるのですからなおさら凄いのです。


授業は45分。しかし新しいおもちゃを作っていた時間は15分もしてません。


「とりあえず自習の成果をみせるのはこれで解決したとして、あとは何をしましょうか。」


残り時間は30分以上あり、微妙な時間です。ちょっとしたことをする時間にしては多く、凝ったことをしようとしても足らない時間です。ですので、すこし雑談することにしましょう。邪魔にならないように、外に声が漏れないように。


「すこし話そっか。」

「そうね。どんなことを?」

「そうだね…次の魔皇の種族を予想してみよう。」


自然発生する魔皇さんたちですが、きちんと種がある生物なのです。どちらかというと香奈たち龍種に近いですが。


「ルーシャはなんだと思う?」


今年7歳のルーシャと香奈ですが、魔皇退場には4回ほど立ち会っています。この10年で魔皇が発生したのは8回。尋常じゃないほどに世界は危機に陥るところだったのですが、そのいくつかが魔皇が発生した瞬間にパパが居合わせるという事態でした。魔皇さんたちは最初は赤子のような状態で生まれ、そのまま成長していきます。だいたい10年くらいしたら成体になり、その成長に伴って魔物の活動が活発になっていきます。魔物は魔皇さんの種族によって恩恵を受けられる強さが違ってくるので、一番活発になった魔物と似たような種族の魔皇さんが生まれたと予想できるのです。


「そうね…最近は虫系の魔物の数が減って勢いも衰えてきている感じがするし、まず虫系の魔皇ではないわね。それと比べて植物系と草食系の魔物が増えてきたから、そのどちらかね。草食系の魔物を補食する肉食系の魔物もいずれかは増えるのでしょうけど。」


ルーシャは地球でいうと、草を食べる虫が減って草が生える→草食動物の餌が増える→肉が増えて肉食動物が増えるということをもとにしているようですが、香奈の意見は違います。


「香奈の予想は違うよ。なんで虫系の魔物が減ってると思う?」

「それは…」


ルーシャが考え込むようにまゆを寄せます。おそらく今のルーシャの頭には7つほどの候補が上がっているでしょう。


「最近、新しい農薬が開発されたから?」


このアルヴテリアの魔物にも毒は効きます。しかし、大抵は体内の魔力が毒に適応する体に進化させるようになっているのですが、最近開発された農薬はその機能を逆に使って内側から破壊するようになっています。動物だと毒に対応するように進化させるのではなく、毒を中和させる機能があるので効果がないと論文にありました。実際、香奈たち(・・・・)もそれを確認しています。しかし、それにも適応するのが魔物。現在や近いうちではありませんが、遠い未来だとその農薬にも適応した魔物が出てくるでしょう。加えて、その農薬が原因でもないのが今回の魔皇です。


「違うよ。それだと人間の農作物を食べる魔物以外も減ってる理由にならない。」

「それだったら、アリクイとかの虫系の魔物を補食する魔皇が…いや、それだと肉食系の魔物が活発になってない理由が…」


やっぱり虫系の魔物を補食する種に近い魔皇が生まれたという考えもあったのですね。しかし、否定できるところがあったので除外したというのが言わなかった理由ですか。


「そう。そこが重要。肉食系…いや、肉食動物系の魔物が活発になってないの。けど、植物、草食動物系の魔物は活発になってきてる。この時点で植物か草食動物系の魔皇さんが生まれたって考えるけど、それは早い。虫系の魔物の数と勢いが減ってきていることに注目しないといけないの。」

「食虫植物の数が増えてるってこと?」


これはルーシャ違うとわかっていてあえて質問していますね。香奈の話にあわせての質問です。

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