神龍眼と剣と変装
魔王さんの防護魔法も切ったとなると、聖剣の力は物凄いことになっているはずです。少し解析してみましょう。権限『神龍眼―解析の眼』
名称:聖剣ラグナロク
優先度:◇%&#
所有者:セシル・カリウス(女)[エルファス・ルンバート]
能力:神々の黄昏
効果:万象を切り伏せ、道を作る
権限、という表示はないのでこの世界の物ではないのは確かですね。優先度、というのもこの世界とは別物なので文字化けしていますし。つぎはオルタスです。
『魔剣オルタス』
魔王オルターインディファスが愛用する魔剣。素材には魔王自らの骨や竜王の骨等を用いており、剣自身が出す気に触れた物は意のままに性質を変えられてしまうという。
聖剣ラグナロクとは別世界のものだからか、表示の仕方も全く違いますね。魔王さんの防護魔法を突破して体法魔偶を切れたのもこの剣の性質変化が原因ですかね。
「ご苦労であった。戻れ、ラグナ、オルタス。」
その光景を見たマルスさんは羨ましいというような顔でレギアスちゃんを見ています。しかしマルスさんには必要ないでしょう。どんなものでも武器にして切るのが剣王マルスなのですから。さて、つぎは香奈の出番ですね。
香奈は権限『未来予知』を使いながら歩き出します。今回の『未来予知』は香奈のことしか見ないので、目を閉じながら歩いています。始めに、体法魔偶は迎撃機能から、左手を正拳突きで香奈の腕を狙います。それを避けられなかった未来を排除し、避けた未来に限定。香奈の体が勝手に動きます。蛇足ですが、昨日のマルスさんとの試合では『未来予知』でも意味がないので使いませんでした。
次に、体法魔偶はかがみ、右足で脚払いをしてきます。軽くジャンプして避けますが、体法魔偶は追撃として脚払いの体勢から右足を軸に回転。迫る左足ですが、その左足に手を付いて回避。勢いを利用して回転。その隙に頭にタッチしました。
「流石ですね。レギアスちゃんのように武器を使っても良いですし、スレインくんやリカーナちゃんのように素手でやっても良いです。1体は壊れちゃったので、2体で進めましょう。」
3列から2列に並び直し、体法魔偶と向き合う他の生徒達。しかし体法魔偶はディアくんを軽くいなし、コーニスくんでさえも手も足もでてません。魔法の方はなにをしているのかというと、浮遊する的に向かって魔法を放つだけに見えますがその実、浮遊する的は転移し、さらに反撃してくるものですから反撃対策に魔法、転移対策に魔法、攻撃のために魔法と魔力をもの凄く使う訓練をしています。この後香奈たちもあれをやるとなると、気が重たくなります。ルーシャは的を5つ相手にしていますが、貴族らしく直立し、体法の授業の光景を見たまま。しかししっかりと魔法を的に射ち転移を誘って転移した瞬間に魔法を直撃…する寸前にさらに自分の魔法で迎撃。的から放たれる反撃は障壁を張って対策をしています。
「全員終わったようですね。半年後までにこの程度の強さに勝てるように仕上げるので、家で訓練をしておくと楽ができますよ。」
それって結局楽してないんじゃ…
「それではそろそろ交代ですね。魔法と交代です。魔法の人達に体法で負けたら目も当てられないので、負けないように頑張りましょう。」
香奈たちはルーシャたちと交代です。ルーシャとすれ違う時
「縛りプレイって、楽しいわよね。」
と呟いてきました。まさかルーシャにそういう側面があったとは……とは思いません。香奈も強くなってしまったゲームでは縛りプレイをしますし、先ほどだって権限も『未来予知』しか使いませんでしたし、体法魔偶の未来を直接みるのではなく香奈の未来だけを見てました。ルーシャも防護魔法と熱魔法の火しか使ってませんでしたし、一歩も動いていませんでした。そうでもしないと暇潰しにもならないのでしょう。ルーシャがどのように一番強い体法魔偶を倒すのか見たいですね。
「んじゃぁ始めっぞ。勝利条件は簡単。そこの的に魔法をあてりゃ合格だ。ちなみに、魔法組で的に魔法を当てたのは論外を抜いて2人。ティア・フランメと西郷浩幸だけだ。偶然でも当たらないから万が一も期待すんじゃねぇぞ?」
いつもより言葉が乱暴なのは気のせいじゃないです。少し眼を使ってみましょうか。権限『神龍眼―真実を視る眼』
ふむ、やっぱり。どこかで聞いたことのある雰囲気の言葉だなと思ってたけど、魔王さんじゃなくて心臓に悪いおじさんだったんだね。的に刻印していたのも、魔王さんなら付与するだけで足りるのに、と疑問に思っていたんだけど。もっと言うと、全ての的を操作するだけで十分。これでレギアスちゃんが体法魔偶を切れた理由もわかったね。魔王さんだったら障壁の強度を上回る衝撃を加えられた瞬間その衝撃を利用し障壁の強度を強化するとか、どうやったら壊すの?って思う障壁を作るから、たとえ性質を変化させられてもそれを利用した障壁をつくるはず。でもなんで入れ替わってるんだろう。
「そんじゃ、各々的を持ってって始めろ。2つ3つ持ってっても構わねぇかんな?」
しかし、そんな生徒は1人もいませんでした。
「身の程を弁えてるたぁ結構なことだ。半年後にゃこの的3つ相手に1発で撃ち落とせるようにするかんな。覚悟しとけよ。」
と、 それぞれの生徒がそれぞれのタイミングで始めました。この授業の目的はおそらく、魔力の増加、魔力の感知、魔法に対しての防御、魔法の精度、を強化することです。魔力の増加は使えば使うほど、魔力の感知は転移先を特定するために魔力の乱れを知るときに。魔法に対しての防御は防護魔法や的からの魔法を撃ち落としていれば。魔法の精度は狙って撃てば撃つほど上がっていきます。ついでに、いちいち詠唱をしている暇もないので無詠唱の練習も強制的にですができますし、魔法を対策している中で魔法を使うわけですから並列詠唱の練習もできるわけです。まさに至れり尽くせりですね。…その過酷さを無視すればですが…
そういえば魔王さんじゃないなら、誰が時魔法で魔力を戻してるんだろう。
と、香奈は周囲を見回します。ちなみに、的はすでに撃ち落としています。転移先の魔力を乱せば転移はできないので、比較的簡単です。
あ、なるほどね。的に刻印されてるわけか。いや、的に刻印された術式で放つ魔法に付与されてるんだね。
と、このようにしてクラスメイトにとっての地獄の実技授業が始まったのでした…
「ふぅ~、疲れたわ。」
「そうだねー。」
ルーシャが手を組み腕を伸ばして伸びをします。
「そういえばカーナ、知ってる?実技授業のあとは必ず筆記の魔法の授業になってるのよ。」
え、実技でこってり絞られたあと、改善のために解説をする的なやつ?
「知らなかった…それはそうとルーシャ、部活はどこに入るの?」
天龍学園は初等部から部活があり、中等部、高等部の方たちと一緒に活動します。そのため、翠沙お姉ちゃんがいる弓道部にも入れるのです。ちなみに、瑠璃也お兄ちゃんは部活の助っ人的な役割を果たし、ほとんどの部活に引っ張りだこなのです。瑠璃也お兄ちゃんがその日どの部活に参加するかで激しい競争がありますし、婚約者がいるとわかっていてもそれを追いかける生徒も大勢いて大変ですね。
「そうね…帰宅部…いや、放課後部ね。特にやりたいこともないし、カーナと一緒に放課後満喫したいもの。」
ルーシャはどのスポーツも熟年者並みにできて、本当に天才なのです。
カーナには言われたくないわよカーナには。




