引き継がれる才能の合体
お風呂から上がり、部屋に戻ります。
「お帰り。準備はできてるわ。」
「ありがとー」
とママと会話をしている端で、ルーシャがふらふらと香奈のベットにぽふん、とダイブします。
香奈のベットは極上の毛を持つフェルルの毛100%で、低反発で保温性に優れ、体を優しく包んでくれます。フェルルの毛は軽く通気性も抜群なので、10グラム100万もする高級品なのです。当然、ランドお姉ちゃんが育てていて、量産に成功。ママが経営する衣服や布団、ベット等を生産する会社がふんだんに使っています。
「あら、ルーシャちゃんどうしたの?」
「のぼせ…です……」
「2時間入ってたもんね~ママのおかげでお風呂の温度は下がらないし。」
「あら、もうそんな時間が経っていたのね。気づかなかったわ。」
ママは時間の感覚がおかしくなっています。それもそのはず、3300年前に発生まれたからで、しかも時龍なので、時間を意識する必要もないからなのです。
「生理現象はどうにもできないわ。生理現象は下手に魔法でどうにかしちゃいけないのは知ってるわよね?」
「はい、体に悪影響を及ぼすと。たとえば尿。尿は体の不必要な物をろ過して濾しとったものなので、万能魔法で尿の頻度を強制的に下げた猿が通常の猿よりも早く死んだと論文で読んだ記憶があります。あ~あたまくらくらする…」
まだ痛むのかルーシャは頭をおさえて顔をしかめます。
「勤勉ね。でもルーシャちゃん。そんな体を生理現象が起こる前の状態に戻したら、どうなると思う?」
「はっ!?お風呂は入って体は綺麗だけど、血管が広くなるにともなっての低血圧でのぼせをする前の体にもどせば…お風呂をいっぱいはいっても良い状態だけになれるということね!ありがとうございますシャルナさん。」
「うんうん。時魔法にはすごい可能性が眠っているわ。けど、使い手の数が少なく、しかも時を戻せるほどの使い手は時代が経つにつれて増えてきたけど、30分以上の時を戻せるのはルーシャちゃんをいれなくても片手の指で数えられるくらい。しかも私、香奈、るーくん、魔王、リリーと全員身内。同じく使い手を選ぶ空間魔法も私は違うけど天龍だからこれも身内。だから論文にもない事が山のようにあるの。ルーシャちゃんには論文に書かれていることだけを信じないで、魔法の無限の可能性を信じてもらいたいのよ。」
「はい!論文だけに頼らず、もっともっと魔法を知って活用していきたいと思います!」
ちょ、ママ!?ルーシャの熱意をこれ以上魔法に向けさせないで!?
「それじゃ、食べましょうか。」
「はい。パンケーキ♪パンケーキ♪」
「なんかご機嫌だね、ルーシャ。」
あんまりこういうルーシャはみられないので、とても珍しく思います。いつもはお嬢様をしている感じがしますが、今は3時のおやつを楽しみにするお嬢様…お嬢様には変わりがなかったです。
「そう?えへへ、これ食べてもあと2つも種類があるんだもの。明日の朝でしょ?おやつでしょ?」
…カインさん、ごめんなさい。
「そんなに食べたら本当に太っちゃうよ?」
「健康には気を付けているわ。それはカーナも知ってるでしょう?」
「まぁそうだけど…それじゃ、キャンプの予定は大体決まったし、水着のデザイン考えないとね。」
「すっかり忘れてたわ。」
あ、墓穴掘った。そのまま忘れてくれてたらよかったのに…
デザインするという言葉にママが意外そうにこたえてきます。
「あれ?2人とも、そんなに絵が上手かったかしら。」
「お絵かきくらいはできるよ。」
「魔方陣を描くのと同じ要領ですよね。」
「そこら辺親の才能を引き継いでたと思うんだけど…」
えっとね、長いの描いてあたま描いて羽描いて、尻尾描いて…あ、顔がないから顔描いてと。
「龍!!」
「ほらやっぱり。うーん、でも逆に芸術的センスがあるといって良いのかしら?親バカも否定できないわねこれじゃ。」
形は崩れてますが、結構それらしい物は描けてるはずですが。
「同じく龍です。」
「こっちは分かりやすいけど…こう…パーツを組み合わせただけというか、カクカクなのよね。」
「そうですか?結構上手く出来てると思うのですが。本で読んだ龍もこんなものでした。」
「うーん、二人あわせれば結構いい線いくかも?」
えっと…フュージョンってどうやるの?イヤリング持ってないよ?ポーズとりながら指先合わせても世界の法則がちがうのかなにも起きないし。
「手をとって同時に描いてみればいいじゃない。」
「じゃぁルーシャ後ろに回ってもらえる?」
「え、えぇ。」
ルーシャが香奈の後ろに回り、香奈を覆うようにして座ります。ルーシャは香奈よりも少し大きいので、違和感がないですね。
「それじゃ、さっきと同じように龍をかいてみて。」
えっと…長いの描いて…あ、ぐにゃぐにゃするのがすこしまっすぐになってちゃんと波になってる。あたま描くと、さっきはへこんでいたのが形が整って、歯もきちんと鋭くなるし、尻尾も先っちょまでだんだんと細くなってってる。
「おおー、龍だ。」
「やっぱり2人でやれば上手いわね。私の似顔絵描いてみ?」
「頑張ります…」
下手なの描くと失礼になるとルーシャは考えてるんだろうけど、あんまり気負う必要はないとおもうな。とりあえず輪郭描いて、目と眉毛と口描いてから髪で整えてと。
「あ、上手い上手い。これは意外な発見。2人でやれば上手くなるのね。どっちも極端だからこそなのかしら。そのままの勢いでデザインしてみるといいわ。」
「ありがとうございます。…共同作業…共同作業…♪」
「共同作業?」
まぁ二人でやってるわけですから、間違ってはないですね。
「まずはカーナの水着からにしましょう。そうね…ワンピースタイプにしようかしら。」
「そうすると、海で長時間入るために瑠璃色をベースにしよう。」
「え、なんで?瑠璃色?」
え、いや、ルーシャが言い出したことじゃなかったっけ?
「瞳の色にあわせるんじゃなかったっけ?」
「…そう言えばそう言ったような気がするわね。」
忘れてたの!?魔法しか頭にないルーシャはこれだから…




