ミンストと中毒症状
ミンストに着いた香奈達は最初に、新しいゲームを見に行きました。
「あ、featで新しいゲーム機が出るのね。これまでの三画面っていう売りを無くして、今度はその三画面の技術を利用して立体的にするのね。名前はFG6。それと同時発売の携帯型ゲーム機、FPPは、これまでは携帯型ゲーム機で独壇場だったラーク社に完全に正面対決しにいってるわね…」
「解説はいいけど…やりたいゲームがあれば買えばいいだけじゃない?」
フェート社が出てきたのは13年前だとパパが言っていました。(ちなみにヴァーンはフェート社創設のための投資者であり、大株主だったりする。)13年のうちに6回も新型を発売していて、そのうち4回はここ6年の話です。ルーシャは新型が出る度に買っていて…といっても買い始めたのは3年前からですが、買う度に新型がでるのでこのように分析する癖がついてしまいました。
「それはそうなのだけど…ほら、家に大きなゲーム機が一杯あるとかさばるじゃない?邪魔なのよ。」
「なるほど…もう、オークションに出しちゃえば?」
この世界にもオークションというものはあり、色々な物が売られています。家具から雑貨、刻印魔法の札まで、多岐に渡ります。人身売買?そんなの、悪魔さん達が許すわけがありません。
「それもそうね。けど…うーん、将来的にプレミアがつくかもしれないから売るに売れないのよね。」
「難しいよね~」
「そうね…あ、勇者戦記、第6作目が出るそうね。」
「へぇ~結構長いけど、まだ続くんだ…限定版予約しないと」
勇者戦記とは、もちろんパパのことを物語にしたゲームです。これまでで出た作品は、二代目勇者の外伝もあわせて5作です。勇者の基準は、勇者が使う聖剣に見初められた人です。パパが剣を使っている時に、手入れをするのが面倒だからと剣に自動的に傷を修復、磨がれ、持ち主に合うようになっていく権限を与えたら、勝手に意識を持ち始めたと言っていました。いまでは聖剣…アスティンさん、パパの翼と爪になっています。勇者戦記の第1作目では、パパがアルヴテリアの半分を探索する物語で、第2作目ではもう半分、第3作目では1代目魔皇、ハウルを倒す話、第4作目では世界大戦での話です。外伝の方は、これも世界対戦の話、もうひとつは魔皇を倒し続ける話です。個人的には本編の世界大戦が一番面白かったです。大国が10以上も敵なのに、リディル王国とファラン国の後ろ楯だけで戦争をするのです。しかもリディル王国とファラン国の後ろ楯は名目だけで、軍事的な支援も一切無し。個の力だけで物量を圧倒するのです。無双ゲームでしたね。パパから話を聞いたところ、リディル王国とファラン国からの支援は必要なし、と断ったそうです。代わりに、勝ったリディル王国とファラン国は何もしていないので損害は無し、損害賠償や領土は一切得ず、講和条約だけで終わり。負けた国は同盟を組ませ、お互いにお互いの支援をしながら建て直していったと聞きました。発端は大国同士の小競り合い。そこからだんだんと他の国を巻き込んでいって、世界大戦に。とうとう泥沼化してきたところにパパが和平を結ぶようにとリディル王国とファラン国から宣言したのですが、受け入れてもらえず、もともと戦っていた敵国同士が休戦協定を結び攻撃してきたので、パパが攻め、魔王さんがリディル王国とファラン国の防衛をしたそうです。ゲームで操作できるキャラクターは2人だけで、パパは敵に突っ込んでいって剣で一気にスパっていく攻撃用キャラ、魔王さんはリディルとファランを守る防衛キャラになっていて、パパだけを使うとリディルとファランが攻め込まれてゲームオーバー、魔王さんだけを使うと世界が相手になってきていつの間にか世界の人口が凄いことになっているし、国が立ち直れなくなるという惨状になり、ゲームオーバーになります。パパは育成の仕様が少ししかありませんが、魔王さんは新しく術式を編み込み組み合わせたりし、殲滅力や術式の持続力等を強化して、だんだんとパパの使用時間が伸ばせるという仕様があります。クリア特典でパパと魔王さんの立場を反転させて、魔王さんを攻撃、パパを防衛にしたりできます。パパは線や面での防衛はできませんが、点も高速で移動すれば線になります。圧倒的物量を更なる圧倒的実力でねじ伏せる。さらには魔王さんも爽快で、敵がゴミのように消えていきます。香奈が特に好きなのは『空縮・崩壊』と『歪み』と『ブラッドウェーブ』と『ミステックボルト・エクスプロージョン・フレアチェイン』です。作品中では名前はつけられていませんが、魔王さんがそう呼んでいました。『空縮・崩壊』というのは敵と自分との空間を圧縮、物理的な距離を短くして敵に急接近、肉体に触れて、血液さえも崩壊させるという技です。敵に急接近しなくても敵の一部に触れれば良い訳ですから、『空縮』で敵を引き寄せたり、さらには『崩壊』の権限を与えた魔弾を『空縮』で相手に飛ばしたりも。その本質は敵の無力化で、敵の武器や防具に『崩壊』をすると細かい砂状になります。さらには魔法も崩壊させることができます。『歪み』というのは、トラップにも使える優れ物で、手を振った直線上に極超の重力を形成、空間を歪ませて敵を吸い込みながら消滅していくという魔法です。吸い込まれた物は空間の歪みが元に戻るときにねじ切られて、原形をとどめていないよく分からないものになってでて来ます。一応、勇者戦記は年齢確認があるゲームで、15歳以下ではナチュラルな表現になっています。香奈は15歳以上でプレイしました。龍ですし。術者は術式の段階で吸い込まれないように、術者に重力に釣り合う斥力を展開します。『ブラッドウェーブ』は、血に混ざる魔力を吸収しながら敵を切り裂く魔法で、発動コマンドは腕を横に振るだけです。血に混ざる魔力を吸収する性質上、敵がいればいるほど強力な魔法になり、発動時間が続けば続くほど大きくなるというすごい魔法です。しかし直接にしか進めないので、丸いアルヴテリアでだんだんと上に行き、『魔法絶対条件』の1つが『魔力供給が無くなる』、なので、血を吸収できなくなったら消滅してしまします。地球の10倍の直径を持っているアルヴテリアですが。『ミスティックボルト・エクスプロージョン・フレアチェイン』は、霧を展開して、そこに電撃を走らせて攻撃とともに水素と酸素を発生させます。さらに、電撃の電磁波で鉄粉を集め舞い上がらせ、発動条件の指パッチンで爆裂させ、粉塵爆発を誘発します。そして爆裂のエネルギーで水素と水素を合体させ、ヘリウムを発生させ大爆発と放射線を出す粉塵爆発と核融合を合わせた派手で強力無慈悲な魔法です。しかし放射線は広がったり放置すると大変なことになるので、国に大打撃を与えるという別の意味を持たない限り術式に含まれている放射能中和線域で解決します。他には、派手さだけが取り柄の『エクスプロージョン・リピート』があり、同じ地点に同じ発動条件で同じ威力の爆裂が炸裂するのですが、使いどころがないと魔王さんはいっています。それは、魔王さんの連撃魔法に耐えられるほどの守りを持つ障壁や結界がないからです。同じ地点というのがミソで、地上を更地にしたいだけならいいですが、地中を掘る目的なら、空中で爆裂し続けるだけなので、色がひとつだけの花火にしかなりません。他にも-
「ちょっとカーナ。またボーっとしてどうしたの?また勇者様の話が出ると頭の中で語り出す発作?」
「発作とは失礼な。香奈はパパの武勇伝をありのまま伝えたいだけだよ?」
「これはもう病気…いや、もはや薬の域ね。」
「ルーシャには言われたくないよ!?」
魔法のことで中毒症状がでるルーシャに言われるのはすっごく心外。
「次はどこに行く?先に見ちゃう?」
「そうね…荷物がかさばるのも…」
「異空間に保管しとけばいいんじゃないかな?」
「それもそうね。失敗したらせっかく買ったものが異空間に置き去りにされるけど。」
「それはそれでこまるなぁ。」
異空間を探せばいいだけですが。
「でもそうだね。荷物の保管ついでに空間魔法の練習もしよっか。練習料は今日買ったものということで。」
「意外と高いわね…」
「うーん、やっぱり時期が時期かぁ。あんまりないね。」
「そうね…早すぎたわね。」
水着専門店に着いたのはいいのですが、流石に春では品物は少なく…といってもこの歳では似合いそうな水着も少ないですが、とても悩みます。
「うーん、どれがいいかなぁ。かわいい物ないかなぁ。」
「カーナに似合う色ねぇ…青と緑かな。瞳の色に合わせた方が似合うわよ。」
「そうかなぁ。」
それじゃ、ルーシャに似合う色は-




