ルーシャの嫁度とスレイン君
アルヴテリアの小学校の授業は算数、理科、社会、図画工作、家庭科、体育、音楽が多いです。アルヴテリア風に直すと、算数、魔法、歴史、魔法研究、家事・作法、戦闘訓練、音楽です。魔物が出るアルヴテリアだからこそ、こんな時間割になるのですね。加えて国や学校のレベルによって変わってきますが、政治のことや礼儀作法をもっと詳しくやる国もあります。
『ゴーン…ゴーン…』
「チャイムがなりましたね。授業は終わりです。昼休みに入ってください。」
お昼です。なにをしようかな~
「カーナ。お昼作ってきたけど、食べる?」
「もちろんだよ。ルーシャのつくるご飯って美味しいから好きだよ?」
「そ、そう?えへへ…ありがと。どこで食べようかしら。」
「屋上にしよっか。バルコニーになってるっぽいし。」
「なるほどね。それじゃ、行きましょうか。」
「へぇ、なかなか景色がいいわね。」
バルコニーには春らしく色とりどりの花が咲いていて、とても綺麗です。雨の日用に、開閉式の屋根もあるそうです。
「そうだね。登れる木もあればよかったんだけど、木陰をつくるための木しかないよ…残念。」
「こんなところで木登りなんかしたら…怒られるわよ?」
「そこに木があったら登る!後のことは登ってから考える!」
「……そう。あ、あそこがいいんじゃないかしら?ちょうど木陰にもなっていることだし。」
「そうだね。シートはもって来てるから地べたに座ることはないよ。」
木の下に行き、シートを広げて座ります。ルーシャがお弁当を渡してくれました。
「それじゃ、あけるね。」
「うん。」
「今日はどんなのかなぁ~」
蓋を開くと、色とりどりの食材で色づけされたほかほかのご飯が出てきました。もう一段上にあげると、香奈の大好きな卵焼き、ハンバーグ、チーズ、タコウィンナーが入ってました。チーズ好きはパパから受け継いでいます。
「今日は家で育ててるティグリとフェルグリの卵のそぼろにシホンの桜でんぶと海苔でシホンの鳥沼のご飯に色着けて、フェルグリの卵とシホンで作られた厳選豆を長時間おいておいた醤油をこれまた厳選した最高級の醤油を少々、リディルのキビから作った当然、最高級で私が選んだ砂糖の卵焼きに、リディルの玉ねぎ、ニンジン、片栗粉とリディルリーフ豚とリディルドフラン牛のA5ランク肉をひき肉にしたハンバーグに特製ソースをつけた特製ハンバーグに私が手心真心親心込めて育ててる乳牛のクレアから絞った牛乳を発酵させたチーズ、リディルリーフ豚とリディルドフラン牛を粗挽きした肉をつめてチレンのチップで燻製したさっぱり味のウィンナーを工夫して切りました~」
「うわー高かったんじゃない?」
「ふふん、そこはお得意様価格ということで安くしてもらってるから大丈夫よ。あと、はい。これサラダね。」
「あ、うん、ありがと。お得意様ねぇ。香奈もそういうのないかなぁ?」
「通っていれば自然となれるものよ?」
「そっかー」
お得意様って、なんか大人!って感じでいいよね。
「ん、今日も美味しいね。大人になったらお嫁に欲しいくらいだよ~」
「えっ、わ、私はそれでも…」
「そういえばピクニックに一緒に行く人、どうしよっか。」
「あ、そ、そうね。決めた人はこの昼休みに誘っちゃいましょうか。」
「りょーかい!ピクニックはなにするの?どうせなら山でキャンプでもする?」
「ピクニックじゃなくなってるけど…それもいいわね。サバイバルって楽しいし。調味料もっていかないと。」
ルーシャとピクニックについて話ながらお昼ご飯を食べました。
「さて、誘いに行きますかね。」
「別々に誘いましょう。その方が効率がいいわ。」
「そうだね。それじゃルーシャ、またあとで~」
「途中すれ違うかもしれないわね。」
ルーシャと別れ、ピクニック(サバイバル)に誘う人を探します。最初は…コーニス君でいいや。とりあえず居場所を突き止めないと行けないから、少し前を歩いてる女の子に聞いてみよう。
「ねぇねぇ、コーニス君知らない?」
「えっと、たしか演習場に行ったはずだよ。」
「そっか、ありがとー。あ、よかったら友達になってくれないかな?香奈はリカーナ・ブラックウィステリアだよ。」
「もちろん。私はアルケミア・トゥルース。よろしくね。」
「うん、よろしく。あ、アルケミアちゃん、よかったら今度の休みにピクニックに行くんだけど、一緒にどう?」
「いいね。でも私も一応貴族の娘だから、もしかしたらいけないかも。まぁ5人目だから行ける確率のほうが高いけどね。」
「行けないようだったら連絡してね。詳細は後々お知らせするよ。」
「わかった。それじゃ、またね。」
アルケミアちゃんと別れてコーニス君を探しに演習場に向かいます。
「あ、いたいた!コーニス君!」
「ん?カーナちゃん?どうしたの?」
コーニス君は先生が作った山や川、森、城や市街地で戦闘訓練をしていたようです。
「今度の休み、暇かな?って聞きにきたの。暇だったら一緒にピクニックに行こってお誘い。どうかな?」
「もちろん、暇だよ。行くのは僕だけ?」
「ううん、まだ誘うつもりだよ。」
「そうだよね…」
コーニス君がすごく落ち込んでいるように見えますが、話はまだ終わってません。
「詳細は後々連絡するけど、温泉入ったりとか、キャンプしたりとかするから準備しといてね。」
「お、温泉!?まさか混浴…」
「じゃないよ。」
「だよね…ははっ」
「それじゃぁね~」
フッと笑ったコーニス君を置いて演習場を後にします。
次は誰にしようかな~誘う相手は…ティアちゃん、ロロ君、スレイン君、瑠璃也お兄ちゃん、翠沙お姉ちゃん。瑠璃也お兄ちゃんと翠沙お姉ちゃんは後でじゃないと誘えないから、次はスレイン君にしよう。
スレイン君は自分の席に座っていました。というか隣だし。
「スレイン君、であってるよね?」
「君は…リカーナ・ブラックウィステリアだっけ。ディア君を虐めてた君が僕に何の用だい?」
っ!?男子体法主席は期待できないっていっちゃったけど、撤回しないといけないね。この分だとコーニス君にも見えていたはず。
「えっと…ね。ピクニックへのお誘い?」
「君、コーニスとやらも誘っているそうじゃないか。異性を侍らせて、さぞ愉しいのだろうね。まぁその趣味は僕にはわからないが。」
……香奈、この人苦手かも…
「僕もあの拷問をされるというのは考えただけで震えがとまらないよ。おっと、怒らせちゃったかな?本気にしないでくれ。冗談さ、冗談。」
うん、断言できる。苦手。
「さて、ピクニックだったかな?断ったら何をされかねないか心配だから、喜んで同行しよう。いつ頃なんだい?」
「今度の休みだよ。詳細は後々知らせるつもりだけど…それでいいかな?」
「かまわないよ。今度の休みというと…4日後か。なにか持ち物はあるかい?用意するが。」
「えっと、キャンプもするから必要な道具を。近くに温泉があるから皆で入るし。」
「わかった。楽しみにしているよ。というか席隣だしね。」
「そうだね。よろしくね、スレイン君。」
「あぁ、よろしく。せいぜい機嫌を損ねられないよう、努力するさ。」
「むぅ。」
スレイン君が両手をあげ、おどける様に自嘲します。
「それじゃ、他にも誘う人がいるから。またね。」
「あぁ。あまり男遊びは誉められたものじゃないぞ?」
「香奈をなんだとおもってるの!?次誘うのは女の子だよ。」
「そうか、それは失礼した。素直に謝ろう。すまない。」
「いいよ。誤解は解けたようだし。」
「あぁ、君はどっちでもいけるということがわかったしね。」
「???」
「おや、意味がわかっていないようだね。いまのも冗談だったんだが。引き止めてしまってすまない。行ってくるといい。」
「あ、うん。それじゃぁね。」
どっちでもいけるってどういう意味だろう?