魔法の授業1
デス君との死合の時間は20分。これまでに20分つかったから、そろそろ終わりかな。
「全員集合!」
魔王さんの掛け声で全員が集合しました。
「今日は初めての授業だから体法は体法、魔法は魔法だけの授業をしたが、明日からは20分20分と交互にやるぞ?」
「「はい!!」」
みんな元気がいいなぁ。香奈は疲れたよ。
「じゃ、解散だ。更衣室いって着替えてこい。次は魔法の授業だからな。」
…え?いまなんて?
「魔法の授業はこれでおわりじゃ…」
「これは実技だろ?魔法の知識を高める目的で筆記もあるんだよ。例えば刻印魔法の書き方とかな。はやく着替えてこいよ。」
うん、でも実技じゃないなら大丈夫かな。
「ルーシャ、いこ?」
「………」
「ルーシャ?」
「カーナ、魔法の授業よ!?筆記よ!?あぁ、楽しみで仕方がないわ…まだ見ぬ魔法を求めて…」
もはや薬の域ですね。
「あ、うん。とりあえず着替えよ?」
「そうね。はやく未知の魔法を学びたいわ…」
更衣室に移動します。
「そういえばカーナ、おもしろいことしてたわね。そんなに怒っていたの?」
「うーん、後々面倒になるかなって。1つの国が滅んでもいけないし。」
「なるほどね。」
ああいう性格って、後で何をするか分かんないし…香奈にちょっかいを出すと一族、酷いときは国、もっと酷いときは世界が終わるし…
「着替え終わったし、教室もどろっか。」
「そうね。」
「そういえばルーシャ、魔王さんと一回本気で戦ったの?」
「えぇ。なんで連絡をしなかったのか、とかで怒ったの。それじゃ一発やるかってなって、異空間に強制転移させられて。久しぶりに全力を出せて気持ちよかったわ。それにいろいろと戦い方を学べたし。」
「へ、へぇ。」
異空間じゃなかったらきっと周囲一帯は更地になっていましたね。
「そういえば次の授業は魔法の筆記だけど、何をするのかな。」
「たぶん刻印魔法の書き方や意味。魔法の由来、使い方、戦い方とかかな。」
「なるほど。刻印魔法、香奈はあまり使わないけどルーシャは使う?」
「えぇ、ある程度は。例えば……そうね…えっと…罠、にかな?」
使ってないんだね。うん。
「刻印魔法は魔力を流すだけで発動したりある一定の条件で発動するから本当に罠や無詠唱ができない人達が使うのよね。それか後世に魔法を残すとか。」
「そっか。ルーシャでもあまり使わないんだ。」
「でも身近なものなら遠話(電話のこと)とか火呂(キッチンコンロのこと)とか常駐するものに使うわね。気調(エアコンのこと)とかもそうね。」
刻印って彫るだけで発動するし状況によって形を変えるだけだから便利なんだよね。世界を覆うパパの力=魔力だから世界の魔力が切れるときはパパが死んだときか故意的に全部吸収したときだけだし。使われてる魔力は消費されるだけで何も残らないし、パパが生きている限りパパの中で勝手に作られて勝手に漏れでるから、ここに永久機関完成だね。一方的だけど。
「そうだね。それに教室の魔法障壁とか物理障壁とかも刻印だしね。」
「本当、便利なんだよね~」
「そうだね~」
使っても二酸化炭素とかも何も残さないから科学が発達しないんだろうなぁ。
教室に入って席に座ります。
「あ、そうそうカーナ。学園帰りに、ちょっと寄り道しない?」
「いいけど、どこに行くの?」
「買い物よ。あと2ヶ月ちょっとで夏だから新しい水着でも買おうと思って。」
「大人だね~学校の水着でいいじゃん。」
「味気ないでしょう?海で魔法の特訓するし。カーナももちろん来るでしょう?」
「たぶん行くけど…」
「ならカーナも買いにいきましょ。私たちの魅力で男もイチコロよ♪」
紳士しか釣れないと思うんだけどなぁ。
「その前にピクニックでしょ?誰を誘うの?」
「うーん、カーナは仲良くなったクラスの人っている?」
「心当たりはあるかな…」
「へぇ~?男?女?」
「男の子だよ。」
「それってもしかしてコーニス君のことかな。かな?」
ルーシャの威圧がすごい…
「う、うん。どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ。へぇ~そっか~」
な、なんか怖い…
「ル、ルーシャは何かあるの?」
「私?私はね、魔法の時に手合わせした人のなかでなかなかに面白そうな人に声をかけるつもり。」
「そっか。ちなみに男の子?女の子?」
「残念ながら男の子もいるわ。女の子も誘うわよ。」
なにが残念なんだろう…でもルーシャが気になるっていうなら才能があるのかな。女の子の方も気になるし。あ、先生が入って来ました。
「それじゃ、この話はまた後でね。」
「うん。」
「それじゃ授業を始めるぞ。魔法とは何か、とかは今さら聞くまでもないな?これは入学試験で出てるからな。」
算数なんかも入学試験で出ています。
「それじゃまずは刻印魔法のことだ。まずは魔法の分類を復習しよう。1つずつ言ってみろ。」
「はい!火炎魔法です!」
「細かく言うと違うが、まぁ正解だ。他には?」
「はい!氷結魔法です。」
「火炎魔法同様に細かく言うと違うが、正解だ。」
魔王さんが黒板に文字を…ちょっと感動。
「はい!風魔法です。」
「厳密には違うが、まぁまぁ正解だな。その認識で合っているとは言わないが、それくらいでいいだろう。他には?」
「はい!畑魔法です!」
「これは呼び名が違う。正式には大地魔法で大地や無機物に関係がある。他に。」
「はい!時魔法です。」
「正解だ。これは正式名称だな。他には?」
「はい!空間魔法です!」
「正解だ。他には?」
みんな元気だなぁ。
「はい!無いと思います!」
「世間一般ではそうだが、ここではもっと踏み込んで授業をする。まずは世の中ではなかなか聞かない魔法のことだ。闇魔法といって、影を薄くすることや、相手の感情を詠んだり操ったりする。」
「禁術ですか?」
「いや違う。他者を直接支配するには強力な魔力回路を必要とするし、相手の心が強いと失敗する。だから影を操ることに重きを置いて、暗殺者等によく使われるな。次は万能魔法。これはどの属性の魔法にも属さない魔法のことをいう。言わばゴミ箱だな。しかし万能魔法は刻印魔法、支援魔法等強力な魔法だから、一概にゴミ箱とか言ってられない。これで全魔法のことを知れたわけだが、整理するぞ。」
ちゃんと授業できてるなぁ。ちょっと怖いかも。
「まずは火炎魔法に氷結魔法はこれは同じ魔法の派生した形だ。元の魔法は熱魔法といって、熱を操る魔法だ。熱を与えるか奪うかで火がでるか氷ができるかになる。次に風魔法だが、これの正式名称は運動力魔法だ。ダサい名前だが、この魔法がなければ攻撃魔法なぞ出来なくなる。」
「なぜですか?」
「いい質問だ。まずは世間一般では並列詠唱は難しいと言われているな?」
皆がうんうんとうなずいています。
「魔法を撃ち出すためには外部からの力が必要だ。しかし魔法に肉体で触れ撃ちだそうとするとその魔法の効果が自分に及ぶ。よって肉体を使わない別の方法で魔法を撃ち出さないといけない。そこで使うのが運動力魔法だ。要は攻撃魔法を使う魔法師は全員無意識で並列詠唱ができるというわけだ。運動力というのは動く力や方向のことをいう。これを操ることで魔法を撃ち出したり静止させたりしているということだ。あとは大地魔法。これを操ることで浮遊が簡単にできるようになる。」
「畑魔法で浮遊を?普通は風…運動力魔法で飛ぶのでは…」
「まず、その畑魔法という認識を変えようか。大地魔法の派生は植物、無機物、重力だ。畑魔法といわれるのは植物と無機物が原因だな。無機物、すなわち石や砂、泥を操って畑を耕したり土を良くしたりすることに加え植物を操る、たとえば水分の吸収を良くしたり頑丈にしたり成長の促進、速くしたりするからだな。いまいち重力魔法が使われていないのも畑魔法といわれている原因だ。ものを浮かすのは運動力魔法で足りるからな。」
「では重力魔法は何に使うのですか?」
「それを聞かれると言葉に詰まるが、浮遊に運動力魔法か重力魔法、どっちが適しているかと聞かれたら即答で重力魔法というな。なぜなら運動力魔法というのはアルヴテリアの重力に逆らえるだけの力をかけているだけで、身体的には負荷が多い。しかし重力魔法は重力を無くすから負荷どころか体に優しいまであるが重力を完全に無くすとアルヴテリアの自転のおかげで宇宙へひとっとびだ。宇宙旅行をしたい奴は中途半端に使うといい。それと重力魔法で上空へ行き、運動力魔法で動くということもできる。重力魔法と運動力魔法を合わせて効果を上乗せし、より速く動くこともできる。要は使い方だな。しかし一般常識だが、それぞれの魔法に適性があるかないかも使えるか使えないかに関わっていくことは事実だ。」
「先生は魔法適性は全部あるのですか?」
「いや、俺は全て適性なし、あるいは適性ありだ。」
「…どういう意味ですか?」
「全ての魔法に通じているが、薄いってことだ。」
へぇ~。理にまでいった魔王さんの魔法の知識が薄いってね~。
「全ての魔法に適性を持っていても使いこなせなけりゃ意味がない。なら1つの魔法を極めちまったほうが効果的だが、広く深く魔法を使えるなら問題ない。わかったか?」
「はーい。」
「さて、ここからは刻印について学ぶ。刻印は万能魔法に属している。この刻印は本当の意味で万能で、刻印の外枠で規模を、内側の星の角数で属性を、そしてその中に記号を書いて組み合わせることで事象を発動させるようになる。刻印の作り方だが、さっきもいった通り刻印魔法の規模は刻印の外枠で決まる。外枠の円を二重にしたり三重にしたりして範囲や高さを調整する。そして内側の星画数だが、5角が熱魔法、6角が運動力魔法、7角が空間魔法、8角が大地魔法、9角が闇魔法、10角が万能魔法だ。次に記号だが、どの方向にどのような速度で、いつ発動していつ無くなるのか等を書く。が、星を1つ、魔法の規模や事象を書くのには魔力が必要だ。まぁ記号1つの必要魔力を1とすると記号2つだと必要魔力は2。そして記号3つだと3だ。よって、刻印魔法では大規模な魔法やより複雑な魔法はあまり書かれず、書ける奴がいたとしても量産できない。使いようによっては紙切れ1枚で強い武器になるが、無詠唱よりも書く手間があるため遅い上に使い勝手がわるい。まぁ護身用や罠に書き置きしておいて護符にしてもいいかもな。」
「はい!事象を決める記号とは、どんな形をしているのですか?」
「それは今から渡す教科書に書いてあるから覚えてこい。いつかテストするからな。」
「はーい。」
360度は7じゃ割れんだろ!!という意見もあるとは思うのですが、アルヴテリアの世界では7芒星が作れなければ空間魔法に適正はないという感じで、360度を7で割るという単純なものではないのです。
はい、正直360度は7で割れないというのは投稿して2年経ってから気づきました!後付けの設定ですが辻褄は合わせてあるのでご容赦を!