ニューキョ王国王子
仲間外れにされた香奈は、とりあえず見学します。マルスさんはクラスメイトと2・3回手を合わせたら次にいってるようで、その2・3回でクラスメイトの実力を計っていると言うことになります。そしてクラスメイト全員を捌ききるのはそう時間はいりません。
「シャウくんはもっと相手の動きをみよう。ダイアくんは避けることを覚えよう。ルメインちゃんは相手の隙を探そう。」
アドバイスもしているようです。魔法学科の方も見てみると…
「おらどうした!10対1でも攻撃を当てられねぇのか!?詠唱が遅い!威力も無い!シェイズ!この火はなんだ!?種火か!燃え盛る炎を想像しろ!それとパレア!なんだこの風は!扇風機サービスか!?あ゛?とりあえず種火魔法にでも当てて補助に使うか薄く展開して物を切れるようにでもしてろ!」
「先生!それでは先生が死んでしまいます!」
「うっせぇ!殺す前に殺される覚悟はしてんのかおら!殺す心配してんなら間違って殺されちまうことを心配しろや!遠慮なんかいらねぇから本気でこい!全て受けてやるぜ?」
「「っ!?…はい!」」
なんかあっちはあっちで熱くなってるよ…
「なぜかハブられたんだけど…」
「あ、ルーシャ。」
そっか…ルーシャも仲間外れなんだ…仲間外れ同士、仲間になればいいよね!
「ルーシャ、香奈たち、ずっと一緒だよ…」
「な、なによ急に!?それは…当然のことじゃない…」
「ん?なに?」
「おらなにしてんだルーシャ、お前も10人相手にしねぇと外した意味がなくなっちまうじゃねぇか!」
「あ、はい!い、いってくるね、カーナ。」
あ、ルーシャが裏切った…
「カーナちゃんもですよ。ちゃんと組み手に混ざってもらわないと。」
あ、香奈も同じ目的で外されたんだね。
「それじゃ、お願いします。えぇっと…たしかコーニス君だよね。」
「はい。お願いします、リカーナちゃん。」
「カーナでいいよ。それじゃ、いくよ!」
とりあえず思考速度を1,5倍に。
「隙が多いよ、コーニス君。ほら、左!」
「くっ!?なんてね。隙あり!」
「誘われちゃったのか…やるね。なんてね!それも見越してだよ!」
「うわっ。」
コーニス君が香奈がコーニス君の隙を突いたときにわざと作った隙に一手を入れたので 、香奈はその一手で出来たコーニス君の隙を突きます。しかし、ここで香奈は足をもつれさせて転んでしまいます。
「っつつ…いたぁ。コーニス君、大丈夫?」
「ぅぅん……カーナちゃん、大丈夫だよ…うわぁ!?」
香奈がコーニス君に、馬に乗っかるようにして転んでしまいました。顔が近かったからか、なんとか腕で受け身を取って頭を浮かせていたコーニス君が大きくのけ反り、地面に頭をぶつけてしまいました。
「コーニス君、頭大丈夫?」
「ちょっと毒が入った言い方だけど…大丈夫。カーナちゃんの方は?」
「コーニス君がクッションになってくれたから平気だよ。」
「あぁ、うん。それだったら退いてくれるかな?」
「あ、ごめんなさい。立てる?」
「問題ないよ。」
コーニス君に向けて手を差し出します。
「ありがとう。それにしてもカーナちゃん、強いんだね。試験では風邪で本気を出せなかったけど、カーナちゃんには勝てる気がしないや。」
「ううん、コーニス君も強いよ。マルスさんに教えてもらったら、もっともーっと強くなるよ?
6歳で思考速度1,5倍の香奈についてくるんだし。
「そう…かな。ありがとう、頑張るよ。それじゃ次の人が待ってるから。」
「はーい。またやろうね。」
「えぇ、それでは。……カーナちゃん、柔らかかったなぁ…」
去り際に何かを言っていましたがよく聞き取れませんでした。あ、ルーシャの撃った魔法がコーニス君の方に…
『ジュッ』
「熱っ!?」
「あら、すいません。よく見えていなくて…」
なんかわざとらしく見えるけど、ルーシャの撃った魔法が種火でよかった…焔魔法だったらコーニス君は蒸発していました。
「いや、僕も不注意でした。気にしないでください。」
ちなみにルーシャは20対1をやっているまましゃべっています。あ、ルーシャが時魔法ですこし火傷した部分をもとに戻しました。コーニス君は気づいていないようですが…
「もう、カーナも気を付けなさいよ?男って皆ケダモノなんだから。」
「うん、心配してくれてありがと。」
「い、いや?友達…親友として当然のことだし?」
「うん、香奈達、親友だもんね」
「うっ、うん。…ねぇ、この魔法は何?私を精神的にも肉体的にも熱くさせるのが目的ってなら成功してるけど?」
ルーシャはまだ20対1をしています。流石にバテてきましたね、20人が。
「カーナちゃんにも次々やってもらわないと、魔法学科に負けちゃいますよ?」
「はーい。」
「次は…誰だったかな。」
「へっ!この俺の名前を忘れたのか?」
いや、覚えてすらいないし…
「可愛い顔して生意気なこと言ってんじゃねぇか。」
うん。同い年だよね?
「女の中で首席だとかなんだとか知らねぇが、男とじゃ基準が違ぇだろ?女の首席と男の首席じゃ実力に差があるってもんだ。その男の次席に、女の中での首席が勝てるわけが無いだろう?」
その差って、男が女よりも強いって誰が決めたの?って、1人心の中で突っ込んでる香奈…
「そうだね。差はあるよね。性別が違うんだもん。」
例えば体法は力が強い男性、魔法は頭がいい女性と性別によって得意不得意もあります。が、魔王さんを見ていればそれも微々たる差だとよくわかります。
「俺の名前はディア・パイオツ。ニューキョ王国の王子だ。」
可哀想な名前ですね分かります。あと、ニューキョ王国も変な名前で…王族の名前がパイオツ…なるほど。命名者さんは変態さんですね。
「そして俺が勝ったら俺と結婚しろ!ちなみに拒否権は、ニューキョ王国が敵になるという言葉を添えてあると言っておこう。」
うわ、きm…失礼ですね。大変近寄りがたい方です。
「では私が勝ったら?」
「俺を好きにしていい。」
なるほど。勝っても負けてもきm…いえ、大変香奈に都合の悪い状況になるのですね。ちょっとルーシャの方を…
『ジー…』
今か今かと魔法を撃つ構えをとっています。もちろん、30対1をしながら30人に向けた魔法ではなくこっちに向けて。
「うーん、それじゃぁ香奈に良いことがないなぁ。香奈は香奈の嫌なことだけをするのに、そっちは自分の望むことだけ。」
言外に求婚を断っています。
「なに?ニューキョ王国王子のこの俺が嫌だと?」
顔は王子なだけあっていい方だとは思うけど…香奈はもっと白髪で、人生を悟ったような顔で、大人びたお方がいいの。