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人工未知霊体を好きになったらば  作者: はちみつなめるぷー
プロローグ
9/710

思い出の地

 足枷しょくざいがなくなったルシファーズハンマーは快調だ


目指すは60キロ先にある施設


親父の秘密を知った今の俺はかなり強気だ


親父もオタクをバラされたくはあるまい


今から親父の恥ずかしがる顔が目に浮かぶぜ!



 3時間ほどで郡山に到着した


ここはコヨリの思い出が詰まってる土地


あの日、中二病だった俺は勢いにまかせてコヨリに告白した


気の利いたセリフも言えなかった若かりしころの俺


コヨリは喜んでくれた


もっと喜ばせてあげたかった


引きこもりになんかならず、昔のように色んな場所へ遊びに連れて行きたかった


今となってはそれもかなわない


あの日、なぜか無性に外に出たい気持ちになったのは、こうなることを知っていたからなのだろうか?


涙ぐみながらコヨリとの思い出の街を走り抜ける


中二病だったころの俺を、全力で殴りたい気持ちを抑え、街外れにある施設に到着した



 この施設はかなりでかい


体に障害がある人が暮らす小さな町って表現が正しいのかもしれない


福島は土地が余っているのだ


分割都市計画で地方も住みやすくなったものの、少子化の影響で地方には土地があまっている


人口の多くが東京、大阪、名古屋に集まっているが、地方都市もそれなりに健在だ


ロビーの受付で登録確認を済ませ中に入る


病室に親父の姿はなかった


「怪我人がプラプラしてんじゃねいよ!」


長い廊下の外には人工芝が広がり、ベンチに座って読書する人、ボール遊びをする人が見える


食堂やリハビリルームを見て回るも、親父の姿は見つからない


娯楽施設にその姿を発見した


親父は首に機械を装着してソファーに座っていた


VRでも楽しんでいるのだろう


この機械を付けている間は現実世界を認識できない


しかし管理体制は万全だ


体に近付く者がいれば仮想現実内で告知される


詳細もすべて録画され、中の人間にモニタリングされるという寸法だ


少しして親父が起き上がった


「おう、来てたのか望」


「来てたのかって、受付で登録確認したんだから通知されてるでしょうに」


「すまん、ちょっと映画に夢中で気付かなかった」


使う側の人間がこれじゃ万全も何もあったもんじゃない


俺はそんな呑気な親父に聞かなければならないことがある


「ちょっと親父に聞きたいことがあるんだ」


いつになく強気な俺の態度に、親父は何か気付いたようだ


「場所を移すか、ここじゃ他の人の邪魔になる」


そう言って娯楽施設を退出し、プライベートルームに案内された



 この中のセキュリティは万全だ


ここで話す内容は緊急時以外、外部に漏れる心配はない


親父の秘密が暴露されるんだ、これくらいの部屋は必要だろう


中央の椅子に腰掛け、親父が対面に座る


「あの部屋に入ったんだな」


「うん」


さあ、どんな言い訳をするのか聞かせてもらおうじゃないか


「望はあれをどう思う?」


どう思うってそりゃ…


俺が返答に困っていると親父が話しを続けた


「あれは先代が残した、我が家の遺産だ」


どういうことですかお父さん!

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