ユウ姉のターン
「どうしたでござるか望氏」
気を失う寸前のところでサユリが目覚めたようだ
俺はいま、ベッドに正座してユウ姉に着替えさせられようとしている
「何があったのか説明してもらいましょうか?」
ユウ姉の目は本気だ
俺とサユリは顔を見合わせ、何から説明すればいいのやらと悩んでしまう
するとサユリ氏が
「魔法少女リリカルサユリに変身して、ワイバーンを倒したのでござるよ」
うん、それは何一つ間違っていないよ、偉いねサユリ氏、よくできました
などと思っていたのだが、ユウ姉はわけがわからない様子
ですよねー
俺はなるべく分かりやすく簡略的に説明した
「わかったわ、信じる」
まじか、ユウ姉は意外と物分りが良いのかもしれない
いつもなら俺が何を言っても、面白がってからかうだけなのに
「それはそれとして二人共、布団までびしょ濡れよ?」
洗濯しちゃうから場所を移動しましょう
現在の時刻は、すでに7時を回っていた
俺とサユリはタルパの寝室で横になっている
あのあと、ユウ姉が俺を着替えさせてくれたのだが
俺はトランクスだけは死守せねばと必死に抵抗したのだ!
しかし、体を激痛が襲った隙きに、最後の砦は陥落した
召し捕ったりと嬉しそうに喜ぶユウ姉を尻目に、ガチで苦しむ俺
サユリが俺を心配して抱きしめてくれたのだが
今日はユウ姉が俺の独占権を持ってるらしくサユリにキツく当たる
そんなユウ姉に俺は本気で怒ってしまったのだ
「ユウ姉ごめん、今日はサユリの側を離れたくない」
そう告げたときのユウ姉の顔が忘れられない
何やってんだろうな俺は
大好きな人を傷つけてばっかりだよ
「はいのん坊、あーん」
それでこれなのである
一人で食べれると言ったのだが、両手の火傷を心配して食べさせてくれるようだ
こんな火傷など現代の医術では、シートを貼ればすぐに完治するのだが
出来るだけユウ姉のやりたいようにやらせてあげようと思う、俺の優しさだ
今日の朝食は、焼き鰤、カブの葉の味噌汁、カブときゅうりの浅漬けか
カブといったら春だろう!と思いながらも、カブの葉の味噌汁を一口食べる
葉っぱと言えど侮るなかれ、コクの深い出汁と味噌に煮込まれた葉はとろけるような舌触り
すかさずカブの浅漬けをポリポリ
春に近い1月の時期はいまだ甘みが濃く、実に美味である
そして朝食の主役、鰤を一口食べるのだが
冬の季節、一番油が乗った鰤は朝食には合わないと思われがちだが、それは間違いなのだと思い知らされた
一口大に切られた鰤は、小麦粉をまぶして焼いたのであろう
小麦粉で旨味を逃がすことなくこんがりと焼かれた鰤には大葉が巻いてあり、その上からポン酢がかけられている
大葉の爽やかな香りと小麦粉に染み込むポン酢が、噛めば噛むほど鰤の味を引き立てるまさに料亭の味!
「美味しい?」
飲み込んでしまうのがもったいないほど味を噛み締めている俺に、そう聞いてくるユウ姉
もちろんですとも、俺はこんなに美味い鰤を生まれて初めて食べた!
俺が「美味しいよ」と返すと「本当?今日の朝ごはんはユウお姉ちゃんが作ったのよ」と嬉しそうに返ってくる
なん、だと!?
てっきり、リュウが作った物だと思っていたのだが、流石はユウ姉と言ったところか
和食を作らせたらリュウに勝るとも劣らない
俺はユウ姉が作ってくれたご飯で、お腹いっぱい幸せを噛み締めるのであった




