今現在の気持ち
家を飛び出してから10分ほど経っただろうか
何も起きる気配はない
恐る恐る家に入り、秘密の部屋の扉を開けた
親父の遺書はまだ爆発していないようだ
シールドを張り手紙に近付く
爆発する遺書にはまだ続きがあった
嘘ぴょーん!
びっくりした?いまどんな気持ち?ねえどんな気持ち?
「ふっざけんな親父まじふっざけんなし!」
お前の悔しがる顔が見れないのが残念だよ
さて、真面目な話しをしよう
実はお前の体には秘密がある
お前も気付いてるのではないか
「親父は俺の能力を知ってたのか」
実はお父さんの体にもお前と同じ術が施されている
しかし、この術はまだ未完成品だ
お前がこの術を完成させてくれ
詳しいことは、お前がこの術の意味を理解したときに話そう
義之、母さんを頼んだぞ
「義之って誰だよ」
てか母さんはもう新しい男とエンジョイしてるよ!
なんだ、意味がわからないぞ?
さっきからぐーぐーと、腹の虫が収まらない俺はイライラしていた
考えれば考えるほど腹が減る
とりあえずわかったことは、この部屋に俺の必要としてる物はないということだ
俺はメイド抱きまくらに見送られ部屋を後にした
この時代に空腹で死ぬとかありえない話しだ
通信一本でいつでも暖かいご飯が食べられる世の中
こんなクソ田舎ではそれもかなわない
そう、ここは超ド田舎なのだ
何より俺のナノチップは受信しかできないしな
空腹に耐え
愛車ルシファーズハンマーにまたがる
背に腹は変えられん、引きこもりにも意地はある
プライドなんて捨ててしまえ!
ボサボサの髪をなびかせペダルを踏み込む
クタクタのシャツにスウェット姿を笑いたければ笑えばいいさ!
前カゴに積んだ食材がいつもより重く感じた
食材があるなら自分で作れば良いだろだって?
小麦粉を水で溶かして焼く程度しかできないんだよ俺は
この時代の食材はすべて調理が必要なのだ
それに見合った道具がなければ食べられる代物じゃない
昔のように、木に生ってる実をそのまま食べるなどありえないのだ
親のありがたみをこんな形で感じることになるとは…
俺は恥を忍んで数キロ離れた隣の家のチャイムを鳴らした
「はーい、どちら様ですが?」
声の主は若い女性のようだった
「あ、あ、す、すすすみません、隣に住んでる二瓶です」
「あー二瓶さんね、ちょっど待っちぇでくださーい」
出てきた女性は30歳くらいだろうか?見た目では本当の歳なんてわからない
「どうしましだ?何がありましだ?」
俺の小汚い姿を見て一歩引いた女性
単刀直入に言う
「す、すすすみません、何か食べさせてもらえないでしょうか?」
女性が色々聞いてくるのだが、それらをすべて簡略的に説明して家の中に入れてもらった
一人暮らしをはじめて一ヶ月も経たずに、空腹で死にそうになるなんて思ってもいないだろう
食材を手渡し、女性が作ってくれた料理を一心不乱に貪る!
それを見て驚く女性
腹が満たされると冷静になり、女性と二人というこの状況が、だんだん恥ずかしく感じてきた
一刻も早くここから立ち去りたい
女性にお礼を告げ、余った食材を差し上げ、女性宅を後にした
次に俺が向かう先は親父の施設だ!