ナイスバディ
「しかし熱いでござるな望氏」
どうやら格闘ゲームとやらは、熱中するとかなりのカロリーを消費するらしい
俺は髪まで汗で濡れていたが、サユリもちょっと汗ばんでる
「タルパも汗かくのか」
緊張したり興奮したりすれば汗は出るようだ
タルパ七不思議の六つ目を手に入れた
俺はいま、サユリにお風呂で頭を洗ってもらっているでござる!
今朝悲しませてしまった分、なるべくわがままに付き合ってやろうという俺の優しさだ
決してサユリの大きなおっぱいを見たかったからではない
「まさか本当に一緒に入るとは思わなかったでござるよ」
うむ、サユリは俺をからかうつもりで
「一緒に入るでござるか?」
などと聞いてきたのだが俺は入ると即答したのだ
サユリの眼鏡と髪型は一種の照れ隠しのようなもの
自分をオタクキャラ化することにより、別人格を作っている
鋼拳で惨敗した俺は、お返しに恥ずかしがるサユリを見てやろうと思っていたのだが…
あかーん!サユリがナイスバディすぎてまともに見れん!
対してサユリは俺が子供なので、初めこそ緊張してたものの、今じゃ完全に形勢逆転されてしまった
素数だ、素数を数えれば大丈夫だ俺!
「今度は望氏が拙者の汗を流してくだされ」
後ろ髪を掻き上げ、色っぽく薄紅色に染まったサユリの背中が顕になる
その姿に耐えられなくなった俺は、ダッシュで風呂場を離脱した
「すまんでござるよサユリ氏!」
待つでござると言う声を背に、風呂場から出た俺はリビングにいた
(時間がないのでしょう、いつまで遊んでいるつもりですか)
セツに怒られてしまった
怒られても困るってものだ
あんなの人間じゃどうすることもできないぞ
(銀河とか末那識とか阿頼耶識ってなんなのさ)
冥界での出来事を思い出していた
あのワイバーンってやつはこちらを本気で殺しにきた
妙な力を無数に飛ばしてくるのだが、一発一発がロケットランチャー並の威力を持つ
一発でも食らえば即死してしまうのだ
(あの部屋で聖闘戦記を探しなさい)
(なんだいその聖闘戦記って?)
突如、リビングの扉がシュッと開く
「ずるいでござるよ望氏!」
風呂から出たサユリが、バスタオル一枚の姿で俺に抱きついてきた
協定力とやらが働いてるのか、これ以上セツに聞き出すことはできなかった
時計は12時になろうとしていた




