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人工未知霊体を好きになったらば  作者: はちみつなめるぷー
真理の扉の鍵
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サユリのターン

「二人ともここに居たでござるか」


俺はいま、セツに現世にもどされ、高祖父が残した秘密の部屋に居る


「朝ごはん出来てるでござるよ」


笑顔でそう告げるサユリが嬉しそうに俺を抱っこしてきた


「サユリ氏、それがしは自分で歩けますぞ?」


俺を抱っこするサユリはとても上機嫌だ


そうか、朝が来たってことは、俺の独占権はサユリが握ってるのか…



 抱っこされたままリビングに移動する


サユリに抱っこされてる俺を見ても誰も気にしていなかった


すかさずチコちゃんの姿を探す


チコちゃんはキッチンで朝ごはんの手伝いをしているようだ


「良かった、まだ消えてない」


サユリに離してと言うが「嫌でござる」と笑っていわれてしまう


なぜだ!俺が拒否したら強制力はないんじゃないのか!


言うことを聞かないサユリについキツく「離せ」といってしまう


「すまないでござる」


俺を離したサユリはとても悲しい顔をしていた


すまんサユリ、今はどうしてもチコちゃんの側に行きたいんだ


チコちゃんに近付くと俺に気付いたチコちゃんが「コーヒー入れますか?」と聞いてきた


「甘いのでお願い」とオーダーすると


かしこまりました、と笑ってくれる


良かった、いつものチコちゃんだ


そういえばチコちゃんは俺のコーヒーを飲みたがっていたな


「チコちゃん、俺がコーヒー淹れようか?」


「本当ですか?」


目を輝かせ、俺を見るチコちゃんの顔はとても嬉しそうだ


しかし次の瞬間、セツに注意されてしまう


(望、あまり干渉するのは危険)


リミットが解除されていないにしろ、とても不安定な状況に変わりはない


何がきっかけでたがが外れるかわからない


確かに軽率な行動だった


「うん、チコちゃんが満足するコーヒーを練習してるから、完成したら今度絶対作ってあげるからね!」


咄嗟にごまかした


チコちゃんは「約束ですよ」と喜んでくれる


くそ、好きな人にコーヒーすら作ってやれないのか俺は


(今は我慢しなさい)


わかってるよ


(あと一つ)


協定力が働いてる間はこうして話すこともできなくなる


なので、今のようにサユリを傷つけて協定力から解放されないといけない


(厄介な協定を勝手に結んでくれたもんだな…)


(こうでもしなければまた繰り返してしまう)


そうだ全部、俺が悪いんだ


(わかったよ、ありがとう)



 自分の席に座るとサユリがうつむいていた


眼鏡で顔は見えないが、泣いてるのかもしれない


気付いたらサユリの席に移動して、みずからサユリの膝に座っていた


びっくりしてるサユリに


「さっきはごめん」


そう伝えると


「気にしてないでござるよ」


そう言って笑ってくれた


それを見て、ユウ姉とリュウの機嫌が明らかに悪くなったのを俺は見逃さない


もしかしたらサユリからの好意には干渉できないが、俺からサユリにする好意には干渉出来るのではないか?


試しにサユリに抱きついてみる


喜ぶサユリに対し、負のオーラを出すユウ姉とリュウ


チコちゃんはあまり興味がない様子だ


チコちゃんに嫌われればと思ったがあまり効果はないか


「そんなに抱きつかれると恥ずかしいでござるよ」


しまったでござる!


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