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人工未知霊体を好きになったらば  作者: はちみつなめるぷー
真理の扉の鍵
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鞭は飴

 俺は謎の教室の教壇の一番前の真ん中の席に座っている


教壇にはスーツ姿に眼鏡を外したセツが鞭のような物を手にしていた


(愚か者の望には少しお仕置きが必要ですね)


教室を見渡すが、生徒は俺だけのようだ


何故か俺の課題をすべて手にしたセツが勉強を教えてくれるという


なぜだ!課題は完全に消去したはず!?


ピシィッという音と共に右腕に激痛が走る


アウチッ


(静かにしなさい授業中ですよ)


「まて、俺は一言も言葉を発していない、セツが勝手に俺の考えを読んだだけだぞ!」


睨みつけてくるセツ


セツ先生に課題を教わるしか、俺が生き残る術はなさそうだ…



(3月1日は日曜日で祝日、晴れの日でした)


を英文にしなさい


これは日の読みがすべて違う所が…


なにやら外国人はこれが読めないらしい


宇宙人も例外ではないようで、ニホンゴムズカシイと言ってるようだ


まあ、なにはともあれ課題を手伝ってくれるのは大変ありがたい


セツ先生に教わるなんて二度とできない経験かもしれないぜ!


(聞いてますか)


ピシィッと鞭が鳴る


「はい、ちゃんと聞いておりますとも!」


どうやら集中しないとあの鞭が大変なことになりそうだ


 課題数日分後


「みんな、元気にしてるかな…」


(うるさい)ピシィッ


 課題数週間分後


「リュウ、ユウ姉、サユリ、チコちゃん…」


(集中しなさい)バシィッ


 課題数ヶ月分後


「セツ先生、お願いが、お願いがございます!薄汚い私めに、どうか、どうかその鞭をお恵みください!」


(黙れ外道)


 課題半年分後


俺の…課題が…終わっ…た…


(おつかれさま)


ってちょっと待って、ちゃんと説明しないと誰もわからないからね!



 セツが連れてきたこの教室


何やらとんでもない空間らしい


外部から完全に遮断されたこの教室は、時間の概念がなく腹が減ることも眠くなることもない


精神はごっそり磨り減るのだが!


時間という概念がなくても、課題の数でだいたいどれくらい経過したのかは分かる


ここでの経験は蓄積され、現実世界に戻っても消滅することはない


俺が電子の海に消し去った課題はセツが回収し、再構築したそうだ


セツの前ではすべての情報操作は意味を成さない


とにかくこの教室で俺は、約半年分の課題を一気にやり終えたのだ


椅子に腰掛け眼鏡を外したスーツ姿のセツを見る


どうせ俺の考えは読まれてるんだ


眼鏡を外したセツはとても綺麗で魅力的な女性だ、けど


やっぱ俺は眼鏡をかけたセツのほうが好きかな


(///////)


なんか真っ赤になったな


などと思った瞬間、俺はリビングに戻されていた


隣には何事もなかったかのようなチコちゃん


どうやら無事に帰ってこれたようだ


右隣に座るセツを見るといつもの制服姿に戻っていた


兎にも角にもセツのお陰で課題が終わったのは事実だ


「ありがとうセツ」


この御恩は水曜日メンテナンスまで忘れないよ!


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