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人工未知霊体を好きになったらば  作者: はちみつなめるぷー
真理の扉の鍵
65/710

円周率それはπ

 あれから一時間くらい経っただろうか


「あの、リュウさん?そろそろ離してほしいのですが?」


「駄目です」


即答されてしまう


いかんですよ!


俺は、体は子供になったとしても頭脳は大人な思春期高校生なのだよ!


俺のみぞおち部分にはリュウの大きなおっぱいが押し付けられている状態


このままでは俺のポークピッツがアルトバイエルン化してしまうではないか!


考えるな俺!素数をかぞえるんだ!


2.3.5.7.11.13.17.19.23.29.31.37.41.43.47.53…181…1811…いっぱいの…おっπ…いやπは円周率だろブラザー


はっ!


謎の脳内ブラザーに現実に引き戻された瞬間、部屋のドアがシュッと開いた


チコちゃんが「ご飯が出来ました」と言いながら入ってきたのだ


はっとした瞬間に思いっきり腕だけで起き上がった俺の状態は、チコちゃんから見たら、まるで俺がリュウを押し倒してるように見えたのだろう


パタパタとリビングに戻るチコちゃん


開け放たれたドアから聞こえるチコちゃんの声


「大変です、リュウさんが襲われてます」


おうふっ!


俺を抱きしめたまま起き上がるリュウ


「え?ちょっ!」


リュウに抱っこされた俺はそのままリビングまで連れて行かれるのであった



 抱っこ状態のままリビングに運ばれた俺を見る一同


「さあ、冷めないうちにいただきましょう」


ユウ姉が華麗にスルーする


不思議そうな目で見るチコちゃん


やめて!俺をそんなピュアな目で見ないで!


朝食を食べる一同


俺は未だにリュウに抱っこされたままである


「はい望さん、あーん」


目の前に運ばれる芋の煮物


とても良い匂いだ


その芋を何も考えず食べる


きっと昨晩から仕込まれていたのだろう


出汁が中まで染みた里芋は、滑らかでとろけるような口当たり、とても美味である


「うわあ…」


サユリから漏れる声に、もうどうにでもなーれ状態だった俺は現実に引き戻された


状況を確認すると、みんな美味しそうに朝ごはんを食べている


サユリの俺を見る目が若干引き攣っていたのは言うまでもない


俺はリュウの隙きを突いてすり抜け、テーブルの下を潜り脱出した


リュウの対面にある自分の席に座る


目の前には左からユウ姉、リュウ、サユリの順に並んでいる


俺の左にはチコちゃんが座り、右にはセツが美味しそうにシャケを食べていた


リュウの目がいつもより色っぽい


そんなリュウの姿に見惚れていると、偶然リュウと目が合った


瞬間、真っ赤になるリュウと俺


「青春でござるなあ…」


「春が近いのかしら?」


いいや、暦はまだ1月、真冬でござるよ!

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