やはり天才か
すべてを諦めかけたそのとき
「望氏、チコりん氏に教わった通りのことをパパ殿に教え、作らせるのはどうでござるか」
なるほど、そなた天才でござるな!
親父をキッチンに連れて行きコーヒーを作らせようとしたのだが
そうだ、チコちゃんに怒られる
チコちゃんも親父を認識できないが、今の親父は髭面だ
実験してみても良いが、それを悲しませることは俺も親父も望んではいないだろう
「親父、ばっちいから風呂入ってくれ」
親父はクンクンと腕の匂いを嗅ぎながら
「お父さん汚いかな?」
うむ、髭くらい剃ってこい
風呂から上がった親父にチコちゃんコーヒーの作り方を伝授する
やがて完成したそれはチコちゃんのコーヒーには劣るが上出来だ
親父が自分で作ったコーヒーを一口飲む
目を見開き、一心不乱にコーヒーを飲み干す
そして一言
「美味い」
それはそれは、とても見事な敬礼のポーズだったのは言うまでもない
認識の弱点を見つけた気がする
認識できなくされても知識を伝えることは出来るのだ
知識は財産
あのゲームの古参プレイヤーがそんなことを言ってたっけ
それもまた真理か
あれだ望と親父が呼ぶ
「お父さんは、父として望に言わなければならないことがある」
なんだ?
今更あの箱が欲しいと言ってもやらんぞ
あれが無くなったらチコちゃんが悲しむ
俺もとっても悲しむ
飲みたくなったら帰ってきて自分で作れ
などと思っていると
「卒業する気はないのか?」
はっ
右手のナノチップに触れ、課題通知を表示する
そこには198通の文字
絶望した!学歴主義社会に絶望した!




