表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人工未知霊体を好きになったらば  作者: はちみつなめるぷー
プロローグ
4/710

誇りの強奪

 コヨリが消えた世界の時間は一瞬で過ぎ去った


コヨリのお陰で勉強だけが得意だった俺は一気に落ちぶれた


内申点はボロボロで、高校受験なんて県内一の馬鹿高校すら危ういレベル


「俺はコヨリがいない世界のスピードについていくことができなかったよ」



 あれからコヨリが消えた理由を考えてみたのだが


俺がVR世界にのめり込んだからか?


中二病思春期をこじらせコヨリを邪険に扱ったからか?


それでもコヨリはいつも笑って側にいてくれた


そして一つの仮説をたてた


俺のタルパは他人の認識が強くなると消滅してしまうのではないか?


あの時、運悪くテレビ福島で、マスタースミスが再放送されていなければ?


あんな10年前のアニメのキャラを覚えてる物好きなんて俺くらいなもんだろう


それこそ空気のように、俺にとって無くてはならない存在だったのだ


それなのに俺ってやつはVRなんかにうつつを抜かしやがって


正直死にたいと思った


でも、生きてるうちはコヨリに会うことが出来るのだ


そう、モニターの中でなら…



 まだ仮説だが俺の能力には制約がある


その仮説を裏付けた出来事があったからだ


コヨリを失った俺は藁にもすがる思いで、新しいタルパを作ろうと思い立った


まず手始めに、最近流行りのアニメや漫画を片っ端から読み漁った


タルパとはキャラクターを具現化する能力


元から完成されているキャラなら簡単に創ることができるのだ


10年間、コヨリと一緒に過ごした俺の能力ちからは驚くべきものだった


俺が本気で好きになり魂から願うと、現実世界に具現化することができる


そう、新しい命を創ることが可能なのだ


しかし、ここで制約が発動する


他者による認識だ


他人がそのキャラを「俺の嫁」みたいに、超強力な力で縛ると消えてしまう


コヨリのように複数人がその存在を認識しても消えてしまう


もちろん学生の身だから家族に見つかった時点でアウト


そして一度創り、消えてしまったタルパは二度と具現化できない


俺の能力は創造主すら忘れているような、化石化したキャラじゃないと効果が薄いのだ



 受験当日


俺は、とあるアニメの某天才引きこもり美少女をタルパにして受験を突破した


その頃、クラスの女子と付き合うことになった


リア充ってやつだ


リアルが充実しているとタルパを忘れてしまうことが多く


気付いたら、某天才引きこもり美少女が消えていた


俺はこの時に願ったよ


リア充の俺、爆発しろとね!


好きになったキャラが目の前から消えてしまう悲しみが理解できるだろうか


高校受験のために、某天才引きこもり美少女を創り


合格した途端にクラスの女子から告白され


浮かれていることろで、某天才引きこもり美少女が俺の前から消えたんだ


むしろもう、俺の能力はタルパなんていう単純なものでは言い表せない


創造主が世に生み出した大切な我が子を奪う行為


これは俺への戒めの意味を込めてこう名付ける


「プライドスナッチ」


誇りの強奪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ