認識つよすぎンゴ
チコちゃんにコーヒーを作ってもらい親父に渡す
それを見て親父は
「信じられない…」
どうやら親父が失ったものは認識だったようだ
親父はチコちゃんのコーヒーを認識できない
そこにあるのに見ることも触ることもできないのだ
チコちゃんにも親父が見えていない
その事実を知った今ですら、その存在を認識できないのだ
好きな人を認識することも、認識されることもできなくされる
これが失敗した親父の罰らしい
死ぬまで親父のタルパはこの世界に縛られたままなのだろうか?
「なんでチコちゃんは望にコーヒーを作れるんだ?」
親父の言葉の意味がわからない
「チコちゃんがコーヒー作ったらおかしいの?」
おかしいと断言する親父
タルパは従者以外の人間のために何かをすることができないそうだ
「間接的にも?」
「そうだ」
例えば望が死にそうな場面であろうとも、お父さんのタルパは望を助けられない
まじかよ
「でもリュウの料理は見えてるでしょ?」
親父は食器だけが見えているそうだ
嘘だろ?
食材という、現在、確かにこの世界に存在している物体を認識できないだと?
なんとかして親父にチコちゃんコーヒーを飲ませることができないものか
「ちょっと待ってて親父」
俺はチコちゃんを連れてキッチンに入る
チコちゃんにコーヒーの作り方を教わる作戦だ!
チコちゃんの教え通りに豆を挽く
お湯の温度を確かめてドリップする
一滴一滴、丁寧に抽出したそれをカップにそそぐ
親父に差し出す
「何も入ってないぞ」
なんだそれ
「ちょっと飲むふりしてみて?」
親父の体をすり抜けて床に溢れるコーヒー
台布巾で拭く俺を見て親父がいう
「何を拭いてるのかわからないが、望が作っている姿はチコちゃんのそれと同じに感じた」
こんなことってあるのか?
物理法則すら認識の前では無力なのか
最強の能力、それは認識だと悟った




