イマジンブレイカー
この部屋で過ごした約一ヶ月あまりの時間
ただゲームをしていたわけではない
元VR廃人の俺でも流石に睡眠は必要です
食事も3食しっかり食べてます
食べないとリュウが悲しむのだ
お風呂も毎日入ってます
入らないとチコちゃんにばっちい言われるのだ
ちゃんと規則正しく生活してたんだよ
疲れ果て、ソファーに横になっていたときにふと思ったんだ
なぜ高祖父はこの部屋を残したのかってね
この部屋は止まった時の世界、そのものなのではないだろうか?
親父は次元と言っていたが、その次元を再現したのがこの部屋だと思うんだ
時の世界を垣間見ることが出来るこの空間
それこそが高祖父が残した真理の鍵の意味じゃないかと
親父はこの結論に辿り着いたのだろう
創造主が目の前に現れたら、きっと俺にこういうはず
一生懸命長い歳月をかけて作った我が子になにしてくれてけつかんねん!
ごもっともだ
だが少しばかり浅はかではないだろうか?
そんなものチラシの裏にでも書いておけ!
人に見てもらいたい気持ちがあったんだろ
誰かに自分の想いを伝えたかったはずだ、知ってほしかったはずだ
ずっとずっと世界の主人公に憧れていたんだろ
だったらそれはチラ裏になんて書いちゃいけねえ
ちょっとくらいパクられたからって怒ってんじゃねいよ
我が子が世界を救う鍵になるんだ
少しくらい許してやろうぜ、創造主
俺はサユリの世界でそれに気付かされた
同人活動、二次創作品、その世界に魅入られた、そのキャラを愛した証
想いを誰かに伝え、共有してもらうことで自分という存在を認識してもらう
それが創造主の真の想いなんじゃないだろうか?
創り出した作品を誰にも見てもらえず、存在すら認識してもらえない
それはとても悲しいことだ
しかし人の命は有限だ
創造主の世界を認識する、それは同時に自分の命を削る行為
兄妹は命を賭す価値がある素晴らしい作品だった
最初は妹がうざすぎて、俺はなぜこんなことに大切な青春を犠牲にしているのかと思ったものだ
プレイを終えた今の俺の気持ちは違っていた
俺の命たった一ヶ月で、これだけの世界を知ることが出来るなら容易いものだ
きっと創造主はこの作品を作るのに、何十倍もの命を犠牲にしたことだろう
俺は創造主に敬意を込めて伝えたい
命を、感動をありがとう!
一部始終を見ていたサユリは
「はずかしいでござるよ」
ござっていただけたようだ




