ナイスリアクション
部屋に戻り布団に入った途端、強烈な睡魔に襲われた
布団の中は真綿で締め付けるように俺を眠りの沼に誘う
俺は眠りの中で一人の少女を想う
茶髪でロングな料理上手な美少女
悔しいが魅了された
祖母を亡くし、一人暮らしをしている少女の世界観にどっぷりハマっていた
そして
目覚めると制服にエプロンを付けた美少女が具現化していた
「おはよう」
爽やかに朝の挨拶をする
すると少女は「おはようございます」と返してくれる
プライドスナッチが成功した瞬間だ!
彼女の名前はリュウ
「朝ごはんいりますか?」
エプロンの裾を少しつまみながらそんなことを聞いてくる
「お願いします」
部屋を出ると時計は朝の6時を少し回っていた
おかしい
寝たのが早朝、外が薄明るくなった頃だ
たぶん6時くらいに寝たはず
日付を確認すると丸一日経っていた
寝すぎってレベルじゃねいぞ!
リュウに家の中を案内する
当初、ご飯を手に入れたい一心でキャラを具現化しようと思っていた
アニメを全話見終わった俺はリュウが欲しいと本気で願うようになっていたのだ
さて、まずはキッチン
IHの使い方や調味料カプセルの出し方などを一通り説明
うちのキッチンは結構レトロだが、あのアニメの時代からしたら近未来だろう
食材の鮮度を落とさず保管できる箱や、カプセルをセットするだけで調味料が出る装置
それらを説明するだけで大げさに驚いてくれる
「楽しいなこれ」
食材のカットも設定した大きさにカットしてくれる装置
しかしリュウはナイフの方がお好みらしい
ナイフってのはリュウの世界でいうところの包丁だね
切れ味が落ちることなくスパスパ切れる電磁ナイフだ
キッチンの説明を一通り終えて玄関に向かう
ミールを解凍する装置の説明をせねば
ミールの説明を終え、解凍装置の使い方を教えようとした、のだが
「やべい、使い方がわからん」
あんなに得意げに説明してたのに今更わからないと言うのは恥ずかしすぎる
リュウに見えないようにウェブを開き使い方を検索した
型番を入力し検索
かなり古い物だが、まだまだ使えるようだ
そのサイトの設定によるとこうだ
「まずこのミールを解凍装置に入れます」
リュウはふんふんと興味津々のご様子
失敗できないプレッシャーが半端ない
「そしてミールから野菜を解凍したいときはこのボタンを押す」
しばらくすると装置の中に様々な野菜が解凍されていた
「魔法みたいですね!」
ナイスリアクションだ!
野菜を取り出し残ったミールから肉、卵、魚、米などを解凍する
すべての食材を出し終えたミールは跡形もなく消えていた
「いったいどんな原理で動いているんですか?」
リュウに質問されたが俺も機械のことなんてわからない
しかしこれが答えられないとかっこ悪すぎる
悩んだ結果
「禁則事項です」
親父の真似をした
どうやら納得してくれたようだ
ごめんよ、無知な俺を許しておくれ
後で調べまくったのは言うまでもない




