ふたりドゥビドゥバー
困り果てた俺はダメもとでチコちゃんに聞いてみた
「チコちゃん、ちょっとこれどうやって見るのか知らない?」
チコちゃんがそれを手に取り、中から説明書を取り出す
「これはブルーレイですね、専用の機械にセットすれば再生できます」
まじか
あの機械の山からそれを発見してセットして鑑賞しなければならないようだ
恐るべきはロストテクノロジー
一瞬ネットで全話鑑賞してしまえば良いと思っていたのだが
ネットに繋げて検索する
閲覧回数、再生数
うーむ
これに1を点けるのは気が引ける
どうやら現代では人気がない物のようだ
しかもここ数年、これを検索したのは俺一人しか居ないという
大丈夫なのかこのアニメ?
不安を覚えながらチコちゃんと一緒にあの部屋に戻った
チコちゃんには何か手がかりがあるようだ
きっと親父が見てるのを一緒に見ていたのだろう
チコちゃんが機械に触れると、ウィーンという音とともに機械が動き出した
「おお!」
モニターが点く、チコちゃんが手に持つ装置でそれを操る
画面に映像が流れた
すごいぞチコちゃん!
「出来ました」
嬉そうにそう告げる、チコちゃんの顔はちょっとドヤ顔だ
俺はチコちゃんを天才か!と大いに褒め称えソファに座った
俺の隣にチコちゃんも座る
どうやら一緒に鑑賞したいようだ
数時間後
「少し休憩しませんか?」
俺はまだまだ大丈夫だ、むしろ早く続きが見たい
そう、幸腹グラビティの世界にハマっていたのだ
しかし腹がぐーっと鳴る
このアニメは飯テロアニメだ、見てるとめっちゃ腹が減る
しかたない…
「ちょっと休憩しようか」
部屋を出ると外はすっかり夜になっていた
コーヒーを淹れるチコちゃん、お菓子を手にする俺
ちなみにタルパは飯を食わない
止まった時の住人は、腹が減るどころか歳をとることも眠ることもないのだ
コーヒーとお菓子を手に入れた俺達は、秘密の部屋に戻りソファーに座る
続きを再生すると次回予告が流れた
このアニメは次回予告もすばらしい
アニメというのは本編が終わったらEDもOPも飛ばして次を見るものだと思っていたのだが
このアニメはOPもEDも次回予告も見飽きることがない
何度でも見たくなる魅力があった
最終回を見終わった俺達はソファの上で余韻に浸っていた
チコちゃんは何を思っているのだろう
円盤を取り出し大切に保管する
部屋を後にする俺達
リビングに向かう渡り廊下から見える窓の外は、すっかり薄明るくなっていた
どこからか鼻歌が聞こえてくる
そして俺とチコちゃんは
『ふたりドゥビドゥバー!』
右手を高く掲げ、同時にポーズを決めるのだった




