セキュリティは万全
家に到着し、タクシーからルシファーズハンマーを降ろす
料金は体の中に埋め込まれたナノチップが自動的に支払う
家は貧乏だと思っていた、しかし実際は大金持ちだったのだ
親父め、よくも騙した、騙してくれたな!
資産はすべてAIが管理している
俺が使える月の上限は5000円
小学生のころは週に100円の月500円だったのだよ
子が何に使うかを親が設定すれば、子はいくらでもそれを使うことができるのだ
これからはタクシー使い放題だ、やったぜ!
玄関の鍵を開け中に入る
家の中はシンと静まり返っていた
引きこもっていた俺は、外から誰も居ない家に入るなんて久し振りだった
とりあえず玄関を探索
自慢じゃないが、家は平屋の一戸建てだがかなりでかい
玄関の規模は大人10人が一度に腰掛け靴を履くことができる広さだ
田舎だから土地が余ってるんだなと思っていた
しつこいようだが実際は大金持ちだったのだよ
なのになぜ
レンチンの一つも無いんだちくしょう!
在るのは解凍装置のみ
家の家具はレトロな物で溢れている
テレビは最新式なのだが、キッチン、洗濯、風呂、トイレ、その他すべての家具がレトロなのだ
生活で一番重要な部分を最新型にするのが普通だろ
貧乏だからと我慢して使っていたが、これらはすべて、ただの親父の趣味だったとは
玄関のかなり目立つ所に解凍装置を発見
今まで邪魔な箱だとしか思っていなかったその箱こそ、俺が求めていた物だった
BGM:望はミールを解凍することが出来るようになった
脳内ファンファーレが鳴った気がしたのは言うまでもない
さて、まだ寝るには早いな
時計は午後9時
ひとまずあの部屋に行くとしよう
リビングのセンサーに向けて腕を伸ばす
リビングに明かりが灯る
その刹那、何かが見えた気がした
「え?」
体が固まる
何かが居るんだ
気配でわかる
泥棒か!?
俺はナノチップが埋め込まれている腕に力を込めた
通報すれば警察がマッハで駆けつけてくれる
文字通りマッハで飛んで来るのだ
しかし待て、古い家とは言えどもセキュリティは万全なはずだ
外部からの侵入者があれば家族と警備会社に連絡がいく
鍵はオートロック
外部から侵入した痕跡は一切ない
タルパ…か…
俺の本能がそう直感していた




