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人工未知霊体を好きになったらば  作者: はちみつなめるぷー
プロローグ
15/710

神にも等しい存在

 親父がムキになる姿をはじめて見た気がする


チコちゃんは親父にとってそれほど大きな存在なのだろうか


プリプリしながら4杯目のコーヒーを入れる親父の背中を見ながら思っていた


真理に辿り着くにはコーヒーが必要だというのか?


コーヒーを作り終えた親父が席に戻る



「俺が親父と同じ手順で、真理の扉を開いたらどうなると思う?」


すると親父は少し考えて


「あれは間違ったルートかもしれない」


不正解、偽物、フェイク、あの秘密の部屋にはトラップが仕掛けられている


真理に触れた親父は不正解のルートを辿った、故にそこで何か大切な物を失った


それが何かは親父にもわからないという


「大切な物を失ったのに覚えてないっておかしいでしょ?」


親父はタルパを自らの手で消した


タルパ以上に大切な物だったのは確かなのだが、その何かを認識できなくされた


それだけは理解るらしい


下手をしたら命まで失ってた可能性も…


ここまで話した所で親父が席を立つ


まだコーヒーは残ってる


「ちょっと失礼、トイレに行きたいんだが一緒に行くか?」


連れションですかい!


親父に出されたコーヒーを一緒に飲み続けていた俺の膀胱も限界が近かった


高校生にもなって親父と連れションする羽目になるとは



 トイレで用を済ましていると、窓の外は濃い灰色に染まり、夜だということがわかる


『もうこんな時間か』


俺とも親父とも取れる呟きがトイレに響く


流石にそろそろ帰らないとやばい


「望は何で来たんだ?」


ここでの何とは乗り物のことだろう


俺は右の拳を握り胸の前に持っていく


「チャリで来た!」


親父は爆笑していた


「次からはタクシーを使いなさい」


俺のナノチップがグレードアップしたぞ!



 プライベートルームに戻ってきた


親父の話はまだ少し続くらしく、帰りはタクシーを使えることになった


「折角のコーヒーが冷めてしまったな」


新しいのを入れるか?と聞かれたが俺はこのままで良いと断った


親父と向き合い、冷めたコーヒーを飲む


なかなか続きを話さない


「そういやチコちゃんって何のキャラなの?」


俺は適当に思い付いた質問をしてみた


「禁則事項です」


どこの企業だよ!


まあいいかとコーヒーを流し込む


しばらくして


「どこまで話したっけ」


「ボケてんじゃねいよ!」


罠があって大切な物を失って、下手したら命までもってところでしょ!


「あーそうだった」


その罠を回避することは人間には不可能なんだ


何その無理ゲー


そこで超能力者の出番というわけだ


罠があることは事前に分かっていたらしい


親父は命を落とすかもしれない見えてる罠に自ら足を踏み入れた


そうまでしなければ真理の扉は開けないらしい


扉を開いたところで超能力者の限界が来てしまった


「つまりその超能力者より強い力が必要ってことだよね?」


親父は言う


「あれを超える力となると神以上の何かだろう」


神にも等しい力を持つ超能力者って何者なんだよ!

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