月は出ているか
月はわたしが見るからそこにあるのか、見なくともあるのか
その昔、この世界にはアインシュタインという名の天才がいた
名前くらいは聞いたことがあるだろう
アインシュタインはこの月の疑問の中でこう言っている
「真理は人間とは無関係に存在するものではないのか」
どうやら先代の和成様はこの真理に到達したらしい
そして親父は、この真理の扉を開いたが中に入ることはできなかった
あの部屋は真理に到達するための鍵でしかない
「望は一つのアニメにいったい何人のひとが、それに関わっているのか考えたことはあるかい?」
親父は混乱している俺を見てそう告げた
「んー、100人くらい?」
半分正解と親父は笑う
大体30分のアニメを1話作るのに100人
そこからさらに視聴者が増える
そうなると途方もない人数がそのアニメに関わっていることになる
「規模が問題なんだよ」
月を知らない人間など赤ん坊くらいか
いや、生まれて間もない赤ん坊も本能で月は理解しているのかもしれない
動物、植物も、この世界に生きるすべての存在が月を認識しているだろう
「あと一つ、望はこの宇宙に、人類は地球にしか存在しないと思うかい?」
「これまたスケールのでかい話しだな」
人類が観測出来る宇宙の大きさは約138億光年
これ以上は光の速さを超えないと観測することはできない
とてつもない広さの宇宙で太陽系に似た環境が絶対にないとは言い切れないだろう
今の世の中、地球外知的生命体が居ると考えるのが普通だ
「そう、未確認ながら人類はその存在を認めている」
認めるということは、その存在が確認できてないとしても認識しているということだ
つまり、人間が太陽系以外に人類が居ると認めた時点でそこに人類は創られるのだ
「なんか屁理屈みたいだ」
そうだろうと親父は笑う
「ならば地球に人類が誕生する以前に、もし外宇宙の人類がそれを認めていたら」
「その時点で地球が誕生し、そして人類が生まれる…と」
親父の口角が上がる
「望にはまだ早いと思っていたが、子は親の知らぬ間に成長しているものなんだな」
そんな素直に褒められると恥ずかしい
しかし話は理解できた、というか確かに理にかなっている
もしこれが証明できればノーベル賞物の大発見だろう
「先代、和成様はこの真理に辿り着いた」
お父さんは真理の扉を開くことはできたが、扉の向こう側には行けなかった
これらの知識はお父さんが創った、天才的頭脳を持った自称宇宙人の知識なのだ
【この世界は人の認識で創られている不完全な存在】
超能力を以ってしても、真理の世界に辿り着くことはできなかった
「なあ親父、もしコーヒーしか作れない子がいなかったら辿り着けてたと思う?」
すると親父は眉間にしわを寄せて言い放つ
「チコちゃんは悪くないよ!」
誰なんだよチコちゃーん!




