悲しみは憎しみへ
タルパは他人を助けない
俺は親父の言葉を思い出していた
「例えば望が死にそうな場面であろうと、お父さんのタルパは望を助けられない」
セツの願いはカオリを救うことだった
その願いを叶えたいま、俺を助ける道理はない
「嘘だよなセツ」
体感では深夜になったころか
チコちゃん、リュウ、サユリ、ユウ姉ごめん…
目が覚めたらとても静かで
「みなさんおはようございます」
寝室を見わたしても誰もいません
まさか、わたしが寝坊してしまうとは
いま何時なのでしょう
この家には時計が一つしかありません
こまったものです
リビングにみなさん集まっているのでしょうか?
この扉を開けば
おかしいですね
誰もいません
リビングの時計は6時になってます
やはり、わたしが寝坊するわけありませんよね
望さんの部屋でしょうか
今日はわたしの番なのです
望さんにコーヒーを入れてもらいます
約束しました、絶対です
きっとまだ雑味が残るコーヒーしか入れられないはずです
わたしの胸を侮辱した望さんに言ってやります、まだまだですね
きっと傷つくでしょう、秘密を知りたがるでしょう
でもまだ教えません
バリスタの道は険しいのです
おかしいですね
あの部屋でしょうか
家中さがしても、誰もいなくなってしまいました
どうしてですか
また一人になってしまいました
望さんを虐めようとしたわたしを、コヨリさんが怒ったのですか
こまりました
もう一人は耐えられそうにありません
「コヨリさん、ごめんなさい、望さんに会わせてください」
ごめんなさい…
いつの間に寝てしまったのだろうか
チコちゃんが泣いている、そんな悪夢を見たんだ
うおおおおおおおおおおおおおおおおお!
俺は叫んだ
その雄叫びは冥界の死者達を土から呼び醒ます
セツを信じて待ち続けていた
それが限界に達した
俺の存在に気付いた死者を
俺に群がる亡者を
ワイバーンのように
狂った獣のように
俺は殺しまくった
なんという高揚感
力が溢れる、目の前に在るもの全てを、壊せ、殺せ!
頂の景色
俺だけが見ることを許された光景
強者の証
見ろよ、雑魚がゴミのようだ




