ひいひいじいちゃん
親父の話しはこうだ
あの部屋は我が家のご先祖様、和成様が残したものらしい
俺の高祖父にあたる人が残した部屋だという
わかりやすく言うと、ひいひいじいちゃんだね!
高祖父の時代、日本のオタク文化はとてつもない規模になっていたそうだ
コミケとかいうイベントでは、日本各地から50万人以上もの老若男女が集まりオタク文化を広めていた
大昔、関ヶ原の戦いの規模が16万人ほど
それと比較すればどれだけの規模だか想像できるだろう
たった24万平方メートルの土地に、それだけの人間が押し寄せるとか今じゃ考えられない
そして経済効果もそれなりにあったそうだが、そこに目を付けたのが中国だという
年を重ねるごとにコミケの規模も縮小し、日本からオタクが消えてしまった
中国を恐れ、国が考えた政策が完全に失敗した
国はオタクから金を搾り取ろうと、すべてをデータ化してしまった
データ管理されたそれらのアイテムは、データの中でしか体験することができなくなった
管理されていないオタクアイテムを所持することは犯罪なのだ
今はそのふざけた法律もなくなり、誰でも自由にアニメを楽しむことができる
中国が圧力をかけたのだろう
日本より巨大なアニメ先進国になった中国では、誰でも自由にアニメを楽しむことができた
そして、国が状況を理解したときには後の祭りだった
オタク=悪を進めた日本は衰退の一途を辿り、誰もが諦めかけたそのとき
あの有名なロボットアニメが息を吹き返した!
そう、日本はロボット産業でアメリカと手を組み、急成長を遂げることとなる
しかし、国が残した傷はあまりにも大きすぎた
なんの魅力もない、つまらない日本に愛想を尽かし、若者がいなくなってしまったんだ
一通り話を終えた親父はコーヒーを入れに席を立つ
親父は俺の返しを待っているようだ
「それで、俺にどうしろって言うのさ?」
ここまでの話を聞いて俺にできることは、あの部屋を維持することだけだろう
しかし親父は言う
「コヨリちゃん、消えてしまったんだな」
親父の口から出た言葉に息を飲む
やっぱり親父にはコヨリが見えていたのか!
しかしおかしい、俺の能力は他人が認識してしまうと効果を失う
どういうことだ?
「親父にはコヨリが見えてたのか?」
「見えてるというか感じたんだ、望の近くにいつもコヨリちゃんがいる気配を」
実はお父さんも昔、望と同じようにタルパがいた、タルパってわかるか?
「うん」
「この力は高祖父の時代オカルトと呼ばれ、世間ではあまり良くないものとされていた」
そこに無いものが見えると言うことは、それだけで世間から冷たい目で見られる
霊能力など、科学で証明できない事象は淘汰される
和成様はそれを研究していたんだよ




