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公爵令嬢行方不明になる  作者: 悠月
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キルシュタイン公爵家はほんのり春が訪れており、当主アルバートは息子が嫁にすると連れ帰ったお嬢さまの身上を調べると嫁問題なしと判子を押した。息子がティアナ以外とくっついているのを見て感動してしまった。


「叔父様、王宮はさぞ面白い感じで毒が蔓延してるのではないのですか?」


「あぁ、タダでさえ仕事しない人間がしないから楽になった。」


「それは良かったです。」


「フィリス子爵は我領で家族揃って風景画を書いたりアレと商品開発を勤しんでる。警護も問題ない。王宮は煙草を作っている人間を探すのに苦労しているがな。」


「そうですか、冬になれば禁断症状で死人も続々と出るでしょう。その頃にいけしゃあしゃあと帰ります。」


ジークは王位継承に必要な指輪を2つ指に嵌めていた。もう腹は決めた。流刑にされた理由が毒殺なら毒をもって簒奪するだけだ。根回しは終わっている、人間の間引き、剪定も。


「俺は地に落ちた場所から始めるわけだし・・・頑張るしかないかな。多くはないけど国を見れた。だからこれからは俺の戦場だな。ティアナ、警護頼む。」


「純白ドレスでしょ・・・リヒト趣味疑うわ。」


「婚約状態なのに手を出してないのか・・・アイツは。」


「今日にはキスくらいするでしょ。発破かけたんで。」


アルバートはそれは楽しみだな。と、ニコニコしていた。ジークはお酒を飲むが、美味しいと素直に思えた。


「ティアナ、后に・・・」


「無理。」


「私の事嫌いか?」


「堅苦しいのが嫌いなんだって。学園でも無理なのに王宮とか後宮とか無理。」


惨敗。仕方ないと諦めていたが諦めはそんなに良くない。


「7日後、帰る・・・妨害も全て捩じ伏せて正面から帰る。中毒死だけで終わらせるか・・・」


「捩じ伏せるの私だけど。」


「運動不足を理由に好みの女の子をナンパしまくってる癖に。俺の剣としていてくれるなら剣として振るうだけだ。」


「振られて浮気されてるとか思ってるなら勘違い・・・」


「八つ当たりと成功率の問題だ。殺しにくるなら殺して構わないが殺気を感じなければ首を跳ねなくていい。殺しすぎるなよ、軍事力の低下の理由がティアナの無双だとしたらティアナを軍に置いて後進が育つまで城にいてもらわないと行けなくなる。」


「王様らしいことで。」


「国の体制が世襲制だからな。嫌なら程々に手を抜いて蹂躙してくれ。まぁ、俺としては殺しすぎてティアナを王宮に置くのも悪くないと思ってるから任せる。」


ティアナはどんな格好で乗り込もうかなぁと、ウキウキしていた。剣を震えるのは嬉しいものだ。

急に予定を変更したのは間違いなく私怨だろうし、自分を追い落とした人間の顔を生きているうちに見たかったのだろう。


「予定を変更して問題ないだろうか。」


「まぁ、玉座は王太后が温めているから問題ないだろう。」


「なら、良い。」




戦支度とも言えない服装だった。リヒトが用意した純白ドレスはフリフリレース、リボン、フリルふんだんに使って動きにくいドレスであった。


「これを鮮血に染めるんですか!?」


「向かってきたら染めるかなぁ。」


「匠たちが時間と労力を掛けて作ったドレスを血と埃が、汗が・・・」


ユフィリアの嘆きは当然だ。どう見てもウェディングドレスを今から血で染めるのだから反対派するだろう。いくら掛けたと思っているのか・・・


「んーでもこれくらい重くないと城の兵士皆殺しやりそうだから。」


怖いことを言う・・・ブーケなんて持たない。手にあるのは剣だけ。


「ティアナ様、今度から髪を伸ばして頂きますから!!」


「はいはい。」


出陣。2人だけど。王宮の門で止められるがジークはフードを外して顔を出す。


「自分の城に帰ってきただけだ。開門しろ。」


「で、殿下!?語りか!?」


「語ってどうする。開けないと強行突破しかなかいが?」


ティアナは通用門を蹴破り時間の無駄。と、言い切った。


「貴様っ」


「職務に忠実なのは認めるが、剣を抜くと死ぬぞ。」


ティアナが静かに首を落とせるようにはしている。獣が一撃必殺を決める目をしていれば恐怖で従うしかなくなる。

剣を納めたジークはニコッと笑って大義である。と、緊張感なく言い切って中に入る。


「本気で睨まれると怖いな。」


「よく言われるわー。ニコニコして切り伏せても悪魔だの言われるんだもの。」


軽口を叩きながら王宮へと足を進める。消えた王子の帰還により快く思わない人間が刺客を放つがティアナが全ての火の粉を打ち払う。弓も小さいものをスカートの中に仕込んでおり暗器など捲ったら武器庫となっている。


「意外に来るな。ティアナ、問題は?」


「なし。」


「アレらは兵ではない。殺した所で城に置く理由にならん奴らだ。狩れ。」


「承知。」


武器庫のスカートを翻し、壁を蹴ったりして獣のように蹂躙する。刺客から武器を奪うし、ドレスは鮮血で汚すし・・・ユフィリアが見たら悲鳴を上げるだろう。どこどこのレースがとか絹のリボンがとか・・・


「疲れたなら俺も動くけど。」


「平気。そう見える?」


「歩きだからかな。行くぞ。」


今の時間帯は会議をしているはずだ。王位が空位だからか薬による中毒で何も無いか・・・

扉を蹴破ると、静寂が広がる。


「まったく埃臭い・・・喚起もしてないのか。空気が重い。」


「まぁ、殿下のせいじゃないですかー。」


あえて殿下と呼び、消えたはずの第一王子の帰還を示唆する。顔つきも変わってるし、髪も短いから分からないか。王太后の前にまで行き、膝を付いて帰還の報告をする。


「息災のようで何よりです。陛下の事は・・・」


「聞き及んでおります。すぐに駆けつけることできず親不孝を致しました。ですが、流刑に処される前に父より預かったこの継承の証を持って私が王位に就き出来なかった親孝行をしたいと思います。」


遺言でもなんでもないが、王の遺品だ。二つ揃っていること、王太后が確認して本物であることの証明が出来れば勝ちだ。


「陛下が貴方に託したのであれば私は何も申しません。」


「兄上だと!?な、なぜっ・・・」


「死人を見るような顔をしてどうした。俺の家に帰ってくるのに誰の許可がいる?長子である俺が家督を継ぐ。それだけだ。」


「ふざけるな!!!今までいなかった人間に何が出来る!!!」


「聞くがお前は何をしてきた。悪戯に私腹をこやし、悦に浸り、政務ではなく椅子に固執していたお前は一体国に何をした?民に何をした?異母が母に、父に毒を盛っていたこと、知らなかったとか言うなよ。お前ら親子が逆賊だ。」


「証拠などない!!!言いがかりだ!!!」


「そうだな、最近巷で流行っている煙草にいたく金を注ぎ込んでいたな。お前はともかく、アシュロット妃は酷い中毒症状らしいな。全てを明らかにしろ。助けてやらんでもない。お前達の企みのお陰で薬には詳しいんだ。」


旅人印の特徴的な箱。依存性を高めて中毒にさせた本人が助けてやろうと言っているのだ。


「お前が作ったのか。」


「言いがかりだな。俺の耳は最近大きいんだ。噂や流行りものくらいすぐに耳に入る。箱にも書いてあるだろう?喫煙は身体に害を及ぼしますと。で、シュルツ・レオンハルトどうするんだ?詳らかにするか、大人しく縄に付くか。俺に冤罪掛けてティアナ・キルシュタイン公爵令嬢を人身売買業者に流してるのも上がっているんだ。選べ。楽しかっただろう?自分のツケは自分で払え。」


「急にぽっと現れてそんな通りが通るか!!!」


剣を抜いた瞬間ティアナが切っ先をシュルツの喉元に持っていく。


「剣を収めろ、シュルツ。お前が勝てる相手ではない。」


肩で切り添えられた金色の髪と、鋭い眼光で騎士の人間が前に出てシュルツを抑えた。


「放せっ!!!」


「無駄な血を流させるわけには参りません。我々が束で向かったとしても敵いません!!」


「勝てるかもよ?本気で行くけど。」


「無理です!!!!!」


ティアナは残念。と、肩を落として剣をしまい、スカートを破って武器庫を解体する。スカートの中から溢れ暗鬼、弓、折りたたみの槍、ナイフ等など。どさどさと落とす音に武芸嗜み程度の貴族達は顔を青くした。あれを全てスカートに入れて恐らく仕掛けられた刺客を切り伏せて来たのか・・・


「殿下、助けるのですか?」


「それは向こう次第かな。ご苦労だった、ティアナ・キルシュタイン。」


「私は貴方の剣なんで。なんてことないですよ、殿下。陛下?」


「さぁ、どちらだろうな。取り敢えず武器を片付けて着替えてきてくれ。慣れてない人間が倒れる。」


鮮血に塗れた花嫁の騎士なんて戦などで血を見てなければ卒倒者だ。

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