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公爵令嬢行方不明になる  作者: 悠月
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夜会の日、ユフィリアは久しぶりのドレスなのだが、ティアナが提案した細身でスラットしたデザインであった。色気より綺麗と言った感じにした。


「ティアナ様のが似合いそう。」


「大丈夫よー、リヒトは胸の大きさで判断しないから。」


「絶対踊ってやる!!!」


ユフィリアは気合を入れて夜会に行くと雰囲気が大分変わっていた。見た目は豪奢だけど空気が重い。どす黒い。息をしにくい。下の人間から話し掛けるのは無礼だし、多分無視されるんだろうけどっ・・・

玉砕覚悟でキルシュタイン公爵家の人々を探すと談笑しているが楽しそうには見えなかった。疲れていそうだ。


「リヒト様っ!!!」


一瞥だけ。そりゃそうだ。自分家子爵だもん。


「どちら様?」


「ユフィリア・フィリス、フィリス子爵家の者ですが、御無礼承知で1曲お願いします!!!赤い妖精さんの御加護がっ!!!!」


緊張して何を言っているのだろう・・・ユフィリアはしまったっと赤くなり逃げたくなったが、リヒトは顔色を変えずにユフィリアの手を取る。


「大丈夫?妖精さんのお告げ?何それ。可愛いね。」


えぇ、ティアナ様の入れ知恵ですもの。リヒトは気遣う振りをして後ろに下がろうか。と、外に出る。ティアナ様で見慣れてるけど、リヒト様が目の前に・・・鼻血がっ・・・


「で、妖精さんのお告げって何かな。赤だなんて分かりやすい色まで付けて。ウチの子、お宅にいる?喋っていいよ、周りにはウチの警備しいてるし、聞き耳立てれる距離に人はいないからさ。全部話してくれたらダンスでもなんでも」


ユフィリアは自分というより自分のもたらす情報にしか興味ないよなぁ。そうだよなぁ。と、ティアナ様大好きって聞いてたしなぁ。仕方ないよなぁ。あんな美人で何でもできる従姉妹だし。

ユフィリアは手紙を渡す。仔細はこれに。と、ティアナ筆の手紙を渡す。リヒトはそれを読むとふぅん。と、懐にしまった。


「ウチの子と馬鹿って一線超えてる?」


「えと、バカって・・・」


「草が大好きな本の虫。」


「無いです。妖精さんを口説いてる所とかも無いです・・・」


「まぁ、手を出してたら乗り込んで本の虫を駆除してた所だけど・・・」


綺麗なティアナ様って感じだ。リヒトは踊る?と、普通に聞いてきたので勿論甘えることにした。今宵限りで夜会からは消えるのだから王子様より貴公子と踊りたいに決まっている。


「君も可哀想に、ウチの子の兵士より変な行軍に連れ回されて。」


「あ、えと、助けられたのもありますが、えと、山の中歩かされたりしました。」


「あの子の基準って騎士でもやり手の騎士とかだからねぇ。まぁ、1年と少しくらいなら我慢出来るか・・・ウチにも卸してくれ。安い方をね。」


「はい。そのように言われてます。お裾分けする相手はおまかせ致しますと・・・妖精さん曰く「そんな所で私利私欲ぶっ混む様なお馬鹿でないことを祈ります」と・・・」


「ウチの女性は怖いから・・・本の虫もやるな・・・」


「せっせと栽培の為に畑仕事してます・・・」


「そうか。まぁ、ここまで後手に回ったのだから邪道は仕方ないが、面白そうだ。2年だ。俺らが過労死する前に帰還しないと殺すとでも伝えてくれ。」


嬉しいのに怖いなぁ、この家・・・歴史も長いし、そりゃそうなのだけど。ユフィリアは踊り終わると帰ろうと思ったのだが、リヒトは手を離さなかった。


「リヒト様?」


「茶番に付き合え。此処で離れたら俺は過労で疲れてるのに踊りまくる事になる。そこそこ気に入ったレディをエスコートしてる方が楽なんだよ。」


「わ、私でよろしければっ!!」


まさか、トンズラして空き部屋で仮眠とは思わなかった。リヒトがユフィリアの膝に頭を置いて爆睡し始めた。人はいないが、いるらしい。ユフィリアにはそれがよく分からなかったが、キルシュタイン公爵が執事に扮した隠密の人をドアの近くに控えさせた。


「こいつ、私に全て押し付けて先に抜け駆けしよって。」


「えと、何がでしょうか・・・」


「挨拶回り・・・寝たい。あぁ、膝が痛くなったらそれ落としても良いから。」


なんという扱いだろう。ユフィリアは何してんだろう。自分。と、思いながら膝の上で爆睡しているリヒトの寝顔を眺める。眼福。夜会も終わるという時に目を覚ました。


「あー寝た・・・ユフィリア殿、取り敢えず今晩はウチに泊まりなよ。明日送るし。」


「!?」


「変なの付いてたら妖精に迷惑がかかるし。」


殿下の事は迷惑被っても良いようで・・・ユフィリアは一応一派になるから保護なのかなぁと、お持ち帰りされてしまった。






「ティアナ、ユフィリアは大丈夫か?」


「大丈夫じゃない?ユフィの見た目リヒトの好みだし。」


「は?」


「リヒト兄様胸とかよりスラットした体型の娘が好みなの。あえて言うなら足かしら。膝枕してもらって好みの女性がいたら嫁にするとか言ってたし。ユフィが嫁にしてもいい娘だったら適当なこと言って今晩はお持ち帰りしてるわよ。」


「・・・分かっててユフィリアけしかけた?」


「まさか。まぁ、趣味嗜好が変わってなかったら好みかなぁ。早く結婚しないかなぁ。くらいの感覚よ。周りの侯爵、公爵家辺りがよく来るんだけど、乳盛ってるからねぇ。フワフワのドレスよりスラットしたものにして膝枕堪能出来る感じにしたらイチコロよー。どうせ忙しくてロクに眠れてないんだし。」


本人の希望でティアナはリヒトを兄様と呼んでいるが、普段は呼び捨てらしい。自分より弱い男に使う敬語はないとかで。


「ユフィ、絶対混乱してるわねー。リヒトにお持ち帰りされるとは思ってないだろうし。」




リヒトのエスコートというより恋人扱いのような振る舞いにユフィリアは真っ赤になってされるがままだった。靴を脱がせてもらったり至れり尽くせり過ぎる。何でも次期公爵様が私に跪いて足のマッサージされてるの!?


「靴ズレはしてなさそうだね。お酒がいい?お茶?」


「え、えと・・・お任せします!!!」


「そ?湯浴みしたかったらお風呂とか好きに使ってくれ。」


リヒトはメイドを呼び宜しくと、任せて部屋から出た。メイドは淡々と仕事をするのだが、扱いが違う。お客様他という感じもしない。


「リヒト様が女の子を館にお招きだなんて・・・」


「リヒト様のお眼鏡に叶いましたね!!」


「へ?いや、私は・・・お使いだけで」


「キルシュタイン公爵家の殿方は女性にとても優しいですから、無理矢理はなさりませんから。館に案内されてるので期待しても問題ありません!!」


お世話してきた若様が不能なのでは!?と、心配してやっとの女の子持ち帰りで嬉しいらしい。


「女性に優しい・・・ですか。」


「ティアナ様は何方かと言えば男勝りで女の子をよく招いていらっしゃいますし、メイドでも好みなら頂きます。ってあっさりとされてますから。」


全員食われてるのか!!!まぁ、あの人イケメンだし、カッコイイし、口上手いし、嫌な気が全くしないままいつの間にか夜明けだったりするからなぁ。


「皆様ティアナ様と仲が・・・」


「殿方が留守の間限定ですし、イケてる主人の命令ですし、同性ですからね。リヒト様は身持ちが固いので安心してください。」


何の応援だろう。公爵家って物が良すぎてお金の計算するのも辛くなる。夜着は普通のと渡されたが、透けてる。肌触り良すぎて汚せない。


「着替え適当に用意しておいたから明日また選んで・・・」


リヒトが部屋に入るとちょこんと座っているユフィリアの姿に頭を抱えた。自分の上着を脱いでユフィリアの肩にかける。


「そんなのしか渡されなかったのか!?」


「えぇ、透けっ////」


「え?期待してた?」


「ま、全く!!!いや、えと、この夜着が普通だと渡されて・・・」


「いや、普通のあるから。寒いだろ・・・」


アイツらわざとか。と、良くしてくれているメイド達がいい笑顔でごゆっくりと言っていた意味が分かった。そりゃ家柄も気にしないし、ユフィリア嬢は体型とかは好みだが。俺がダメだろ。


「眠れそ?バカが眠る時に飲むといいとかで作ってるお茶ならあるが。」


「お、落ち着かないです。」


「自分の部屋帰ったところでメイドに怒られるんだろうなぁ。連れ帰っておいて放置するのかーとか。」


「メイドにですか?」


「ウチそういう家だから。頭上がらない時は上がらん。」


「わ、私ソファで寝ますからっベッドご利用ください!!」


「一緒に寝たら良いだろう。二人くらい寝れるって。」


疲れてるからお休み。と、リヒトはあっさり眠ってしまった。ティアナ様だと思って寝るしかない!!!!ユフィリアは眠れない・・と、横でぐーすかと寝息を立てるリヒトを意識し過ぎて生きた心地がしなかったが、そんな気を張ったことが続く事と無く、眠りについてしまった。

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