斎藤利三が明智光秀を焚きつけてみました-その1-
本能寺において織田信長の安否が不明になっていることを
いち早く知った人物と言えば勿論。
『明智光秀』
灰燼に帰した本能寺を前に光秀は次の言葉を呟くのでありました。
光秀:「……私は何てことをしてしまったのであろうか……。」
呆然と立ち尽くす光秀のもとに歩み寄って来るのが明智家重臣・斎藤利三。
利三:「殿。見事でありました。」
光秀:「見事も何も。
……なんで今俺は、信長様が宿泊される本能寺の前に立ち、
火を放たなければならなかったのだ……。
本来であれば我々は
毛利家と相対する秀吉の要請により、
殿直々の出馬の先発部隊として
中国地方に向かうハズでは無かったのではあるまいか。」
利三:「左様。」
光秀:「だよな。現に西国と京の分岐点である沓掛まで行ったよな。」
利三:「左様。」
光秀:「行ったよな。普通ならそのまま西国に向けて兵を進めるよな。」
利三:「左様。」
光秀:「で。なんで俺は今。京都にいるんだ?」
利三:「いやぁ……それはぁ……殿が京に向かうよう。
指示を出したからだと思われますが?」
光秀:「……あの時お前。変なこと言わなかったか?」
利三:「……さぁ……。
それはさて置き、折角重しとなる信長が居なくなったことでありますので
とっとと信長を罪人に仕立て上げまして
自らを正当化することに致しましょう。」
光秀:「……是非も無し……。
……ただこのほとんど炭と化した亡き骸の中から
信長様を見つけるのは……不可能である上、
あの殿のことを思うと
……もしかすると逃げ果せた可能性も
……無きにしもあらず。」
「……にしても何で俺は
信長様に刃を向けねばならなかったのであろうか……。」
利三:「この件に付きまして
リスナーより様々な意見を頂戴しております。」
光秀:「リスナーって誰だよ?」
利三:「(光秀の問いかけには応えず)
ペンネーム
先日。甲斐でお世話になりました。
と言う武田勝頼さんより
織田信長が我が武田家を滅亡させた帰りの道中で
光秀が祝賀を述べた
『我ら(ここで言う我らは光秀のこと)が苦労した甲斐が』
の文言が
信長は気に入らなかったらしく
光秀の頭を欄干に打ち付けたから。
……と述べられておりますが
実際のところは如何でありましょう?」
光秀:「話が盛られている部分が無いわけではありませんが
無かったとは言い切れないところはありますが
もっともこれは
……日常茶飯事のことでありまして
越前で殿と出会ってから
ずーーーーっとこんな感じでありましたので
それはそれで問題なのではありますが
……今更このことでもあります故。
あと先考えずに。とは……。」
利三:「一時の感情に任せて。
と言うことは存在が身近であればある程。
……なんてこともありますが。」
光秀:「……あり得ないことでは無いが。
それだったらもっと前に暴発していたと思うけどな……。
分かれ道で利三が述べたことでは無いと思うぞ。」
利三:「そうですか。
では続きまして
ペンネームはどこにあるのでありましょうか……。
本名で宜しいのでしょうか……。
今。堺見物を楽しんでおります。
と言う
徳川家康さんからこんなメッセージを頂いております。
『私に対する接待を信長様より頼まれたにも関わらず
難癖を付けられ解任された挙げ句。
備中への出陣を命じられたから。』
とありますが如何でしょうか?」
光秀:「あれは元々3日間の任務であって
その務めは全うしておる故。
江戸時代に入って
江戸時代!?
に入ってからの創作話の1つであると思われます。」
利三:「続きましては……そうですね……。
こちら。
関東よりも茶器が欲しい
滝川一益さんより、
近畿にある領土を召し上げられたから。
とありますが如何でしょうか?」
光秀:「これはペンネーム滝川さんもそうでありますし、
本来私が向かう先でありました秀吉もそうでありますが
たとえ赴任地が遠くであったとしましても
領土を召し上げて切り取ってこい。
と言うことを殿はこれまでしておりませんので
仮にその沙汰が出るにしましても
その土地を奪ってからのことでありますので。
作り話の1つと考えて頂ければ宜しいのかな?
そのように考えております。」
利三:「今のところ殿を満足させるだけの動機は見当たらないようであります。
ここで一度CMを挟みまして
『なぜ光秀は信長に刃を向けたのか?』
を続けたいと思います。」
CM:「奥歯の痛みがどうにもこうにも。」
「そんなあなたのお悩みを解決する特効薬がこちら。」
『キンカ頭の光秀』
「打ち据えるも善し。面罵するも善し。
我慢強い光秀が。あなたの苦しみの全てを受け留めてくれます。」
「通常価格丹波・近江のところを
初回限定特別価格。
出雲・石見を光秀。自分で切り取ってこいでの御奉仕。」
「近くの薬局。スーパーで。」
「使用上の注意をよく読んで正しくお使いください。」
「もし大量の兵に取り囲まれるような事態に陥った時は
使用を中止し、即刻安全な場所に避難するか。
援軍が到着するまで
ひたすら耐えてください。」