初依頼
「それでは、四葉のクローバーが20個あればいいと」
「うん!そうなの!精霊さんを呼びたいの!」
クロムリーサ郊外の小さな村にて。
俺は「四葉のクローバーをさがせ」を受け、ここにやってきた。
依頼主は俺と同い年くらいの栗色の髪の幼女。デュフフかわいい。両親はこんな子供にできるのかと疑っているようだが。この仕事、正直年齢は全く関係ないと思う。
期限は15時まで。
今は12時なので、あと3時間。
昼食は食べてきた。
「あった。20」
作業開始から1時間45分経過。
依頼完了した。
なんか落ち着いて居られないようで俺の後をついてきている幼女を振り向く。
「幼女。終わったぞ」
「幼女じゃないもん!アンジェだもん!」
「わかった。アンジェ、家に戻るか」
「うん!おにいちゃん」
「おr・・・僕はアレクセイだ」
「アレクシェ・・・・アレク!」
「まあそれでもいい」
こうして依頼完了した。
まだいて欲しいとアンジェが言うので、俺も精霊を呼ぶ儀式とやらを見学させてもらおう。
20個の四葉のクローバーを円形になるように家の外の小さいテーブルの上のスクロール(精霊や悪魔を召喚する『召喚魔法陣』を紙に描いたもの)に並べた。中央には7つ葉のクローバーがある。
たしか「無限の幸福」を表しているとか、本で読んだことがある。
「精霊、といったか。如何にして呼ぶのだ?」
「アレクおにいちゃんなんていってるの?」
「コホン。どうやって精霊さんを呼ぶのかな?」
「ええとね、こうやってクローバーを置いて、それから呪文を唱えるの!」
幼女・・・いやアンジェはそう言うと魔導書を開き、呪文を唱え始めた。
「世界よ、我が意に答え、白き光の精を我が下に遣わさん」
通常ならばもっと長い詠唱が必要なのだが、スクロールのおかげでかなり短縮されている。
スクロールとクローバーが白く輝いた。
その光が集まり――――――白い光の奔流となって空へ上る。
10秒ほどでそれは収まり、そこには2体の妖精?がいた。
1体は淡い光を放ち、力も強そうだ。空中に浮かんでいて、少し幽霊っぽい。光の上位精霊。と本で読んだ。
もう一体はト○○の小さいやつのような感じの小動物だ。
幼女の様子を見るに、契約したのは光の上位妖精のみである。
「僕、あの小さいのと契約していい?」
「ロトトでしょ?いいよ!アレクおにいちゃんだからね!」
ロトト。名前そのまんまだった。
契約をする。とはいったが、どうやってするのだろうか。
アンジェなら方法を知ってそうだ。
「ごめん、契約どうやってするの?」
「これあげるから、精霊さんに近づけてね」
渡されたのは精霊石と呼ばれる石だ。
といってもレンズ豆程度の大きさだがな。
それをロトトに近づける。
石が光る。精霊も光る。
「これでいいのかな?」
「大丈夫だよ」
ロトトと目が合う。
かわいいなコイツ。
名前はビスマスに決定した。
本日の成果。
4000シェル。
精霊ロトトのビスマス。
仲間2人目。
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「さて、何故アンジェはここにいるのだ?」
「またよく分からない話し方に戻ってる!」
「わかった。アンジェはどうしてここにいるの?」
「アンジェもギルド登録しにきたの!」
また唐突に。
「お金は?」
「パパがアレクのことすごいって言ってて、アンジェもなりたいって言ったら、危ないことはしないって約束したらいいよって言ってくれたの!」
「そうか。ならいい」