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nadir 異世界で生きる為には  作者: BUBBLE KING
本編開始前  憑依~出会い
5/11

バルトロメイ邸とお爺さんズ

エストロビシア帝国。



アルンシア王国、ジェリス共和国、トルメリア聖国と並ぶ中央大陸の大国で、世界一の軍事国家。


この国、1500年前までは皇帝はいた。

しかし今は違う。

皇帝の居ない帝国。

それがこのエストロビシア帝国の現状だった。

現在政治を行っているのは、東西南北に建つ4つの塔から領地がわかれている『四大貴族』である。



東方領主、ジュピター・シャンリーズ家。

西方領主、ウラノス・エヴンシス家。

南方領主、マーズ・フォルスター家。

北方領主、サターン・ソレスティア家。


これら『星の名』は当主の直系の者にのみ名乗ることを許される。

この四家が中心となり、協力し合って政治をしている。








_______________









ギルドマスターは、愉快なお髭のおじいさんだった。



「フォッフォッフォフォー」


(自分の祖父はこんな赤い服着て聖夜をビュンビュン飛び回る人だったのか…)


「バルトロメイ様、こちらの方がアレクセイ様でございます」



「フォ。フォッフォフォー」



(人語を話していない、だと・・・・!こやつ、できる・・・)


「フォウフォウ。初めてじゃな。儂がバルトロメイ・サターン・ソレスティアじゃ。フォ」


「アレクセイです(フォウ)」


「フォッ。ルスランの息子じゃな。先に部屋に行って休んでくれるかの」


「はい」



追い出された。

愉快なお髭のおじいさんの分際で俺を叩きだすとは。

というかこの人が祖父なのか。


俺のようなスーパーイケメンがこんな扱いを受けるなんてっ。




不本意ながら奥の間を出るが、つい先程叩きのめしたばかりの冒険者集団と会うのが怖い(精神的に)なので、

すぐにギルド裏にある、バルトロメイ邸へ向かった。


ここで俺とマリアは過ごすことになる。らしい。





バルトロメイ邸は、ギルド裏にあるとは言っても道路に面しているのは反対側。

その反対側は庶民は入れない貴族地区となっており、正面が反対側なので、俺は必然的に裏口から敷地内に入ることとなった。


自分の身分も、社会的地位も検討がつかないが少なくともこの年齢ではどの階級であっても正面から入ろうと思えばつまみ出されるだけだろう。


裏口もそうだろうがな。





バルトロメイ邸の外観は、7歳児で小さい俺には背の高い生け垣でよく見ることができないが、

青い屋根、白い外壁の成金趣味を入れたブルボン様式の城といったところだろう。

勿論戦闘用ではなく、居住用である。



(それにしても、街の景観乱しまくってるぞおい)



ドイツ風の街並みの中に、フランス風の城は見事なまでの不協和音を紡ぎだしている。




ひとまず生け垣のアイアンロートの鉄柵扉を押す。

華麗な装飾のされたその扉は、子供の俺でも動かせそうだ。


結果。




動かない。




引く。




動かない。




横にスライドさせる。




動かない。




上にスライドさせる。




動かない。



どうやら魔術によって鍵がかけられているようだ。

柵の扉自体には鍵穴も、何かを引っ掛けるものもない。




それでは中からしか入れないのでは、と思ったので周囲を見回す。


なにか、インターホンのようなものがあるはずだ。


探索すること3秒、扉の横、少し生け垣に隠れていて見えにくい部分に金色の呼び鈴のようなものがついているのを発見した。


そこから垂れ下がっている白い紐を引っ張っる。


これは多分使用人を呼ぶとかそんな感じだろう。




チリチリーン




想像していたより小さい音が鳴った。

普通の鈴と同じくらいの大きさだ。


これも魔術でどこかに伝達したりしているのだろうか。

そうなのだとすれば、この世界の技術は相当優れているだろう。




「誰かを呼んだ・・・・のか?」



と言うより早く、スーツ姿の初老の男性が現れた。

その速度、目に捉えきれないほど。


(こいつ・・・・できる!)



緊張する。


俺は軽く息を吸った。



「アレクセイ・サターン・ソレスティアと言う。今日からここに住むことになった」


やや尊大か。

これで人違いだったら大変な大恥だ。


老人は納得したような顔になる。

よかった、俺のガラスハートが傷つくことは無くなった。



「おお。アレクセイ様でございますか。今日着かれたのですな。どうぞこちらへ」


と言われ、取り敢えずついていく。

生け垣の向こうに見える屋敷は、やはり相当な大きさだ。



「疑わないのか?会ったこともない、見ず知らずの者だというのに」


「帝国四大貴族であるサターン・ソレスティア家の直系の者のみが持つ黄色い目のことでございます。これは他には見られないもの。ですから疑う必要性などございません」


「なるほど。ところであなたの名前は?」


「パーヴェル・アレヒンと申します。現在はこのサターン・ソレスティア家の家令を努めております」


パーヴェル氏とな。覚えておこう。

俺のこの人生という物語ストーリーにおいて重要人物の一人になるだろうからな。


「年齢は?戦いの方は?」


「歳は61。戦いの方は、まだまだ不足で、冒険者ランキング13位でございます」





新出単語が出てきたので、説明しよう(誰にするのかは分からないのだが、何故か説明したくなったのだ)。冒険者ランキングとは、冒険者ギルドに登録している者の順位が決められるものだ。

誰が作ったのかは分からないらしいが、かなり昔から存在しているらしく、本来冒険者でない騎士や貴族も冒険者に登録してランキング登録している者が多いそうだ。


登録料は20000シェル(1シェル=一円くらい。つまり約2万円)で、ギルドの掲示板から仕事を受けると完了後に10%の手数料が取られ、自動で引かれるシステムだ。

剣術や魔術を志す者の中でも、登録だけはとりあえずする、という者も多い。



・・・話が逸れた。本題に戻すことにする。


この冒険者ランキングというものは、各ギルドに石版が置くことが義務付けられていて、1~300位までの順位を見ることが出来る。1~5位は特級と呼ばれている。この辺はもはや伝説級。存在すら怪しいレベル。6~50位までがA級、51~300位までがB級、301~600位までがC級、それ以下がD級とされている。


順位によって多少の強さの変動はあるものの、2位が5位より弱いなどもあるそうだ。




実はこの冒険者ランキング制度、現在ではあまり活用されてはいない。

前述したとおり、「登録だけ」の人が多く、「存在&本名不詳」の上位冒険者の存在により意義が薄くなってしまった。またサポートが主体の魔術や治癒魔術の使い手は

それに加えてB級以上の順位の入れ替えには「相手を倒す」ということが必要となる。


だから、年に1回行われる闘技大会くらいでしか順位の変動はなく、B級までしか順位は見ることができないために、この制度は廃れている。




と、長々と説明したが、パーヴェル氏の順位は13位。A級だ。

相当な猛者といえる。

さっき「できる」といった俺の判断は正しかった。

流石俺。



「うーむ。やはりできる」


「いえいえ。歳のこともありますしな。以前より腕は大分落ちておりますよ」



こういう年配キャラは強者だ。

味方側でよかった。







マリア視点___________







アレクセイ様が出て行かれた。


一人ということでやや不安だが、あの様子だと屋敷に行かれるでしょう。

アレクセイ様は方角を把握するのは苦手なご様子ですが。



「バルトロメイ様」


「フォフォウ。なんじゃ?」


「髭をいじられるのは結構ですが、本題に移りましょう」


「フォ。わかった」







「はい。アレクセイ様の処遇についてなのですが――――」



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