この世界はテンプレ異世界のようだ
今日も俺は自身の体内時計にしたがって、いつもの時間に起き、いつものように窓の外を眺める。
何か普段と違う気がする。ああ、景色が広いからか。
夜の間に隣の家を建て壊したんだろう。最近は建物の老朽化が多くてな、困ったもんだ。
尤も、隣の家は築2年だ。まあそんなこともあるさ。
太陽が小麦畑から顔を出し・・・・と、そこを何かが通り過ぎる。
翼の生えた、ウロコが硬そうな大きなトカゲだ。
なかなかに厨二心をくすぐる
空飛ぶトカゲ・・・いやドラゴンかワイバーンだな。
かっこいいものだ。
素晴らしい日の出、悠然と空を舞う竜。
美しいサンライズだ。
ビューティフォー。エキサイティング。
「・・・・・・・・・・・・・」
いや、普通ドラゴンがいるなんてことは考えられない。
もしかしたらいるかもしれないが、あんなデカブツが、しかもあんなに派手に飛び回っていたら
大勢の人が嫌でも見つけられるだろう。至近距離で見たら怖そうだし。
事前情報なかったら絶対ビビってショック死するね。
その考えが、一つの結果を導き出す。
ここは地球ではない。
別な世界、つまり「異世界」だ。
そうとしか受け入れられない。
いやはや、まさかこんな唐突に「異世界」にいくとはな。
ため息をついた。
異世界トリップは普通突然行くものだったか。
ひとまず状況整理をしなくてはならない。
1つ目、『どんな異世界トリップか』ということ。
異世界トリップにはいくつか種類がある。
有名かつ数が多いものを挙げてみると、
1.勇者として召喚される(転移)
2.どこかの家庭の赤さんとして爆誕する(転生)
3.どこかの家庭の子どもなどになる(憑依)
4.一般人として現れる(転移)
5.ゲームの世界に入る(転移)
こんな感じだ。
まず1つ、俺は死んでないと思う。
確かに4年間善良なるニート(正確にはフリーター)生活を送っていたが、ちゃんと暖炉を消し、家の中にダイナマイトすら置いてない。
というわけでこの中で考えからは1、2、4、5を除外できる。
要は3「どこかの家庭の子どもなどになる」だ。
今の俺は見る限り2、3歳児程度だ。
様々な転生作品の例に漏れず、中世くらいの服を着ている。
そしてこれまたテンプレ、少し裕福そうである。
俺の部屋と同じくらいで、目測約16畳。
いや、畳とかないか。
まあいい。
部屋の中にはベッド。今いる所だが、けっこう背が高くて降りるのが正直怖いよ。
あとなんていうのか知らないが、飾り棚的なやつと、本棚だ。
窓が一つ。日当たり良好、景色◎。
環境は悪くない。いやむしろいい。
若かりし頃思ったあの世界、幼いからこそ開ける無限の可能性。
もうすぐ20になりそうだったニートがもう一度やり直せる最高の環境だ。
俺は誓った。
もう二度と、同じ道は歩かないと。
そして、今まで歩いてきた道を決して無駄にはしないと。
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2年経った。
あの時の俺は見立て通り2歳、そして今は4歳になった。
名前はアレクセイ・サターン・ソレスティア。エストロビシア帝国(以下帝国とさせていただきます)とかいう如何にも悪・魔導機械・ラスボス臭漂う国の田舎、よく言えば郊外に住んでいる。この帝国、力があればなんでもできる!という実力至上主義で、貴族の地位も武力で手に入れられるらしい。
なんという脳筋国家だ。
そんな帝国に生まれた俺は、やはり武功を立てて?騎士になった父、ルスランと巨乳メイドのマリア氏(苗字不明)と暮らしている。
母は既に故人だ。と思う。
父はごまかしていたが。
俺の名前から分かる通り、東欧系の国である。
雰囲気が。
俺はこの4年間で、かなりの知識を本によって得ている。
我が国の文字は日本語ではなかったので、かなり難儀したが。
英語の上達はできなかったのだが、何故だろう。
あの本棚には意外にも多くの情報量が詰め込まれていたことには驚いたが、目立たずに本に読みふける
には丁度よかったのでラッキーだった。
さて、ここで俺が憑依したこの少年の住まう世界について紹介する。
大体、こういった異世界では世界の形状は登場しない、または円盤状だったりするのだが、
ここは地球と同じように球体状の形をしているということが確認されている。
最近読破した歴史の本の最初のページ、つまり目次(3ページ)を除いた4ページには、こう書き記してある。
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この世界は、元々一つのものではなく、複数の小さな世界が点在していた。
天の世界、魔の世界、樹の世界、表と裏のある人の世界、それらには属さない混沌の世界。
それぞれ大きさもバラバラだった。
しばらくして魔の世界と樹の世界が同時期に魔術を発明したが原理は別物だった。
樹の世界のものは「外側」から魔術を使用するのに対して、魔の世界のものは「内側」から魔術を使用する構造だった。
そのうち、魔の世界の魔術は樹の世界のものを大きく凌ぐほどの威力を持つようになる。
それにより、魔の世界では他人を傷つける魔術が先行した。
一方樹の世界は豊かだったため、癒やす魔術や日常に使う魔術が発展した。
天の世界は知識を、魔の世界は力を、樹の世界は術を、人の世界は道具を、混沌の世界はそれに属さない「奇跡」を持つこととなる。
そしてまた長い時を経て、人の世界を中心として球体状にそれぞれの世界が集まった。
混沌の世界に居た、原初の「創星」の力を扱う者によって。
多くの世界が、一つになったことにより、文化も風習も違う世界同士は争った。
これを「黎明の戦い」という。
今から2万年前のことである。
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ついでに言うと、これは第一巻である。全30巻。ここの歴史はずいぶん長いらしく、
数万年前から文化が発達していたようだ。
その割にはまだ電気もないようだが。
それはそうと、この世界にはやはり魔法、いや魔術が存在していた。
世界の中核を担う、魔術について説明していこう。
この世界の魔術には、非常に様々な種類がある。
俺が住む国、エストロビシア帝国は実力至上主義によって磨かれた攻撃用魔術が一般的で、俺もそれを練習する。
今から。
「魔術教本 初級~上級」を開く。
この世界の魔術の種類は大きく分けて5種類。
攻撃魔術、治癒魔術、結界魔術、召喚魔術、強化魔術。
攻撃魔術には属性という分け方があり、
火、水、風、地、闇、光、無の7属性。
他にも固有の魔術などがあるらしい。
魔法陣を使用した魔術は「魔法」といわれている。
魔法を使用する魔術師のことを魔法師という。
何が得意なのかわからんので、まずは基礎の「ファイアーボール」
手のひらに魔力を集める感じで・・・よくわからないけどこんな感じで・・・
わかりませんでした。
とにかく手に意識を集中、集中・・・・・・・・
「おっ」
火が、点いた。
そう。
俺は魔術を成功させた=魔術師になった!
なんとなく魔力というものが掴めたかもしれない。
次は温度を高くしてみようか。
一時間後
「紫の火キター!」
俺は紫の炎ボールを手に入れた。
「ってあれ、ファイヤーボール作っただけじゃないか。飛ばしてなかったは」
ファイヤーボールが飛ばすものなのかどうかは定かではないが、飛ばさないと戦闘じゃないと思う。
その後、メイドのマリア氏が夕食に呼びに来たので、今日の練習は終了した。
明日も引き続きファイヤーボールの練習を行っていこうと思う。