第8話:念話
話そうって言われても何話そうとしてたか忘れたし。
{で、吸血衝動についてだねー}
〈あ、そうそう、なんで吸いたくなったのわかるわけ?〉
[それは、俺らが、繋がれてるからだよ]
〈繋がれてるって?〉
{主従契約だよ。あ、あの時説明し忘れたことも色々話すから聞いてね。}
[とりあえず先に、主従契約で繋がれてるから俺らは主の空腹がわかるってこと。
よくある話でしょ、下僕に人間を連れてこさせて主に差し出す。]
〈なるほどね。〉
{特に主が吸血鬼の俺らはそうなの。}
〈納得。〉
{てことで、次の説明。
俺らの主従契約は、鎖型。主従契約魔法には、鎖型、自由型がある。
鎖型は、主のピンチに、気付けば行かないといけない。
これは絶対で、背けばある程度のペナルティがある。ピンチっていうのは命に関わるレベルのこと。}
[拐われたり、殺されかけたり、危険状態まで血を飲まないとか、そういう時。]
〈うん〉
{他にも、鎖型は主の命令には逆らえない。
それがたとえ、死ぬことであっても。
鎖型の主は、下僕の記憶消去なんかもできるし、やりたい放題だ。}
まぁ私はそんなことはしないけどね。
{自由型は、そのまんま
主が命令してもやるかどうかは本人次第。
でも、自由型の恐ろしいところは
主が下僕の心を自由に操作できるところだ。}
どっちも恐ろしいと思うけどね。
〈あれ、待って。昨日私が出てってとか言った時二人とも行かなかったよね?なんで。〉
[それは、花乃が本気で思ってなかったからだよ、命令じゃないし。]
…なんじゃそれなんかムカつく。
〈あっそーですかー〉
{んじゃ次ね。
昨日忘れてたんだけど、その私印について。
それは、チビちゃんの組。
まぁ、ファミリアとか組織とかギルドみたいなものと理解しといて。
で、その私印がある以上君は俺らの主でありマスターだ。
マスターの持つ印はその組員にもつく。}
昨日聞きたいことあったけど何だったかな…
印が何に役立つかとかだっけな
[私印は、正直特に目立った効果もないよ
ただ、どこに所属してるかを表したりだとか
今起きてる争いにも関係してくるけどね]
〈争い?〉
{争いっていうのは…こんな早くにネタバレするのも嫌なんだけどな…。
うん、でもね、まぁとりあえず簡単に言うと ある理由から争いが起きてるんだ。
それで、組潰しとかあったりするんだ。
もちろん組同士で仲良く一緒に同盟組んでやってるとこもある。}
その理由が気になるんだけど…
[あ、私印が持つ効果といえば
マスターがやられたら、自動的に俺らも負けた事になるんだよね]
{そうだな。それと主従契約魔法のこともついでで話そう。
マスターがやられたら敗北。
それと同じように主が負ければ俺らも負けで
勝った奴に下僕扱いされることもある。
勿論、相手がいい人ならそんなことはないけどな。}
なるほどなるほど。
{マスターである君は狙われることがこれから増える。
まさかこんなことになるとは思ってなかったけど
主従契約を結んで正解だったよ。
ピンチが知らされるからね。}
〈へぇー、そうなんだね。〉
あんまり、興味がないかもしれない。
だって、狙われるとか無縁すぎるし。
[だからこそ俺らに守らせて欲しい
同居の件考えてくんない?本気で]
…業戀…その言葉は辛いよ。
だって、断りづらいじゃん!
私自覚したんだよ?業戀が…
あぁいやお兄ちゃんとしてしたおうと思ってるわけだしさ。
〈いいよ、お兄ちゃん。
業戀は、私を妹と言ってくれたし。
許さないわけないよ〉
変な風に笑ってるのは見えてないんだろう。
隣の失礼男は、少し冷や汗を流しているけどね。
{…ち、チビちゃん…。
じゃあ、これからはそう言うことでいいんだね。
じゃあ、俺のことは侑兄でいいからね☆}
失礼男のことを兄とは呼びたくない。
〈…クソ兄貴ね。〉
[ぷっ…あ、それより俺ももうすぐ2人に合流できるから]
〈どこ?お兄ちゃん〉
{俺との対応の差酷くない?}
[はい、後ろ]
ドッと重みがかかったと思ったのも束の間。
ふわりと持ち上げられる。
朝と同じ抱え方。
〈お兄ちゃん!〉
ギュッと首に手を回して抱きつく。
[何?やけに積極的じゃん
俺に惚れでもした?]
挑発的でウザい喋り方。
いつも通りの業戀なのだろうなぁ
〈お兄ちゃん大好きだよ、好き、だぁい好き!〉
[…花乃だよね、本物?]
〈そうだよ?私、お兄ちゃんに妹って言われて気付いたの
お兄ちゃんのこと大好きだって〉
[そっか、花乃…それ告白って受け取っていいわけ?]
告白?なんで?
いや、あながち間違ってないけどね
〈…うん、告白だよ。〉
告白する気ないとか言って光の早さで告白してしまった。
もうこの際付き合いたいって言っといたほうが良くない?
だってもう手遅れじゃん?
[え、本気で言ってるの]
〈あ、うん。多分。〉
{二人とも、俺空気になってるから。}
〈空気読めよ、空気なら〉
{待って、チビちゃん酷い!}
[うーん、どこに惚れる要素あったんだよ
俺なんて、からかって遊んでただけじゃね?]
{妹って言われて気付いたって言葉でよくわかったよな。
まぁ、好きって気付いたてことは、傷ついたって事だろうからね}
〈あ、そっか私の言い方が悪かったんだね。
結果的に告白しちゃったじゃん〉
[えっと俺、多分付き合うとかそうそうしないよ?]
〈うん、いいよ?私はお兄ちゃんと思わせてもらうから。
大好きだよ、お兄ちゃん。
お兄ちゃんは、私の言う事聞いてくれるよね?〉
{うわ、さっきと同じ笑い方。}
[…え、やだよ?]
〈そう来ると思った。
まぁいいや、その方が面白いし、助かる。
じゃあ、家に着いたし、そろそろ念話やめようか。〉
「ただいま、お手伝いさん」
早い帰宅と謎の男二人に戸惑うお手伝いさん
まぁ普通戸惑うよね。
「どうしたんです?お嬢様」
「今日は体調悪くてね…
あ、この2人は従兄弟なの。」
この説明で納得してくれて助かった。
私の家族構成とかまで知ってるわけじゃないしね。
「今日から一緒に住むことになったんだ」
うん、嘘はついてない。従兄弟ってとこ以外は。
お手伝いさんの顔色が変わる。
「じゃあ、私はもういいですね。
今日限りやめさせていただきます。
あぁあ、せっかく姫君を拐うチャンスだと思ったのに」
?!
目の色が違う…どういうこと?
「うっわー、最悪だよ、チビちゃん。
この人…俺らの正体見抜いてる。
カレン、チビちゃんの耳塞いどいて。」
その言葉を最後に耳をふさがれる。
何かを喋ってるようだけどうまく聞こえない。
そして何故か戦いが始まっている。
大きな音だけが耳に響く。
あぁ、あったかい手だなぁ…
音とか戦いとかどうでもいい
私の耳に業戀の手がある。
これから、同居するということで私は業戀をお兄ちゃんとして扱って
『兄妹なら許されるでしょ?』ていっぱいいたずらしようと思ってるのに。
[花乃、変なこと考えてる?]
〈わっ、いきなり念話?〉
[うん、そりゃ耳塞いだまんまだし煩いから会話できないじゃん]
〈うん、そだね。で、私が変なこと考えてるかって?〉
[うん、ニヤニヤしてさっきみたいに、ヤバげな笑い方してるからさ]
〈んー、別に?〉
[ふーん、ならいいけど]
ふっと耳から手を外される。
どうやら終わったみたいだ。
負けたらしきお手伝いさんが横たわっている。
「お手伝いさんどうなるの?」
クソ兄貴こと失礼男は、こちらをみた。
「ん?チビちゃんの自由。」
私は倒れてるお手伝いさんの服を少しずつはだけさせる。
どこかの人ならば印があるでしょ?
「うーん、見た感じないかな。
じゃあ、私の下僕になってもらおう。」
ご飯美味しいのは紛れもなく事実だし。
これから、あんなに満足なごはんが食べれないなんてゴメンだね。
「え?まじで?やり方わかるの?」
あ…。
やりかたわかんないや。
「はぁ、仕方ないなぁ
チビちゃんの血を彼女に飲ませたらいいんだよ。」
ふーん…じゃあ、早速。
思いっきり自分の唇を噛む。
「っ!やめろ!」
目を覚ましたお手伝いさん。
あなたに拒否権はないんだけどなぁ…
「暴れると、見えるよ?秘部とか色々。」
服はだけさせた事、今起きたから気付いてないんだろうけどね。
かなり目のやり場に困るくらいだよ。
「ーっ!とにかくやめろ!」
やめろやめろうるっさいなぁ…
「殺すよ?」
にっこりと笑う。
これがいわゆるヤバげな笑みってやつだろうね
かなり本気で…今すぐあなたの喉を掻っ切ってもいいんだよ?
「しらない!」
「ゴチャゴチャいうな、私の血が勿体無いでしょう?
早く飲みなさいよ、早く。」
お手伝いさんの唇に落ちては固く結んだその唇から流れ落ちる。
本当もったいないんですけど…
喋るのやめちゃったしこの子。
「はぁあ…っん…んん…」
唇を塞いだ。
固く結んだって無駄だよ?
唇を舌で丁寧になぞる。割れ目に舌を這わせた瞬間隙間ができた。
無理やり舌をいれて口の中を掻き乱す。
自然と私の血がお手伝いさんにはいるわけで。
もし舌を噛んできたとしても結果的に血は彼女の口にはいるし、逃げ場は無いわけよ。
「っぁああ!ふっ…ぁっ!」
全くレズ疑惑たったらどうするのよ
そっちは見た目がおばさんなんだから、私の気持ちにもなってよ。
そういう趣味はないんだよね。
「「俺ら、何か見てはいけないものを見た気がする。」」
そんな言葉は聞こえません。
聞こえないんだからねッ☆
「…っ…姫様ァ…///」
う、うるめ!?萌えないよ?!
「ねぇ何だか私は危険なことに手を出したのかな?」
やばい死にそう、吐きそう。
「おすわり!とりあえず…飯作ってこい!」
命令、心からの命令。
あ、おすわりしたら、飯作れないよね。
「立ってもいいよ」
「はぃぃ!姫さまぁぁ!」
光の早さで台所へと走っていった。
うん、鎖でよかった、主従契約。
「…お兄ちゃん…キスして?あと血が欲しいなぁ」
上目遣い、したくてしてるんじゃないよ?
身長で仕方ないだけだからね
「血だけなら了承してあげてもいいけど?」
か、硬い!ガードが固いよ!
なんかそういうので命令使いたくないしなぁ
「んー…むー…ばー!
あ…やっぱり血を吸わなくてもいいです。」
思い出した…。
そいえば吸い方あんなだった…。
「んー?別に吸ってもいいんだよ?淫魔ちゃん」
この呼び方はわかってて了承したな!
あれ恥ずかしいんだよなぁ
それを忘れてた私はかなりどうかしてる。
「…と、とにかく部屋に行ってからで。」
見られるなら一人だけの方がいい。
わざわざ、吸血に関係ない他の人に見られたくないし…。
「ここでの方がいいんじゃない?
俺の気が変わっちゃってもいいの?」
悪魔、赤い悪魔。
わすれてた、業戀は悪魔だった。
「…し、あ、いやでも…も、も!
うわぁあああああああぁぁぁああああん!」
{ドSだなあ、カレン}
[それほどでも]
〈何でわざわざ念話で、私に聞こえるようにいうの?!〉
「とにかく、吸いたければ今ここで、だからね」
赤い悪魔略して赤悪魔。
赤崎業戀は、赤悪魔だ!
「…じゃ、あ屈んでよ?届かない、て…ふんぐ?!」
なぜでしょうか。
なぜ指を突っ込まれてるの?
指から吸えってことかな、ほう
指からって相手の顔も見れるけど自分の顔も見られるんですが。
「ほら?っ…」
し、知らぬ!もう吸ってやる!やけくそだ!
「っ…ん…んん…っちゅ……ふっん…ぁ…んん…んっ…」
もう知らない吸えるだけ吸ってやる!
あ、なんか自分の血と混じった味…。
私の血も普通の時の味とは違う。
「はい終わり。」
「お食事できましたよ!!」
…何だこの茶番。
すごい慌ただしい日だったなぁ
多分今日が一番意味のない日だったと思う。
そして一番何も伝わらなかった日だと思う。
わかったのは…念話ができることくらいだな。




