2話:最低な出会いとはこの事
あの後…家に帰ると、皆から贈り物が来ていた。
なんて、いい人たちなんだ…。
馬鹿じゃないのってくらいに、良い人たち。
そんな人達がイツメン。
さぁGW中には向こうに行くってことだったか。
向こうではお手伝いさんが付くらしい…。
ご飯とか洗濯とかだけしてくれる人。
ふぅ…覚醒してしまってから、何とも言えない感覚。
前よりも、吸血衝動は減った気がする。
多分、思う存分に吸ったからていうのもあるのかな
まぁ、とりあえず移住は早い方がいいし、行こう。
昨日もらったものだけを鞄に詰めて…車で送ってもらおう。
「ねぇ、送っていって」
私の姿を見て少し眉を釣り上げた父と母に投げかける。
勿論即答。「OK」
多分、一日はかかる…。
まぁいいか、向こうでゆっくりしてたらいい。
向こうに着いたらまず学校に挨拶に行って、そのまま街を回るか。
数日分のお菓子と飲み物。
あとは、血を欲した時に抑えるもの。
あぁ、そうだ。
向こうでどんなキャラでいくか、考えとかないと。
やっぱ無難に天然キャラ?
あぁ、それはそれで面倒だな。
とりあえず、キャラはわからないにしても
愛想を良くしておいて…口止めしつつ血を頂いたりしよう。
あ、LINEだ。
『喬也:どーも。もう向かってるって梨瑠に聞いた。
昨日の事だけど、俺は別に誰かに言うつもりはない…
けど、俺の所為って言ってたのとか気になる。
出来ることなら教えて欲しい…。
じゃなきゃ、どうしていいかわかんない。』
…ふふっ…
計画通りというべきかしら。
ずっと気にしてればいい、迷えばいい。
ただ返してあげるとしたら…
『花乃:愛していたから。それだけ』
これ以上は特に言うことはない。
言うつもりもなければ、貴方を救おうとも思わない。
言ったじゃない、復讐だって。
でも、本当にどうしようかな。
この先こんな能力必要じゃないし
ばれると面倒だし…あぁ…。
そもそも、突然変異の詳しい理由はわかっていない。
ただ漠然と愛が故と思っていた。
まぁ多分戻ることはできないのだから考えたって無駄か。
人の血を体へと含んだ瞬間
もう私は人間には戻れない。化物だ。
後悔なんてしてないからいいんだけどね。
…ふふ…鼓動が早い。
他の人の血が入っている私の体。
その血は愛していた男の血。
彼への復讐は上手くいった…
あぁ、本当に興奮して抑えられなかったなぁ
あの感覚は何かいけない事をしている気分になる。
彼に捧げた初めての時をかすかに頭を過ぎらせた。
吸う方もあんな感じになるなんて…
吸血鬼って何て素晴らしい生き物なの?
あぁ、少し寝よう…どうせ着くまでは長いのだから。
「花乃ちゃん、着きましたよ」
あぁ…うるさい…。
今何時…?
スマホの画面を見る。
今は…もう夜か…。
おおよそ、GWで渋滞しててこんなに遅くついたんだろう。
今日はもう車で寝よう…となったわけで
まず、夕飯を店屋で済ませ車の中で就寝する。
さっきまで寝てたのに…まだ寝れるとか私スゴ…。
「ふぁ…朝…だ。」
書き置きを残して、車から降りる…。
さて、鍵はもう預かってる。
お手伝いさんにメール入れとこ。
「今は、5:00か。
朝飯は、コンビニでいいや」
鞄をゆっくり静かに下ろしてから鍵を開けて中に入ると
もう既に出来上がってる内装。
本当に凄いと思う…。
こんなふうに綺麗に部屋作ってくれるとは、ありがたい。
まず、シャワーとかチェックしに行こう…。
電気もつく。水は出る、お湯も出る。ガスはこれから頼むか。
じゃあ…シャワー浴びちゃおう。
お風呂も結構オシャレだ。
床は暖かくて滑り止めもついている今時の人に優しいもの。
窓も着いていて浴槽も下から湧き出てくる温泉とかに良くあるような仕様。
「ふぅ…気持ちよかった…」
おっと、タオル…あった。
全身拭いて…ふふふっ…念願だったタオルを体に巻くスタイル!
一人暮らしなのでそのまま、髪乾かしても何も言われない!
ブォー
と、ドライヤーの音。
くせっ毛をどれだけ抑えるかはここが勝負どころだ。
ふぅ……かなり手ごわい…。
しかし今日は少し収まってる方。
まぁとりあえず…ご飯買いに行こう。
着替えて、マスクかけて…財布持って…よし!出かけよう!!
といっても、すぐそこだから着いてしまうのは早い。
とってもとってもありがたいです、はい。
この際、まとめ買いしちゃおう。
籠にどんどん入れていく。
レジに置いたらすごい顔された…。
「あ、二軒ほど隣に引っ越してきたものです、明日日と申します。
どうぞよろしくお願いします。」
ニコッと笑いかけると納得してもらえた。
食料調達と思ってもらえたらしい。
「そうですか、よろしくお願いします。
スーパーならここの裏路地にあるよ。
お嬢ちゃん一人でお買い物?えらいね」
うわっとっても親切だこの人!
でも、多分私のこと小学生くらいだと思ってるな…。
くそ…ジジィめ…。
副店長だからってなめてんのか!
ていうのは逆ギレ。
「私、中3なんです、こう見えても。こう見えても。」
大事なので二度言っておいた。
焦って謝る副店長さん。
まぁ別にいいけどね、わかってくれたら。
さて、家に戻ろう…。
流石に力があるとはいえ重いことは重いし
視線が痛い。
そりゃそうよね、ロリータ系のフリフリの服きた小学生みたいな見た目の髪色明るい女の子が大荷物。
インパクトしかないわ…
「ただいまー…」
鍵を開けるのが大変だったのは言うまでもない。
さて、食べる前に冷蔵庫にしまって…
よいしょっ…と。
「よし!食べよう!」
パンだけだけど、まぁ足りるでしょ。
あ、電話しなきゃ。
「もしもし、明日日です。ガスお願いします。はい、はい。」
一件目はガス屋さん。
「もしもし、明日日花乃です。はい、今日伺わせていただきます。
はい、髪は染めても脱色してもいません。はい。はい。」
二件目は薄明光学園。
今日は大忙しかな。
制服に着替えて行こう…。
「おじゃまします。」
あ、お手伝いさんかな。
「はーい、あ、宜しくお願いします!
今から学校に顔を出してきます。
ガス屋さん来ると思うのでよろしくお願いしますね」
ふぅ…今日は敬語が多い日になりそう。
いっそ、敬語の日にしちゃえばいいのに…あ、それは嫌だ。
学園…部活とかまだしてるし
結構人がいたりするんだろうな…。
何部に入ろうかな…前は、文化部にいた…
前と同じ部活は他の学校にないことを知ってるし
まぁ強制じゃないって言ってたからいっか。
「あ!危ないよ!」
へ?うん?なんで私持ち上げられてるの?
なんか、こういう出会いってマンガかよみたいな。
「あの?」
特に危ない要素は見当たらない。
周りを見ても何も無い。
私はただ正門から入ろうとしただけだ。
「小学生がこんなとこ入ったら不良に囲まれちゃうよ? 」
はぁん!?
中3だっつの!
ゲシッ
思いっきり蹴ってやった。
初対面で失礼な。
「中学3年生です!」
痛そうに私を地面に下ろす。
うわっ…おっきい…背。
いやみんなこんな感じだしな。
「え?俺と同じ?!にしてもちっさくね?」
カチンときたんだけど。
は?ふざけんな!
てか同じ?これフラグじゃん。
同クラになるフラグじゃん
「どうも、すみませんね。それより、職員室教えてください」
いいよ、という初対面で失礼だった人。
あの人背おっきいし…腹立つ。
「職員室って事は転入生か。」
うん、そうだね。
それ以外ないし、たぶん聞いてたんだろうな…
「転入生ちゃんは、背、何cm?」
カチンッ(本日二度目)
なんなのこの失礼な人…
「142ですけど?背が低いからなんですか?」
キレ気味で言い返す。
「うっわ、ちっさ。
俺小さいほうだったのに俺より小さいとか」
爆笑…て。
この男なんなの!
てか、今小さい方って?
この学校どんだけ巨人多いのよ。
「イラッとします、詰んでください、人生に。」
さようなら、初対面の人。
あ
職員室だ。
お礼を言って入室。
皆さんに挨拶して、説明受けて暇になった。
さっきの人のことが不意に思い浮かんだ。
部活だったのなら遅刻とかしてないかな?
そもそも、部活だったのかもなぞ。
馬鹿っぽかったし、補修とか?
まぁいっか…とりあえず校内探索してこよう。
いいサボリスポ…ゲフンゲフンッ…
いい眺めの場所を探してこよう、うん。
ん?ここ…ほうほう…。
裏庭というより、裏山…て感じかな。
すっご…上から学校ごと見渡せる。
綺麗…。
さて、そろそろ、戻ろう。
校舎とかやっぱり綺麗だな…
「あれ?チビちゃん」
んぁ?
この失礼なやつは…なんなんだ。
「…私には明日日 花乃って名前があるんですけど…」
本当なんなの、この人…
イライラするんですけど
「あぁそうなんだ、俺は相澤 侑希。
3年A組、バスケ部。よろしく」
…バスケ部…ね。
あいつのこと思い出す…。
女は初恋を忘れないとかいうっけな
「あ、そ。よろしく」
同クラフラグとか言ってたけど結局違うみたいだな
私は3年E組。
まぁ変な奴と同じじゃなくてよかったか。
さて、そろそろ帰って…お昼食べよう。
「ただいまー」
お手伝いさんの「おかえりなさい、お嬢様」の声。
お嬢様って貴方…。
手洗ってお手伝いさんのご飯を食べる。
やはり上手い…。
「ごちそうさまでしたー」
まぁあとは、生活用品とかを買い揃えるだけか…。
ふぅ…疲れたな…。
GW明け。
あああああああ…緊張する…。
お腹壊しそう…。
とりあえず、このGW中は目立った吸血衝動もなく過ごしてきたけど
人が沢山いるところに行くと少しヤバイってのは
このGW中に学んだ。
「花乃さんは、先生が呼んだら来てくださいね」
少し楽しそうな先生。
なんで楽しそうなんだよ…。
「皆さん、今日は転入生がいます。
入ってきてください。」
ガラッ
扉を開けてスタスタと中へと進む。
視線を集めるのはある意味なれてるのでそのへんはまだ平気。
ただ、匂いがやばい…。狂いそうなほどいい匂いだ。
マスクしてきて正解だ。
「はい、自己紹介してください。」
黒板に名前を書く。
「よろしく…おねがいします。」
ペコッと頭を下げる。
反応がない…なぜ?
「はい、質問!」
女の子が手を挙げる。
どうぞ、と指名する。
「名字、なんて読むの?」
へ?あぁ、そこだったのか。
「あすひです。あすひ かの です。」
ほうほう、と頷き座った。
先生に助けを求める。
シーンとなった空気に耐えられるメンタルは持ち合わせてない。
「あぁ、席は赤﨑(あかさき) 業戀くんの隣です。
業戀くん、手を挙げてください。」
業戀君…て、私よりヤバげ…髪の毛茶色ってより…ほぼ赤じゃん。
絶対アニメとか見てる人だよ
影響されたとかだよ…。
現実的に生まれた時から赤の人とか知らないから。
基本的にアニメの世界の人だけだからね、ああいう人種。
まぁ、でも私みたいな存在がいるってことは
絶対ありえないなんてことはないんだけどさ。
「よろしく、赤﨑君。」
隣に座って、改まり向き合う。
勿論内心ビクビクなのは言うまでもないでしょう?
「業戀でいーよ。花乃ちゃん。」
ちゃ、チャラい?
いや、優しいのかな、うんきっとそうだ。
「じゃ、業戀君で。」
他の子もみんないい子そう…な雰囲気。
でも女の子ってこう、裏が怖いし…。
「ねぇ花乃さん、花乃さんって本当に同い年?」
へ?
えっと、前の席の男の子?
「ですけど?」
くすっと笑う…失礼な男の子だな!
「背ぇちっさいね、可愛い。あと、1つ。
髪の毛、ほどけかけてるよ」
げっ!
てか背かよ…。
キャラ崩壊仕掛けてる私を誰か助けてあげて。
「え、あ、はい。」
なんて日d…ゲフンゲフンッ…
なんて日なのよ…。




