第16話:吸血姫と迷。
*業戀視点*
白…
天井は高いし一点を見つめていると無限に白が続いてる感覚になる。
こんな時ですら考えてしまう
…吸血姫の時折見せる悲しげな表情が頭によぎる。
いつも血まみれで帰ってきて生きとし生けるものが憎いような愛しいような、怨めしいような慈しむような表情で見ている。
そして少しすると、手に持っている迷を見つめて悔しそうに胸を押さえている。
吸血姫は何を抱えているんだ…
いや考えるのをやめよう。
俺は、花乃に早く戻ってきて欲しいんだ。
でも、戻ってきた花乃に何て言おうか。
俺の過去?言いたかったこと全て?
花乃という存在が消えて、それでも花乃の体はあって
どうしたらいいかわからない感情が渦巻いてた。
失う恐怖に襲われた。
何も出来ない自分が嫌で仕方ない。
「なのに…な。」
こんなふうに呑気に生きている。
戻ってこさせようとしたことはない。
心の底で自分に諦めている。
どうせ、俺では何も出来ない、と。
明日にでも「今までのは演技でした、だまされた?」なんて無邪気な顔して言ってくれるんじゃないか
そんなふうに思ってる。
逃げてるだけ、だ。
本当こういうとこ嫌になる。
自分にどうにかできないことは面倒だと言って逃げてしまう。
出来ることは自信満々に。
ただのかっこつけ…一番かっこ悪い。
こんなんだから、花乃に本気で認めてもらえないんだろうな…。
だっせー…俺。
*迷視点*
最近、姫様が力を使いすぎている気がする。
きっと…****様のことを思うあまり…
本当に愛し合っておられましたもの。
それをわかっているからこそ、私は…貴方を許しませんよ、×××様。
今もなお貴方だけが生きながらえている。
本当に許せません…。
最近、赤﨑業戀が姫様に接近してきている。
花乃様…か。
彼にこのことを伝えるべきなのだろうか。
花乃様は、姫様の体の中で沢山の言葉を叫んでいる。
泣いている、と。
…無理だ。
私には、男と喋ることなど…出来ない。したくない。
それに…花乃様の声を赤﨑業戀が聞こうとすれば簡単に聞けてしまう。
そしてそこで、お互いに本当に強く求め合えば…姫様の意識はまた封じこまれてしまう。
花乃様にはとても悪いと思うけど…姫様にも姫様の目的があるのです。
姫様の望みにもきちんと理由が存在するのです。
…あと少し、姫様がすべてに終止符を打つまで待ってください、花乃様。
せめて姫様だけでも成仏していただきたいのです。
私はきっとここからまた何億の年を過ごす…
それに、私は武器の贄…成仏などできないのだ。
逝く場所がないの…
貴方のところへも逝けないの
…貴方に会えば変われるのかと…思うのだけど
あなたはもうこの世にはきっといないでしょう
「…解…」
会いたいよ、解。
男は怖い、それは嘘じゃない。
でもね、解。貴方は違うってそう信じている。
貴方にしか…私の恐怖心を和らげない…
っ…だめ…まだ思い出すだけで。
あぁ…本当に忌々しい話だ
貴方を思い出すと同時に思い浮かぶあの光景が。
本当に…最悪ね
最近、たくさんの者を切って血を吸収しているからその分の記憶が流れ込んでくる。
記憶の量だけ“愛”と“憎”が流れ込んでくる。
貴方を求めるのに十分な程に。
…あぁ…あと何億の年を生きれば良いのだろうか
あとどれだけのあいだ、苦しみ もがけば良いのだろうか
これが私が生まれてしまった罰なのか。
…だから早く…私をこの武器から解き放って…殺して…。
姫様の願いを叶えるのと交換条件。
花乃様とは短い付き合いでしたね…本当に一瞬の。
「早くこの世の異物を排除し終えたいところです」
そうしたら、みんな報われる
私も...姫様も...。花乃様も、ついでに赤崎業戀も。
ーーーーー
「はぁ...疲れたわ。
...眠っていた分のブランクは大きいわね」
体の動きが鈍い
この子...そこまで運動してなかったのね、きっと
相当動きにくい
筋肉痛とか...色々ひどくてたまらないわ
基礎がなってないにも程がある。
コンコンっコンコンっ
「いいわよ」
入ってきたのは迷
「姫様...すみません、お疲れのところ」
「別に大丈夫よ、どうかしたの?」
訪ねてくることが珍しい。
もしかして...最近ハードだったから迷も昔を思い出していたのかしらね
「この場所に、人外が、集まりつつあると、報告がありました。
故に...貴族たちもこちら側へ現れてる様子です。
あらたに人外を生み出している者が...いるようです。」
...っ?!
もっとえらいことになってるじゃない...
これは、一ヶ月もすればこの街は戦場ね。
血の海と化すわ
「...仕方ない、手を借りるしかなさそうね
皆をリビングにでも集めるわ」
「はい、それと...姫様」
「何かあるの?」
「いえ、全てが終わった時は...お願いします」
...そのことが本当に言いたかったことね
迷を武器から解き放ち、破壊する。
一番確実な 殺し方。
「それを終えなければ私も成仏なんてできないわよ」
「そう、、、ですか」
...本当に...あなたは。
最後まで共にすることになるのね
ごめんね、あの時
先に死んでしまって...。
今度こそはきちんと、あなたの願いを叶えるわね
ーーーー
「...私共に手伝えることなのであれば、是非」
「それで、終われば花乃が戻ってくるんでしょ?やるよ」
「私もそのつもりです」
三人の意見はそうだった。
まぁ...それもそうか
断ったところで無理矢理従わせるのみ
「とりあえず、この戦いで生き残る魔界のものは明日日 花乃のみだ。
相澤家の者は...お前の好きにしろ、生きるも死ぬもお前の勝手だ。」
それ以外は誰であろうと...死ぬんだよ。
「とりあえず、迷がまとめた資料だ。
ここに書かれてる者は...全て殺せ。
赤崎 業戀は私に血を提供しなさい。
相澤やリラとやらは...
能力とか使って、皆殺ししなさい...」
長くても1ヶ月以内に終わらせてやるわ
早く貴方に...会いたいものね。
ズルズルと引きずるつもりはない
「「「了解」」」
「明日から全力で行くわよ。
寝る暇もほぼ無いと思いなさい
人外ばかりなんだから、睡眠なんて要らないわよね?」
ニヤッ...としてしまったのは
不本意にもこの状況を楽しいと感じたから
あなたがいなくなってからは
こんなふうに血に塗れて生きてきたのよ
結局...あの人に殺されたけどね。
殺された時の感情は今でも例えようのない感じで...
次会ったときは...ちゃんと殺してあげるね?
殺さなきゃ...気が済まないわ
もしかしたら、あの人に出会ったら
私の体が出てくるかもね...
私の体で殺さなきゃ。
花乃としてではなく、私として...。
その場にいた皆がゾッとした
その時の嬉々とした彼女の表情を見て
恐ろしく美しかった...。
かなり時間が空いて申し訳ないです
これからもおそらくゆっくりとなりますが
地道にコツコツ更新させていただきます
最終章にそろそろ入ろうかと...思います。
終わったあと、番外編として幸せな感じも書いていこうと思っております
では、次話にてお逢い致しましょう




