第12話:真実の時間
周りには大量の血が溜まっている。
今さっきまでここで起きてたことが
現実だなんて私は思いたくない
「はぁ…はぁ…どういうことか説明しなさいよ
ー業戀ー侑希ーリラー」
30分前の出来事を簡潔的にいうと、
家に帰ったら、よくわからないやつらがいて
そいつらの侵入にリラも侑希も気付かなくて私達の帰宅と共に気付いた。
『姫を独り占めとはズルいぞ!我々に渡せ!』
とモブさんが放つ。
私は意味がわからないし、とりあえずよける。
で、戦って皆が勝ったわけだけど
『姫』と何度も呼ばれた私がそれについて聞かないわけないよね。
マジで私、鈍感ヒロインとかじゃないからね
「もういい加減私は姫に言いたかったのでいいますよ。
簡潔に言いますが
姫様は、本当に姫なんです。
元は人間、と言いましたよね?
たしかに、その通りなんでしょうが…
貴方は人間でありながら吸血姫の生まれ変わりだったのです。」
えっ?
いや意味わかんない全然わかんないから
「吸血姫様は、自分も血を吸うことができながら
さらに、大変美味で妖艶な至極の味の血を体に持っていました。
そんな彼女も人に恋をして血を吸わなくなり、弱っていた所を狙われ死んだ。
その姫の死体からは血がなくなっていた。
みんながそれを知って絶望しました。
理由は、姫様の体が傷ついたとかそんな綺麗な理由じゃ無くて
姫の血には能力が上がったり、長寿できたり、非常に稀で貴重な効果があるから
死んだ後に吸うことも出来なくて残念だったからです。」
その為、生まれ変わりである私は狙われると?
そんな事なら、今すぐ自害してやりたいわ
しかも血が残らないように。
「…さらに、私が言うのも恐れ多いですが
姫と出会ってぶつかった青い髪の少女は
貴方の武器となる“物”です。」
物…?
「ま、まって!
なんでそれ知ってるの?」
今日だってリラはお留守番だったし
あの少女と出会ったことを知ってる筈がない。
「私は発動条件はわかりませんが、人の過去や考えを読むことができます。
(少しだけ嘘をついてしまった…嫌われたくない。
姫様に捨てられたくないから)」
「なるほど…で、あの女の子どうしたらいい?」
過去や考えが読めるか
私の事も、もう知られてるんだろうな
まぁ、それよりあの女の子のことだよね。
自分の事知られてようと、どうでもいい
「彼女に出会い次第、主従契約及び、武器と使い手の契約もしてください。」
「武器と使い手の契約と言われるものは
貴方とアレはもともと繋がっているので
『迷』と読んでください。迷いという字で迷です。
すると、彼女は縛られ動けませんので
その間に貴方の左薬指から血を出しアレの左指に絡めてください。
それで終わりです」
なるほど…迷、からの薬指を噛んで血を出した後
その指を彼女の左の指に絡めたらおわりね…
「でもそもそも、そこまで都合良く会えないんじゃ」
「会えます、アレは無意識に貴方の力に引き寄せられていますから
近いうちに絶対に。
それを阻止する事が出来るものは姫以外いません」
ふーん…
「それより、花乃の正体について隠しててごめん
俺と侑希は出来るだけ隠しておきたかったんだ。
言ったら花乃をこれから起こる戦争に巻き込む事になるから…
特に花乃なんてそうだろ」
…私が巻き込まれる、か。
てか、特にそうって何?
「どういうこと?」
全く意味がわからない
何でそうなるわけ?
「…ヒーローさんは、人が傷付くのを見てられないし
自分を守るために人が傷つくくらいなら自分が傷ついてでもって人だろ」
ヒーロー…ヒーローか…
1年の時目指してたっけ、何となく記憶がある。
あの幸せだった時の記憶。
でも、救えたのは結局あの時の男の子だけだった。
て…ん?
そういえばあの子赤髪だったような。
…しかも、喋り方に何となく覚えがあるような
「もしかして、あの時の少年君…?生意気ツンツン少年なの?」
あの時私は完全にあの子年下だと思ってたよ
ツンツンしてたし
生意気だったし、すぐ顔逸らすし
「何その名称…
改めて、あの時はありがとう」
っ…
うわぁ嬉しい、嬉しいよ
ていうか、しっかり顔覚えてないのが悔しい。
「うん、全然OKだよ!
何だ、私の事知ってるって…その時の事かぁ」
喬也とのことを知ってたのは、あの時に出会ってたからか…。
「とにかく、花乃ちゃん、もしくは、リラさん
その女の子の特徴を詳しく教えてくれると助かる」
侑希…なんというかそういう話し合いの時だけ毎回真面目だ。
出会いは最悪だったけど多分いいやつなのかな
「私、資料持ってますよ。
姫様たちが学校に行ってる間に色々調べておきましたから」
どこから現れたのかドサッと出された資料。
顔写真の写った資料。
あの時の女の子だ…名前は________。
あるのに、物扱いなんだね…
まぁ、物が擬人化したと思えばいいのか?
いや現実味無さすぎだわ
へぇ…主に太刀だけど、銃にもなるんだ
武器としてのレベルは一番高いと言われるクラスのもの…
切った者などの血を吸収しどんどん強くなる
このクラスの武器で吸血鬼が使えるのはこれだけ。
他にも、悪魔、神、天使、魔法使いなどの種族ごとの専用の武器があり
最高クラスのものは、種族の数だけある。
もちろん人間という種族にも与えられているが持つ事が出来るものは現れたって気付かぬままに一生を終えていくことがほとんど、か。
説明までご丁寧に書いてある…。
「この子を見つけしだい、花乃ちゃん以外は〔縛〕を使ってここに連れてくること。
花乃ちゃんが見つけた場合は、〔迷〕と言ってこの子の動きを封じる。それから俺に念話をしてきて。
念話越しに結界をはるからそのまま契約に移って。
終わったら、家まで帰ってくること。」
念話したらいいのね。
まぁ人前で堂々契約とかできないわよね
「ん」
この子について他には…?
大量の教科書並みの厚さの資料達
一般的には血を取り込むことから〔吸血具〕と呼ばれる…
普通だな、ネーミングセンス
ふーん…いろいろわかった…。
「さて日曜日の朝だってのに
なんで君たちは忙しくするわけ?」
忙しくなるって事くらいわかるよね?
そうだよ、この馬鹿侑希がいきなり見つけて連れてきたんだよ。
まぁいいか、、さっさとすませよう。
「迷」
名を呼び自分の薬指を軽く噛んだ。
そして血が出てきたのを確認すると指を絡めようとした。
でも、この子が嫌そうなんだよね…
「…花乃ちゃん?」 「姫?」
嫌そうな顔なのに無理矢理ってなんか嫌なんだよね
彼女はきっと私みたいな存在に、縛られることを嫌がってるんじゃないかって色んな事考えちゃってさ
「ねぇ…嫌な理由って何?体が今動かないこと?
それともこれから縛られる事?皆の前だから?
理由を教えてよ、やめることはないけどね」
本当はやめてあげたい。
私自身を拒否するなら思い切り拒否して欲しい。
「違う…また姫と居られるのは嬉しいです。
でも、その男二人が怖いのです。」
初めてこの場で喋った。
高くて透明な可愛い声だな…前ぶつかった時は他の人の声であんまり聞こえなかったけど
「じゃあ、二人出てきなさい」
命令口調で二人を外に出す。
私の血はその間も床に滴り落ちていく。
二人が出ていった途端に険しいさっきまでの表情が一気に消えた。
それほどまでに警戒してたんだ…
「中断して申し訳ありませんでした、姫。
私ともう一度契りをお交わしください」
先に主従契約をした。そして次には
迷が左の薬指をこちらに向けて立てる。
そこに指を絡めれば数々の記憶が流れ込んできて光に包まれた。
これは…迷の記憶なんだ…
男子が怖いと言ったのもこの過去があるから…
私がいない間は一人で過ごしてきたのか…
吸血姫の容姿や人柄までもが迷の見てきたものからわかる。
「契約完了ですね、姫様。
とりあえず下で皆でご飯食べましょうか」
朝ごはんそう言えば食べてなかったな
ドタバタしてて…。
それにもう昼の時間だし。
「あの人も行ったことですし…
姫に、1つだけお願いがあります。
私にあの男たちを近づけないで…」
彼女の声は震えて肩も手も震えてるし足まで…。
それほどまでにあの出来事が迷に深い傷を残したんだね
「ごめん、絶対に近付けないってのは約束出来ない
私の大事な人達だから、徐々にゆっくりでもいいから
慣れていって欲しいな」
頭を撫でてやる。
私の、エゴだし…申し訳ないんだけど、その願いを聞くことが出来ないから。
て、あれ?なんか視線が一気に変わった気がする。
私の見える景色が…変わった気がする?
「わかりました…それより姫の背、急に本来の高さになりましたね。
私の力で今まで影響を与えてしまってたようですが。」
え、伸びたんだ!
「え?今どの位?」
「約4cm一気に伸びましたね。」
まだ、140cm台なのね…。
でも伸びた…伸びたよ…!?
いつからかは正確にはわからないけど、ここしばらく背が全く変わってなかったのには、迷後ならが何かしら影響してたのね。
何だか安心した…もうこれ以上絶対に伸びませんとかじゃなくて。
「そっか!やったね!
…じゃ行こうか」
手を引いて下に降りた。
少しだけ体が拒否してるようだから
きっとこうでもしないと、あの部屋から出てこないだろう。
さてさて、宴のはじまりだ。
「さて今日はこれを飲みましょう姫様」
赤い色の飲み物?血とかじゃないよね…
とりあえず飲んでみようかな
「っー?!何この味…」
「姫!
…私が先に飲むべきでした…姫のあとを私も!」
そして二人とも飲んだ直後に一瞬意識を飛ばしましたとさ
心配する素振りもなくこちらを見つめる3人。
「花乃は、何を隠してるの?」
「隠してはないよ何も」
あれ口が勝手に…本音が?!出てる的な?
「じゃあ、質問を変える。
なんで俺達に大事なことを教えないの?
花乃のことを教えて」
教えて?私を…?
「私が大事なことを教えないのは
君たちを信じてないから
私の事…?私のことは…ただ…なんて説明したらいいかわからない」
事実だ
「…ちょっと来てね。」
腕を引っ張られて連れていかれた先は業戀の部屋。
「何…?」
少しだけ鼓動が早くなる。
「喬也くんと、何があったの。
絶対にお互いが嫌いになって別れたわけじゃないよね」
一番聞かれたくなくて一番聞いてほしいこと
「…私は少しだけ病んでるらしい
自分で言うのも変かもしれないけど
愛に飢えてるし、過剰なほどに愛を求めてる
不安になれば自分の体から血を流すのなんてなんでもなくて、ある意味それは自分への罰であり愛である行為なんだ。
私は、喬也のこと…心の底から愛してた。
なのに喬也は、私じゃない女の子と仲良くしてて
スキンシップも多くて私以外の女の子の頭を撫でたり
見ててイライラした。
だから私は彼に“死ね”と言ったのよ。
そしたら彼は手の甲をハサミで傷つけていた。
私はそれが…嬉しかった。心配よりも、あぁ同じなんだって思えて、嬉しかった。
だから、喧嘩じみたことになっているのも忘れて
彼の目の前に跪いて血を舐めとった。
そこから始まったんだよ…狂った物語が。」
「きっとリラさんは知ってると思う。
だから俺にも教えて。俺は、花乃のこと知りたい」
まっすぐに見ないでよ
今は特に勝手に口が動いちゃうのに
「…その日、私は喬也の家に行ってシてはいけない事をシた。
それからは、どこに行くにも一緒にいて離れる時なんてほとんど無かった。
することといえばイチャつくか、私が不安定になったとき私が自分の肌を傷つけたりする度に喬也が私の血を舐取り、手当てをしてから彼も血を流し私に与えた。
いつしか不安は消えていて、それからは
お互いに印をつけあって、人差し指から私だけが血をもらっていた。
その日々は幸せで幸せで…それが続くって信じてた。
だけど、ある日…簡単に崩れたの。
喬也が、私の友達の…恭子を抱きしめていた
それを見てしまったのよ。
『ねぇ、好きだよ…なのに、何で…何であの子を抱きしめたの?』
そう聞いたのに、何も答えてくれない
『私のこと…好き?ねぇ…教えてよ。』
『ねぇ、なんで恭子とキスしてたの?
ねぇ…お願い、私の事好きって言ってよ
私にいつもみたいに血を頂戴、ねぇ!』
やっと喬也が口を開いたとき出てきた言葉は
一番冷たくて鋭い言葉だった。
『ごめん、俺もうお前の愛に耐えらんない。もう別れよう』
私はどうしたらいいかわからなかったよ。
どうしてこんな目に私が合うんだろうって思った。
なんで上手くいかないの?全部私が悪いの?」
気がつけば泣いてたんだ、あの時。
なのに今は涙さえ出ない。
出るのは八つ当たりのような言葉の数々。
「…ごめん、薬使ってこんな辛いこと話させて。
ごめん、花乃」
なんで謝るんだろう
確かに無理矢理吐かされたかもしれない
でも、絶対に言いたくなかったわけじゃない
触れられたくなかったことだけど
聞いて欲しかった
誰かに私の口から聞いて欲しかった
そしてその上で責めて欲しかった。
『お前が異常だ。』
『お前が相手を傷つけた。』
そうして全部の事で悪者にされる事ができるなら、どんなに楽だろうか。
慰めより、責める言葉が、心を切り裂く言葉が欲しい。
そうしてまた1人、自分の物語に溺れていきたいんだ。
業戀に聞いてもらえたことが私は凄く凄く嬉しいのに
なんで謝るの?
全て聞いた上で、責めるわけでも変に慰めるわけでもなく、何で謝るの?
「謝らないでよ、聞いてくれて嬉しかったのに
初めて自分の口から全部 誰かに言えたのに
業戀のこと信じれるかもって思ったのに」
薬の効果が切れ始めてるのか
少しだけ嘘をついた。
信じれるかも、じゃなくて、信じてる。
こんな話を聞いてそんな風に答えてくれたのは
業戀が初めてで
今までは皆、人の話を最後まで聞かずに『花乃が血を求めるなんて変な事するからだよ』
とか『辛かったね…私何もできない』だとか
自分の許容量を超えたと判断した瞬間、人の話を中断して、勝手に憶測して
私を適当に責める言葉か、薄っぺらい同情の言葉
ごめん。
それは多分無理矢理薬を使ったことに対してだと思う
でもその言葉が妙に嬉しかったんだ
私の欲しい責める言葉じゃなくても
謝罪以外の言葉をかけない業戀が余計愛しくなったんだ。
ほかの人から見れば謝罪も同情の言葉なのかもしれない
それでも愛しく思うほど
業戀にハマってたんだと思う。
盲目で、依怙贔屓で…なんて愚かだろう。
…だけど、本当に。
私の物語を勝手に変えないで居てくれる人なんて、初めてなんだ。
「信じないでよ、俺はまだ花乃にも…
侑希にさえもまだ言ってないことがあるんだからさ」
辛そうな顔しないでよ
そんなに辛いなら教えてよ
重いんでしょ?その事。
私を少し軽くしてくれたんだし、あなたも軽くなればいいのに。
「私の事吐かせたんだから貴方の秘密を大きな隠してる秘密を
一つだけ吐きなさい」
自然と出た言葉。
別に侑希に隠していないことでもいいから
私の知らない業戀の秘密を教えてよ。
「俺は、普通の人より血の回復が早い。
理由は…俺の母が最低な人だったからだ。」
これ以上聞いちゃいけない。
聞いたら私は完璧に業戀に嫌われる
嫌だ
私は無理に話した事をあまり何とも思ってないけど…。
それが普通であるかどうかは、わからないから。
「もういいや、業戀が話したくなったら話してよ。
みんなの所戻ろう」
貼り付けた笑顔。
薬の効果がしっかり切れたんだな。
「わかった」
したに戻ると、迷が質問攻めにされていた。
「やめなさい、二人とも。」
最近命令をする事が増えている気がする。
どんどん私の性格も変わってる気がして…何か怖いなぁ
命令して人を従わせることを、何と思ってないみたいだ。
「姫!お助けいただ…ひっ…」
駆け寄る途中で足を止めた。
多分業戀が近くにいるからだ。
「うん、いいよ」
とりあえず、席について改めて宴。
「今日は色々あったけど、明日からリラと迷はお留守番だよ」
修学旅行だし。
二人がついてきたらろくに業戀といられないよ。
…業戀と居たくてしかたなくなってるよ
話を聞いてくれたからかな
「「わかりました、姫/姫様」」
私の過去を知ってもその後普通に接してくれるし
業戀もリラもいい人だ。




