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吸血少女  作者: 紅束 戮
11/17

第10話:絶望的な美しさ

「今日は、修学旅行の班決めだよ!

ほらほら、さっさと組め!」


なんて横暴な教師なの。

本当に不安になるくらいに貴方の教師らしさがひとつも見えない


「業戀、同じ?」


「いーよ。」


珍しく嬉しい返事が来て一瞬思考停止した。

いーよって?

本当に言ったの!?


ガバッ


ぎゅーーーーーっ!


力いっぱいに業戀を抱きしめる。

腰に抱きつく女子力のかけらもない私


「うるさいよ、行動が(一人じゃ危なっかしいし…)」


行動がうるさいって…

そんな酷いことを!


「花乃ちゃん、一緒に組も?」


奈南ちゃんに言われて組まないわけ無い!


「いいよ!奈南ちゃん!」


奈南ちゃんは唯一私にたくさん話しかけてくれる。

明日日姫なんて、あだ名がついて

少しだけ近寄り難いイメージができてるらしい。

まぁクラスの大半は話してくれるんだけどね。


「えっと、6人班だよね。私と花乃ちゃんと赤崎くんと、あと、楓笑(かえ)も誘った!あと二人だね」


奈南ちゃん、楓笑のこと好きだもんね

背低いのに笑顔が可愛くてやることがイケメンだって言ってたっけ。


「んじゃ!俺と雪菜(ゆきな)ちゃん!どー?いれてくれる?」


杉山くんかー

なんか、カップリングできてる感じ

なんていうか落ち着かない旅になりそうだ…


「ん!いんじゃない?じゃあ、どう回るかとか相談しよ!

楓笑捕獲してきた」


奈南ちゃん…和ましい。

雪菜ちゃんは、相変わらず黒髪ツインテールが美しい。

赤いゴム。●型のやつって、なかなか中学生が付けるの抵抗ありません?

そんなところもなんだか、可愛いけど。


「京都といえば抹茶だよね?抹茶めぐりしよ!」


奈南ちゃん、食に対しての何かがある…。

でもいいなぁこの学校

元々いたところはクラス行動だったからね


「いいね」


みんな賛成した。


「あ、でも抹茶めぐりしながら神社やお寺巡ったりしたいな」


髪型の割に内気な雪菜ちゃんを果てしなく撫でたい私。

しかし!

珍しく、業戀が私のことを膝に自ら乗せてくれてるので動かないのだよ

本来なら業戀の胸に顔をうずめて思いっきり匂いを嗅いであわよくば血を飲みたい。


「うん、それは賛成

色々見て回りたいなぁ、京都初めてなんだ」


楓笑がいう。

しかし…私小学校の修学旅行で行ってるんですよね。


「じゃあ、私一度行ったことあるからそのときのしおりとか

明日持ってこようか?」


あの時も班行動だったけど、何となく気に入らなくて同じ班の男子が時間気にしてずっと言ってきたからつい言い返したら

なんかキレられて殴り合いをしたなって記憶がある。


うん、今度は楽しみたいよ。


「お願いする!で、とりあえずそんな感じでOKだね」


「おーい、言い忘れてたけど部屋班もこのまんまだからなー

男女分けるとかもう先生そこまでやりたくないし

なにか間違いが起きてくれた方が先生嬉しいから。」


…絶対にこのひと、教師じゃない!

まぁありがたいけどね。

やっと念願の業戀と寝るが出来るのだよ!


「「「えっ…///」」」


え?

奈南ちゃんと、雪菜ちゃんが照れるのはわかる。

なぜ、杉山まで!?

変なこと考えてんだろーなぁ…

業戀は全然動じてない。

考えてるとしたら、多分自分の身の安全の事だろうなぁ


「あ、てか、関係ないけど花乃ちゃんってどこの県から来たの? 」


へ?

あ、言ってなかったっけ?


「普通のところだよ愛知県。特に何もないでしょ?

××町っていうところにいたの。」


そうそう、私はあそこにいてから

ここにきて、あの場所がどれだけ田舎だったかを感じているよ。


「あ!そこ俺行ったことある!

鰻とか、大きな提灯、エビせんべいとかが有名なところじゃない?」


杉山がとてもいい笑顔で告げる。

いや、あってますけども、勢いが凄いし、近い…。

雪菜ちゃんがぷすーってしてますよ!ぷすーって!

いいの?杉山!杉山の大好きな雪菜ちゃんの膨れっ面!


「う、うん…近いから。」


ごめんごめん、て少し離れてくれたけど。

うん、遅いし、どんだけ興奮してんの?


「でも、花乃ちゃんそんなところから来てたんだね!」


そんなところって、多分いい意味なんだろうな

奈南ちゃんの食べ物への執着から察するに、だけど。


「うん、まぁそのくらいにしよ、この話」


そんなにいい思い出ばっかじゃないんだよ…。

あっちでの生活は友達のこと思い出すのはいいけど

ほかの事はほとんど思い出したくもないし

触れられるのなんてもってのほか。


「だね」


収まって安心した。


バレないって分かって安心した。


「じゃー、準備とかちゃんとしておけよ!

しおり配ったからな!はい、かいさーん」


軽いなこの先生。

もうわかってたことだけどさ。


「じゃーね!」


すかさず業戀の腕に乗せてもらう。

本当にこの場所が大好きだ。

景色が変わって更に業戀の近くにいられる。

だからこの場所にずっといるためには


ー踏み出した関係になってはいけないんだー


友達のままならいつまでも一緒にいられる。

さらには、兄妹のように過ごしている今

兄妹以上にずっと一緒に安定していられる関係なんてない

つまりこのままが一番いい


二度と大切な人と離れたくない。

二度と大切な人と話せないんて嫌だ。

二度と愛した人を一番憎むなんてしたくない。

二度と愛した人の心も体も傷つける行為をしたくない。


私は多分愛に飢えている。


涙は枯れ果てた


苦しみも悲しみも痛みも辛さも、もうほとんど感じない。

そんな体になったのはあの時から。

捕らわれすぎてるのはわかっている。


わかってても、どうにもならないんだよ…何だよこれ。


「今日はやけに静かだね」


業戀の声で、現実に引き戻される。

彼の目は私の心をわかったような目。


「えー?喋って欲しい?」


わかっていながらごまかすのはもう癖になってる。


「…何考えてたのか知らないけど

俺は花乃の所から離れないし救ってあげるよ」


離れない____救う?

何から救うの?


わかんないよ、たまに

業戀が何を見て何を考えて何を思って喋ってるのか

読めない、よみとれない


なんで普段から人の顔色を伺って

それとなく人の気持ちを感じ取ってきた私に全くわからないの。



◇侑希視点


はぁ、きょうは凛ちゃんにふられるであろう日

かなり憂鬱だ。

こうして教室で待ってるだけで心身共に削られていく…来るんじゃなかった。

彼女の血は特別美味しいわけじゃない

でももう彼女が最後の一人だ。


「あぁー…厄介極まりないけど

守らないといけないっての…使命だし…」


俺が守らないといけないんだよ

姫も業戀も。

姫とは5千万年前からの約束と契約だ。

業戀の事は15年前、愛しい業戀の母との約束だ。


はぁ…それに業戀自身とも、十年前に約束した。


ああぁ…業戀の母…愛心(こころ)は本当に美しかった。

愛心に惚れたのは俺だけじゃなくてあいつもだった。

俺は負けたからな…


いや、惚れたら負けか。


俺のそれは今の姫に似ていて重なってる。

それが心配で目が離せない。


ただ俺には過去に事件はなかったし…どうなるかわかんないけど。


「____希_________侑希」


はっ…凛ちゃん来るの微妙に忘れてた。


「ごめんごめん、ボーっとしてた」


前の席に座る凛ちゃん。

彼女が血を提供するのをやめたいと言ったら

俺はいよいよ愛心との約束を破ってずっと業戀の血を吸うことになるのかな。


「…侑希くん、あのね、私は離れたりしないから。

私は、快楽主義者じゃない。侑希くんのこと好きなだけ」


て、え?

待って、告白?突然過ぎじゃね?


えー…俺別に凛ちゃんのこと好きって思ってないし。

でも、短い髪が、甘い匂いが、オレンジの髪が

愛心に似てる。


この人のことなら好きになれるんじゃないか。

なんて思ったりしてね。


「え、あ…えーっと…とりあえず、俺にまだ血をくれるってこと?」


なんにせよさ、ね?

血をくれれば俺はいいわけだよ。


「で、でも!条件があります!

私以外から吸わないで…欲しいな?」


っ〜〜〜〜〜〜!!

なんだこれ!

うわぁ…愛心に上目遣いされてるみたいで心臓に悪い

よく見たら、長い睫毛にクリッとした目…似てる。


「…俺は最低だけど、それでもいいの?

そんなこと言って、後悔するのは凛ちゃんだよ。」


俺は確実に凛ちゃんを愛心の代わりにする。

凛ちゃんを見てるようで多分見れない。

愛心に重ねてしかみれない。


「私は…どんな侑希でも好き。」


この子は…侑希ってよんだり、君付けにしたり…


「俺は凛ちゃんに似た女の人が好きで

その人は死んじゃったけど、今でも好き。

それでもいいの?

重ねてるだけだよ、凛ちゃんに。

傷つきたいなら…俺と付き合う?」


なんでか、凛ちゃんに離れて欲しい。

こんなに噂に流されない素敵な子が俺といるなんて、そんな勿体ないことある?

かわいそうだ。


「…いい。だって、私に似てる人でしょ?

じゃあ、見た目はタイプってことだし、嬉しい」


この子、なんかすごい必死だなぁ…

本当に心臓に悪いからやめてください


「はぁ…俺は人間じゃな…」


「私と付き合ってください!好きなんです!

どれだけ傷ついたってあなたが人間じゃなくたって構いません!

返事は無理に出させません、もう少し考えておいてください!」


なんで敬語に変わるの…全く

その言葉の使い方が変わるだけで、気になるなんて…

結構、この子に引き込まれてるってこと?


「待って

わかった、いいよ、付き合おう。」


俺の事変えてよ。

凛ちゃんに夢中にさせてよ。


「…ほ、ほんとに?」


頷いて、仕方ないからキスした。

仕方ないなんて言って…したかっただけだけど。


◇花乃視点


「侑希遅いなー…」


心配する業戀は、やっぱり優しい人。

侑希が遅いのは凛ちゃんって子と話があるかららしい


あの人女癖まで悪い所はとことんダメ人間。

どこにいいところがあるんだろ

どうしてここまで、業戀と仲がいいんだろ。


「侑希さん遅いので、夕飯作り始めちゃいますよ。

待ってから作り始めたら遅くなっちゃいます」


リラが料理支度をはじめた。

料理する時の顔活き活きしてるなぁ…


「じゃあ…業戀お兄ちゃん…一緒にお風呂入ろ?」


頬を舐めて口を塞ごうとすると手で防がれる。

残念だけどこのままでも問題ない

整った業戀の顔が近くにある


「_____///」


やばい顔が熱い…近い…嬉しいけど…///

だめだ、恥ずかしい…///

離れーー


「何離れようとしてんの?

いつもは、もっと積極的のくせに…

逃げないでよ」


た、楽しんでおられる!

赤悪魔!赤悪魔!

腰がっちりホールドされてますよ!

てか、ホールドって何!?


「は、はな…して…///」


身をよじっても無駄だ。

ヤバイなんでか恥ずかしい


「いつも、一緒に寝ようとか一緒にお風呂入ろう

って言ってるのにこんなのが恥ずかしいの?

なんなら今から風呂一緒に入ってあげようか」


耳っ!耳!

低い声で耳元で囁かないで!耳噛まないでっ!


「…あ、う…///…耳は、ダメ!」


台所に行ってしまったリラがいれば

何とかこんな雰囲気にはならなかっただろうに!


「へぇ…ダメって言われると…逆にやりたくなるなぁ」


だぁめぇだぁあああ!!!


ドサッ


反動的に押し倒した。

私の中でおそらく入ってはいけないスイッチがonになった。


「業戀…はむ……っ…」


今日も特に抵抗なく首から血を吸う。

業戀も最近は侑希に前吸われてた時みたいに

何かしらを感じてくれているようだ。


◇業戀視点


「っ…なんか言ってから…に…しろ!」


最近吸うのがうまくなったのか

俺の理性を保つのもかなり大変だし

理性を保ち切れなくなるのも時間の問題だろうな


「ふぁ…///ごめんごめん、また楽しんじゃった」


特にこの吸い終わった時の表情。

血の着いた唇を舐める姿が、逆らえないほど美しい


絶望的に綺麗な表情を見せるんだ。

少し髪についた血も頬に着いた血も

白い髪と肌によく映える。


やっぱり彼女は彼女で変わってないんだって思う。

この美しい姿を見てると

必死になって俺を助けてくれた

強くて憧れる表情を思い出す。


「いーよ、別に。」


頭を撫でると小動物的笑みをみせる。

それがなんとも言えないほど妹のように扱いたくなるんだよ。

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