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ヘルメスの鳥  作者: アラヤ識
3/10

(3)

その後、時間も程よい事から今日の遊びはお開きとなった。

それぞれ散り散りに帰って行くなか、ヴラドは再び本を調べていた。

力いっぱいページを開こうとしたり、蝋なら溶けるかもと擦ってみたり。

しかし無理をしてしまったのか、先ほど切った手がチクリと痛んだ。

見れば止まっていたはずの血が再び流れようとしている。

失敗したなぁと本を諦めようとした、その時……。


――本の表紙に付いた血が、本に吸い込まれるように消え……、


ほんの一瞬、本が熱を帯びた気がした。


――描かれている模様が怪しく光る……!


本を持つ手に微かな温もりを感じ、ヴラドは訝しむように本を見た。

相変わらず開かないページ。しかし、その表紙には変化が起こっていた。

変な模様でしかなかった表紙の模様がスルスルと動いている。

やがてそれは一つのタイトルを紡いだ。


――この時、ほんの少しでも知識が備わっていれば、模様が水銀によって描かれていた事に気付けたかもしれない。


突然の変化に驚き、本を手放してしまったが、それ以上の変化がないとわかってか、再びヴラドは本を手にする。

表紙を撫で、そこにある文字を読んだ。

「ヘルメスの…しょ?」

あるいはそれが、最初の扉の鍵であったか。

ただ一度本が脈打ったかと思うと、突如本が゛展開゛した。

「……の血液を……取。データベー……への登録開……資格保……とみなします」

パラパラと勝手にページが捲れていく。ノイズ混じりの電子音声は本の中から聞こえた。

「……登録……了。資格者の適合率か……低階位サーバー1:ジル・ド・レェの書庫に接続。起動を完了します」

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