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厨房に戻ると待って居たのはキャンパス地のような布で作られた大きなきんちゃく袋を抱えた体格の良い男性。
「あぁ、シェフもいらっしゃったんですね。初めまして、アクアのダーリンです」
「ビット!!なんてこと言うの!!」
親しみやすそうな笑みを伴った思わぬあいさつに驚いて立ち止った私を追い越したアクアさんが手にしていた紙束を丸めて男性を打つ。
頭一つ分以上の身長差があると頭部は遠かったらしく二の腕だったがパコンっと良い音が鳴った。
「マイハニーは照れ屋さんだなぁ。そこも可愛いんだけど……」
「……ちゃんと挨拶してください!!」
「はいはい……
閣下の命によりシェフの下で厨房に務めることになりましたビットと申します。よろしくお願いします」
「えと……よろしくおねがいします……」
アクアさんによると本宮で料理人をされていた方らしく、荷運び・皿洗い・芋剥き等何にでも使えますのでこき使って下さいとのこと。
スタッフに付いてもらえると聞いていなかったので戸惑う。
人を使う立場になんて付いた事ないのに……