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一通りの食品を買い揃えたとのことなので、
肉類、芋類、豆類、果物、に分けて納められている棚を順に見て行く。
肉類は一般的に流通しているのは仔羊、豚、鹿、ウサギの4種類。それと鶏卵。
希望が有ればクマやキツネ、イノシシと言った他の獣も仕入れてくれるらしい。
「あれ?牛は食べないんですか?後ニワトリとかカモなんかの鳥類も……」
「牛や鳥類は日常食べません。」
「ええっ!!」
「牛、馬、犬、猫、鳥は古くからの習わしと言いますか……益獣として保護する目的で食用を禁じた時期がありましてそのなごりでしょうか日常の食卓に上がることはありません。
でも、鶏卵は食べますし、仔牛の丸焼きは最高の贅沢の代名詞と言われています。
農村部では年に数度、年老いた牛や卵を産まなくなった廃鶏を屠って供物とした後に村民全員に分け合ったそれを食す行事が有ると聞きます。」
「そうなんですねぇ……」
牛肉、鶏肉が常食でなかったのには驚いた。
さすが異世界……
4種の中で一番人気があって手に入りやすいのが豚。仔羊は主に饗宴用で富裕層でしか食べられていないとのこと。
鹿、ウサギはハンター達に害獣駆除として狩られた物を肉屋が買い取っているらしい。
そのあたりは日本と同じだなぁと思っていたらウサギは角を持っていて鹿に至っては六本足だと言う。
肉の見た目は同じではあるが同じではないらしい……
味は同じだと良いなぁ……
部分肉が収められている保存庫内に手を入れてみたが冷えてはいない。冷凍も冷蔵もされていないのにどの肉も鮮やかな肉色をしており鮮度はよさそう。
ただ、熟成されていないからとても硬い。死後硬直中の状態で状態が保存されてしまっているのだろう。
これでは調理に使えない。
状態保存魔法のデメリットだ。
どうしよう……