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転生ライフ!オークライフ!?  作者: エケイ
第五章 : 次なる街へ
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町外れの教会にて

ちょっと長めです。<(_ _)>ゴメンナサイ



 公園でマロクと別れてからしばらくの間、街中を探し回ったがタグと思われる野良犬は何匹か見つけたが“アルル”の特徴である白い毛並みのタグは見当たらない。


「グゥ~~(む、腹がへったな。)」


 ここら一帯は探し回ったと思えたところで腹の音が鳴った。そういえば朝飯はまだ食べていなかったのだが、すっかり忘れていた。


 見上げると日も頭上に上がっており、食事処と思われる建物からは良い匂いが漂っている。一度、意識してしまったせいか無性に腹が減ってきた。腹が鳴らないように空腹な腹を擦りながら歩き始める。


「(お昼にしますか。さてさて、どれにしようかな?)」


 俺はルドルフさんから貰った貨幣袋サイフと相談しながら店を吟味する。小魚を塩だけで焼いたシンプルな料理、魚を切ってスープで煮込んでいる料理、おぉ!あれは貝類を使ったパスタですな!この世界にもパスタがあるんだね!


 歩きながら店で食べている人の料理を遠めに確認する。目で見るだけでもおいしそうなのに鼻が良くなったせいか、匂いだけでどの料理が良いのか分かるようになっているようだ。鼻が良いってすばらしいですね!


 しかし、当然と言えば当然なのだが、良い匂いとおいしそうな見た目の料理は…高い!高かった!持ち金では到底、気軽に食べる事が出来ないので俺は買う事ができる1つの料理を選んだ。


「(うひょ~!鮎の塩焼きを思い出すね!!)」


 只今、目の前で露天のおばさんに頼んで一匹…いや、一尾か?まぁいい、一匹を焼いてもらっている。こんがりと焼けていく魚に適量の塩を振りまいていくその姿は、まさに!職人魂を感じるぜ!


「お客さん、そんなに涎を垂らして待たなくても逃げやしないよ。」


 露天のおばさんは苦笑しながら魚を焼き続ける。っとと、涎が垂れていたか失敬、失敬。


「はい!お待ちどおさま。10アルムね!」


 俺は銅貨中1枚を渡してから、魚の串焼きを受け取る。うぅむ!串がほんのり熱く、魚の身からは白い湯気が立っている。この露天はこの辺りの焼き魚料理で一番上手そうな匂いしたから一番上手いのは間違いなし!ふへへ、上手そうだぜ!! 


 俺は手の甲で涎を拭きながら、近くにあったベンチに座ってあ~んと大きく口を開ける。その姿に露天のおばさんがまた苦笑しているが気にしない。


「(いっただきまーす!!)」

「ワン!」


 ガチンッ!と言わんばかりに口を閉じると、塩で焼かれた程よいしょっぱさの魚の味が口いっぱいに、


「??(あれ?)」

 

 気がつくと持っていた筈の魚は手元になく、ほんのりと串が持っていた熱が手に残っているだけだった。


「(ちょっ!?どういうこと!?)」 

『イサミ、あそこだ。』

「(むっ?)」

 

 ヤシロの言葉に従ってある方向を見る。そこには俺の魚の串を器用に加えた白い犬がいた。


 白い犬は一度俺の方を見ると、ある筈がないと思うがニヤリと笑ったかのような表情をすると路地裏に向かって駆けて行った。


 残された俺は、やけに冷たい風に吹き付けられながらただ呆然と立っていた。


「(立っていた…じゃねえぇぇ!!!)」


 すぐさま俺は立ち上がり、犬が走っていった路地裏に向かって走り出す。犬の姿は路地裏の影に隠れて既に見えないが、こちとら鼻が良いんじゃ!!その香ばしい匂いは逃がさんぞ!!


 路地裏の道を進んでからしばらくすると、歩いている白い犬の後姿が見えた。


「待てえぇぇぇ!!」


 街中だろうが気にせず声を出して追いかけると、犬は俺に気づいたようで慌てて走り始めた。素早く走り出すと、壊れかけた壁の隙間を潜り抜けて壁の向こうに行ってしまう。そして、勝ち誇ったような鳴き声が聞こえてくる。


「ワン!ワン!」

「食べ物の恨み、晴らさでおくべきかぁ!!」

「ワフッ!?」


 俺はジャンプして2m以上の壁の上部を掴むとそのまま勢いを殺さずに体を壁の上に持ち上げる。普段の俺には考えられないくらいの身体能力だが、そんな些細な事はどうでも良かった。


「返せぇぇ!!」

「ワン~!?」


 思いっきり驚いた目をした犬は、すぐに体を翻して走り始める。地面に着地した俺はそのまま追いかけ始める。




---十分後---



「はぁ、はぁ、追い詰めたぜ。」


 あの後、何度もあっちに行ったりこっちに行ったりと、複雑に道を進んでいき散々追い掛け回して、遂に壁際まで追い詰めた。


 辺りは人の気配はせず、ただ散らかった道やボロボロの建物しかなかった。


「さぁ、いい加減返してもら――」

「ワオーーーン!!」


 俺が一歩近づくと、白い犬は串を咥えながらも遠吠えた。すると、周囲の影からキラーン!と数え切れないほどの光る目が煌いた。後ろのほうからも視線を感じて、そこで俺は囲まれている事に気づいた。


「ま、まさか、こいつ。追い詰めさせたと思わせといてここに追い込んだと言うのか!?」

「ワン!」


 その通りだ!とも言わんばかりに犬が吼えると、周囲の目の正体が襲い掛かってきた!その正体とは…


「ワン!ワン!」

「ニャーー!!」

「なっ!?」

 

 頭上には両手では数え切れないほどの犬や猫が俺に向かって飛んできていた。そして、肝心の白い犬は俺の隙間を潜り抜けてあっと言う間に見えないところに行ってしまった。


「んな、ばかなぁぁ!?」


 その後、その場には多くの犬や猫の声の他に豚のような悲鳴が響き渡るのだが、気づいたものは誰も居なかっ――



「ププッ!なにしてんのやろ、イサミはん。」


 1人だけ建物の上から一部始終見ている者がいたが、イサミが襲われている姿を見ていて口を押さえながら笑っているだけだった。





---1時間後---


「ぐふっ、す、素晴らしい肉球天国だった…じゃなくて、酷い目にあったぜ。」


 俺は爪傷だらけになった体を“再生”の力を使って回復しながら歩いているところだった。一通り回復し終わると立ち上り、鼻を使ってもう一度周囲を探索する。あの香ばしい魚の匂いがまだわずかに残っているので、そのまま匂いを頼りに歩き始める。


『イサミよ。あの賢い白い犬はアルルではないのか?』

「ん?……あ~、そうかも。」


 目の前の飯を取り返す事に無我夢中で、思いっきり忘れてた。


『特徴のひとつである、耳の先端部に小さなほくろもあったしな。間違いないだろう。』 

「うお~流石だね、ヤシロ。」


 俺はヤシロに感謝しつつ、アルルの追跡を行う。しかし、随分と町外れまで行くんだな…って更に外まで行ってるな。


 匂いの元である俺の昼飯は港町から離れて少し寂れた教会のような建物に持っていかれているようだった。見れば周囲には墓が幾つか建っており、ここは港町の墓所なのであろう事が推測できた。


「(あそこだな。)」


 俺は教会の建物の扉の隙間からこっそりと中を窺う。教会の中は思っていたよりも綺麗で、窓から差し込む温かい光の元にアルルは咥えていた焼き魚を置いていた。


「(あぁ!?あの野郎!あれじゃもう食べられないじゃないか!?…ん?)」


 アルルが焼き魚を置くと沢山の子猫や子犬がアルルの傍にやって来た。そして我先にと焼き魚を食していく。


 「(ギャア~!?)」と頬に手を当てて心の中で叫ぶ俺を他所にアルルは焼き魚の一部を噛み千切ると教会の奥にあった机のしたに向かっていく。そこには足を怪我しているのか、倒れたままのほっそりとした犬が倒れていた。


「……。」


 そこから先は俺は見ずに扉から離れる。なるほどな。アルルは子犬たちやあの怪我した犬の為に飯を町から奪ってここまでやってきていたらしい。ぐぬぬ、俺の飯を奪ったのは気に入らんが弱いものを助けるためとは…なんて男気のある犬だろうか。これじゃあ、あっしは何も言えんわぃ。


 とは言え、アルルを連れてきて欲しいと言うのが俺の依頼だ。このまま退散してしまうと依頼が達成できなくなる。どうにかしてアルルを連れ出さねばならんのだが、今連れ出してもまた逃げてここに来るだけだろう。それじゃあ、あの娘をまた悲しませるだけだ。


「となると、あの子犬たちや怪我した犬を何とかしないとな。」


 犬の怪我なら俺が治せるので問題ない。問題は子犬たちや犬達の住処をなんとかすればアルルも心配せずに逃げ出す事もないだろう。


「うーむ、…ん?」


 どうするかと顎に手を当てて残っていた傷を回復しながら考えていると扉に張り紙があることに気づいた。内容はこうだ。


----------


 お知らせ


 最近、墓地周辺に魔物が発見される事が多くなりこの付近は危険地帯と見なされたので退去する事が決まりました。ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解よろしくお願いします。魔物発生の問題が解決しましたら戻ってきます。 


 エッダ神父より


 追記 この教会で保護していたダグペル達は可愛そうですが、この場に置いておく事に町内会議にて決まりました。すまない。無力な私を許しておくれ。


---------


「……。」


 問題の解決方法が目の前にあった。つまり、あれだ。この付近の魔物を一掃してしまえばこの教会の持ち主が帰ってきて子犬達の世話をしてくれる。そして、アルルは子犬たちを心配する必要がなくなるので逃げる事も無くなり、俺はアルルを捕まえて届けて任務達成、となるわけだ。


「はっはっは!万々歳じゃないか!」

『イサミ、魔物の気配がするぞ。』

「はっはっは、…え!?そうだった!?魔物の問題をどうするか考えてなかった!?」


 その時、俺の呟きが聞こえたのか或いは何かを感じたのか、アルルや子犬や子猫たちが鳴き始める。俺はもう一度扉の隙間から中を窺おうとすると、急に扉がひとりでに開いた。


「へっ?あでっ!?」


 扉が内側に開いた事によって俺は支えを失って中に倒れこんでしまう。その事にアルルたちが気づいたのか俺に向かって吠え始めたが、その鳴き声も背後の扉が大きな音を立てて勝手に閉まると同時に次々と窓の戸も閉まっていき、あたり一面が薄い暗闇になると静かになった。


「な、なんだぁ!?」

「クゥ~、ワンワン!」


 アルルは子犬や子猫達を怪我をしていた犬がいた机のしたに移動しろと指示するかのように吠えるとその場にいた子犬たちは素直に机の下に入り込むと、震えてその場に縮みこんでしまう。アルルも、険しい顔で当たり周辺を警戒しているようだ。…あれ?アルル、俺はまったく眼中に無しですかね?


「ウ~!ワンワン!!」


 アルルがある方向を注目すると距離を取って吠え始める。俺もその方向に視線を向けると、教会でよく見かけそうな長椅子が僅かに震えている。うわっ!?教会でポルターガイストとか、一体どうなってんだ!?


 最初はほんの僅かな揺れが次第に目に見てはっきりと分かるぐらいに振動し始める。そしてガタガタと音が気味悪く響き渡るなか、とても低い声が耳の中に入ってきた。


「…強イ生命力ヲ感ジテ来テミレバ、イルノハ虫ケラ共ダケトハナ。」


 声が聞こえた後、空間に線が浮かび上がったと思うと次の瞬間、人一人通れるぐらいの大きさに暗闇より更に黒い薄い壁が広がった。そして、壁の中からは人間の骨が独りでに歩いて出てきた。


 コツン、コツンと骨が地面を歩く音を立てながらこちらにやってくる骨は人間のもので、大きさは大人のものだ。服はボロけたローブを羽織っており、手にはこれまた骨で出来た杖を持っている。


「フム?オマエ、オークダナ?何故コンナ所ニイル?アァ、聞イテモ無駄ダッタカ?」

「むっ…!」


 まるで、オークなんて考える為の知識なんて持ち合わせていないのだろう?と言われたかのようでイラッとしたが、前に見たオークを思い出すと何もいえなくなるのが悲しいところだ。


「失セロ。魔物デアルオマエは見逃シテヤル。ドウヤラ目的ノ者ハ居ナイヨウダシ、コノ虫ケラ共ヲ殺シテ戻ルトシヨウ。」

「いやいや、それは困る。」


 この骨の人体模型はどうやらアルルや子犬たちを殺す気満々のようだ。それは本気で困るので、俺は人体模型とアルルの間に立ちふさがる。


「ワ、ワフ?」

「…邪魔ヲスルカ?邪魔ヲスルト言ウノデアレバ同ジク生アル憎ベキ敵トシテ殺スダケダ。」


 人体模型は手にしていた杖を魔力を通しながら横に振ると人体模型の横に2体同じような人体模型が現れる。違う点といえば、装備しているものが、ローブや杖でなく、ボロボロの鎧や剣と言うところだ。


「殺セ。」


 カタカタと笑いながら杖を持った人体模型が剣を持つ2体の人体模型に命令すると、剣を持った2体が剣を構えて突っ込んできた。


「金剛!」


 両腕に金剛をかけてから俺は背中にある槍を手にする。初の槍戦だ。使い勝手が分からない内は此方から打って出ないほうが良いだろうと考えた俺は、槍を構えて2体の人体模型を待ち受ける。


「――フンッ、オラァッ!!」


 俺は最初に早く此方に来た右側1体の剣を金剛をかけた右腕で弾き返す。そして、弾き返された事で右側の人体模型が体制を崩した事を確認するとそのまま左側に槍を斜めに振り下ろす。


 バキャッ!と骨が砕ける乾いた音をだしながら左側の人体模型は上半身を失って倒れた。思った以上に脆かった事に驚きつつも、残り1体に向けて槍を突き出す。だが、人体模型の体は骨だけである。案の定、槍の矛先は素通りしてしまった。


「ヤベッ!?」 


 俺の行動を笑うかのように顎を動かしながら人体模型は剣を振り上げる。その光景を見ながら俺は、


「なら、こうだあぁ!」


 そのまま素通りしてしまった槍を人体模型ごと持ち上げて一本背負いのように反対側の地面に叩きつける。


 再び乾いた骨の砕ける音が響き渡る。俺は、槍を持ち上げると再び構えなおして杖を持った人体模型と対峙する。


「キ、貴様ァッ!!」


 再び、杖を横に何度も振ると今度は10体以上の剣を持った人体模型が現れた。


「殺セ!コイツヲ絶対ニ殺セェェ!!」 


 杖を持つ人体模型が怒り狂った声をあげると、多くの骨が俺に向かって地面を駆ける音が耳に入ってきた。



本日も読んでいただきありがとうございます!そして今年一年も本当にお疲れ様でした。ヽ(・ω・; )オツカレサマデス!

これからも、頑張っていきますので応援の程、宜しくお願いします!O(≧▽≦)Oヨロシク!

それでは、皆様。良いお年を!(≧▽≦)b

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