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転生ライフ!オークライフ!?  作者: エケイ
第五章 : 次なる街へ
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旅の行き先


 ガタゴトと揺れる馬車の中、俺は痛くなってきた尻を撫でながら馬車の中を見渡す。


俺の横にはマロクが座っており、鼻ちょうちんを作って眠っている(よく寝れるなコイツ)。マロクの向かい側にはルドルフさんが座っていて、こちらも目を瞑ったままだが、恐らく眠ってはいないだろう。


「……。」


 そして、ルドルフさんの隣、つまり俺の向かい側なのだが、そこにはムスッと言う表現がしっくり来る顔をしたエルミアが手に顎を乗せて外を見ている。


「……なに?」


 エルミアは俺が見つめていた事に気づいたのか俺のほうに顔を向けると、イラついた口調で話しかけてきた。俺は咄嗟に首を左右に振ってなんでもないと伝える。


「(な、なんでこんな空気に?)」

 

 はっきり言って見に覚えが無い!いや、本当に!だって、昨日の朝までは仲が良かったはずなのに、帰ってきたときからずっとこの調子だ。


考えられるとしたら、昨日別れた後に何かあったとしたか考えられないけど、俺は街の外に行ったり渡辺さんと話しぐらいだしあまり関係ないだろう。


 となってくると、ルドルフさんが話があるといっていた事だろうか?でも、ルドルフさん自身もエルミアの変化に今でこそ落ち着いているが、最初は驚いていたし…。


「(ヤシロォ…。なんでか分かる?)」

『(さてなぁ。まぁ、こういう時はそっとしておいた方がいいかも知れんぞ?)』

「(…そうかな?)」


 俺は今度はこっそりともう一度エルミアを見る。うむ、可愛い…じゃなくて!とても機嫌が悪い事は一目瞭然だ。何が原因か分からない以上、ヤシロの言うとおり今は何もしない方がいいかもしれない。






 日が落ちはじめ、夕方になると馬車は一旦止まり、野営の準備を開始する。俺とマロクは枯れ枝を集めに回り、ルドルフさんとエルミアは簡単なキャンプの準備をし始める。馬車の御者は馬を休めたり現在位置を確認したりしていた。


 日が落ち、辺りが暗くなって来たので俺とマロクは集めた枯れ枝を持って馬車を止めた場所に向かう。


「お疲れ様です。お2人方。」


 ある程度集めてから戻るとルドルフさんに労いの言葉をかけてもらった。見れば野営の準備は殆んど終わっていた。枯れ枝を一箇所に置いておき、既に火が焚かれて料理をしている御者のおじさんの近くに座る。


「もう少しで出来ますよ。まぁ味は期待しないでくださいな。」


 枝で作られた簡単な土台に吊るされた小さな鍋からは野菜スープとも言える物が作られていた。恐らく水と野菜、少量の肉と塩や香辛料で味付けされたものだろう。日本にいた頃なら「…え?これだけ?」と思うかもしれないけど、一週間とは言えサバイバル経験をした俺には立派な夕食だ。


「いやいや、かなりうまそうやでぇ!…そういえば、ルドルフはん。向かう先って港町ニューポートタウン?」

「えぇそうですよ。そこで、定期便の船に乗って移動する予定です。」

「最終目標地点はエルフが治める世界樹の島、リングネース島やね。いやぁ、ワイはエルフの島なんて行った事がないから楽しみやわぁ!」

「それはそうでしょうね。」


 背後からエルミアが歩いてきてルドルフの隣に座る。途端に、緊張するかのような空気に変わるが、俺は気になったことを質問する。


「“エルミア、どうしてマロクがエルフの島に行った事が無い事を知ってるの?”」

「……。」

「ご、ゴホン。それはですねイサミ殿。エルフの島は最近まで交易などの定期便を除いた全ての船がたどり着く事が出来なかった為ですよ。」

「ま、まぁ最近と言っても5年ほど前やけどな。」


 俺が質問してもエルミアに無視されてしまった事に二人が咄嗟にフォローしてくれた。これは本格的に俺が何かしたのだろうか?と、ともかく今は話を止めないようにしないと!


「“どうして5年前はたどり着く事が出来なかったのでしょうか?”」

「それはリングネース島の周りが常に深い霧で包まれていたからです。」

「それもただの霧やちゃうで?ワイも聞いただけやけど、なんでもリングネース島に住む者しか霧を抜けることが出来なくて永遠に霧の中をさまよい続けるらしいわ!」


 「恐ろしいやろぉ?」と恐怖に震える仕草を取るマロク。なんかお前が言うとあまり怖くないのな。


「まっ、運が良ければ帰ることは出来たらしいけど、リングネース島を治めるエルフの許可なしに島に行く事は絶対に出来んかったらしいわ。」

「えぇ、ですがそれも今では…。」


 そこで、ルドルフは顔に影を落として黙り込んでしまった。それを察してかマロクが続きを話してくれた。


「…今ではリングネース島を守っていた濃霧が晴れてきているっちゅう話や。それこそ、海上を見張っている警備隊に見つからなければ無断で行けるぐらいにはな。」

「…そうよ!そして、薄汚い人間族は次々と私達の同胞達を攫って行ってるのよ!!」

「ッ!?」


 そこでエルミアが怒声を上げて立ち上がった。そして、そのままキャンプの中に入っていってしまった。ルドルフさんは「お嬢様!」と言ってエルミアを追いかけて行った。残された俺達は気まずい雰囲気になって焚き火と煮えてきた野菜スープを見つめる。しばらくした後、御者が口を開く。

 


「…私も聞いた事があります。これまで島を守っていた霧が晴れた為に、滅多に見られないエルフを捕まえようと奴隷商人や強欲貴族達が躍起になっていると。」

「せやな。一昔前ならエルフなんて本当に滅多に見れ無かった。あの種族はひどく排他的で引き篭りがちの種族やからな。」


 どうやら俺の知っているエルフとこの世界のエルフは同じのようだ。他の種族には排他的で自分の里から出たがらない種族。エルミアやルドルフさんを見れば分かるがエルフは人間から見てとても美麗な種族だからな。そりゃ、奴隷商人や貴族は欲しがるだろう。

 

「霧が晴れる前は島から出ていたエルフは皆なにかしらの実力者で、滞在している国の王に保護されている者しかいなかった。せやから、そんな保護されているエルフを捕らえようものなら自分の首を絞める事になるわけや。」

「“だけど霧が晴れた事によってこっそりとエルフの島から攫ってしまえば、国から問われる心配もないと?”」

「簡単に言えばその通りやね。そして残念な事に人間国の上層部の殆んどがそれを暗黙の了承としとる。だからエルミアさんが人間族を嫌うのもわかるっちゅう話やで。」

「……。(なるほどな)」


 容姿端麗なエルフを攫えばそれは良い金になるだろうな。そして、奴隷として連れ去っていく目的としては…いわゆる性奴隷だろう。定番といえば定番なのだろうが、あまり良い気分はしない。


「当然エルフの国も黙っている筈がなく、今も捕らわれたエルフを解放するように求めたり、霧が晴れた日は海上にエルフの水軍を置いて見張ってるらしいわ。」

「エルフの水軍衆は世界でも一番と聞きます。揺れる船上の上からでも正確な矢を放つとか。」 

「おっそろしい事やで。まっ、エルフ達にとっては災難な事やろうけど、交易商人とっては船を動かせる日が増えた事で喜んでいるみたいやけどな。」


 そこで、一旦話を終えて御者のおじさんが器にスープをよそって手渡してくれたので、俺はスープを口にする。この辺りは春のような環境だが夜はさすがに少し冷える。そんな中での、温かいスープは味は薄いものの体に染み渡りとても美味しかった。


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