待ち合わせ
いい天気の日は…家でゲーム祭りじゃああ!щ(゜ロ゜щ)ウオオ!
(≡д≡)…スイマセン
俺は王都の中央公園に来ていた。この公園は一般市民も利用可能のようで所々に市民が座って本を読んでいたり、話をしていたりしている。時間としては丁度昼ごろで美味しそうな匂いを漂わせている屋台が幾つかあって、自然とその店に視線が移ってしまう。
「(ううむ、腹が減ったな。しかし、渡辺さんはどこだろう?)」
中央公園の何処で会うかは決めてなかった事に今更気付く。キョロキョロと顔を動かして探しているのだが、渡辺さんは見つからない。俺は仕方なく公園の中央にある噴水の縁に腰掛けて少し休憩する事にした。
「(…今日も良い天気だなぁ。思わず昼寝をしたくなるぐらい快適だ。)」
「あの…。」
腰掛けて綺麗な青空を見ていると、横から声が掛かった。ん??この声って?
「すいません、ここで金髪の男の子を見ませんでしたか?」
そこに居たのはこの国の勇者の1人であり俺の幼馴染である斉藤 彩華だった。
---渡辺---
「え?彩華さんですか?」
「うん、そう。最近、話をする時間が無かったから久しぶりに会おうと思ったんだけど居なくてさぁ。何処に居るのか知らない?」
私は元の世界では風紀委員長をなさっていた鈴木 健二さんに話しかけられていた。普段、鈴木さんと話すことが無いので少し緊張しますね…。
「ご、ごめんなさい。私も分かりません。」
「そっかぁ。何処に行ったんだろう?」
鈴木さんはとても残念そうな顔をして溜息をついています。その仕草だけでドキッとしてしまうぐらい鈴木さんはとてもカッコイイ男性です。
「ナターシャさんには聞かれましたか?あの人なら知っているかもしれませんよ?」
「ナターシャさんは…うーん、あの人、僕苦手だから…。」
鈴木さんは「ハハハ…。」と苦笑を浮かべています。鈴木さんはメイド長兼彩華さんのお世話係であるナターシャさんが苦手なのですか…、確かに厳しそうな人ですが、私はあの人に叱られた事が無いせいか別に苦手ではありません。
「で、でしたら、私がお聞きしましょうか?」
「本当!?助かるなぁ!ありがとう!渡辺さん!」
「い、いえ、私もナターシャさんに用がありましたし…。」
そう良いながら、笑顔を浮かべる鈴木さんから顔を逸らしてしまいました。だって、あんな爽やかな笑顔を見せられたら、は、恥ずかしいです…。
自分の顔が赤くなっているのを自覚しながら先に歩き始めると後ろを鈴木さんがついて来るのを感じます。そして、それと同時に近くにいた女性から嫉妬の視線が私に向けられている事に気付きます。
「(うう、怖いなぁ。せめて王女様達や貴族のお嬢様たちとに出会わなければ良いけど。)」
鈴木さんを敵に回すとこの王城のほぼ全ての女性が敵に回ると言われているぐらい鈴木さんの女性からの支持はすごいのです。だからこそ、こうやって改めてそれを認識すると冷静になることができるのですが。
「あっ!ナターシャさん!」
「あら?ワタナベ様?それにスズキ様も…。」
「や、やぁ、こんにちは、ナターシャさん。」
幸いに、王女様たちと出会う前に複数のメイドさんに指示を出していたナターシャさんを見つけることが出来ました。ナターシャさんは此方に気付くと急に現れた鈴木君に見惚れていたメイド達を叱るように指示を出してから此方にやって来た。
「お2人揃ってどうされました?」
「え、えっと、ナターシャさんは彩華さんの居場所を知ってるかなと思いまして。」
「アヤカ様ですか?確か、ルイン様とお忍びで城下町に行かれているはずです。」
ナターシャさんが簡単にお忍びと言ってる時点で忍んでない気がしますが、そこは突っ込まないほうが良いでしょうね。
「ルイン?またあんなガキ――、っと王子様と一緒にいるのか?」
鈴木さんの言葉の途中でナターシャさんがキッと睨むと鈴木さんは慌てて言いなおしました。
「えぇ、お2人とも本当の姉弟のように仲が良くて素晴らしい事です。恐らく夕方頃に帰ってこられると思います。」
「…そうですか。なら今日は諦めます。」
鈴木はそのまま2人を後に去って行った。その際に「…チッ。」と舌打ちをしながら去っていったが、音が小さかったのと残った渡辺とナターシャで話し続けていたこともあって誰も気付く事はなかった。
「ところでナターシャさん、先日お願いしていた物は用意できましたか?」
「あぁ、あれですか?えぇ用意出来ていますよ。どうぞこちらへ。」
ナターシャさんについて行くと1つの部屋にたどり着きました。そこに入って中の人と話してからナターシャさんは用意されていた物を取り出すと私に差し出してくれました。
「こちらが手紙鳥です。」
「あ、ありがとうございます!」
受け取ったのは複数の何も描かれていない紙ですが、これはとても高価であまり揃える事ができない物なのです。それをこれだけ用意してくれるとは…、流石はナターシャさんと言ったところですね。
「しかし、これをどうするのですか?」
「あ、いえ、その…もし離れたところに行ったとき、皆と互いに連絡する手段が欲しかったので。」
「…左様でしたか。分かりました。」
ナターシャさんは一瞬訝しげな表情を浮かべましたが、すぐに笑顔に戻ると「私はこれで…。」と仕事場に戻っていきました。…恐らく怪しまれたと思われますが、まさか私と勇さんが連絡を取ろうとしているなんて夢にも思っていないでしょう。
「とにかく、これを勇さんに渡さないと。」
思ったよりも時間がかかってしまい、もう昼頃だ。私は急いで勇さんが待つ中央公園に向かって走り始めた。
---勇---
あ、ありのままに今起こった事を話すぜ。俺は普通に噴水傍で寛いでいたら、彩華に声をかけられたんだ。
「あの…?」
彩華は顔を隠すためか俺と同じようにローブ姿だが、声だけで分かった。聞き間違いじゃないかって?俺が彩華の声を聞き間違えるはず無いだろ。
「(しかし、この現状をどうしたら…、そうだ!)」
俺は咄嗟に体を横に向けて彩華に見えないように持っていた仮面を顔に付ける。後で今の俺はオークなんだから別に顔を見られてもばれなかったのでは?と気付くが今の俺は顔を隠さねばと必死だった。いや、オークだとオークで別の問題かな?幸い、彩華はどうしたんだろう?程度にしか思っていないようだ。
「えっと…きゃっ!?あっ!ごめんなさい。声を出しちゃって。」
彩華は俺の仮面を見た途端、軽く悲鳴を上げた。ううむ?そんなに怖い仮面か?
「“すまない。事情があって顔は見せられないんだ。”」
「文字…?もしかして話せないんですか?」
「“あぁ、ところでッ先程の少年の件だが、悪いが私は知らない。”」
「そうですか…何処に行ったのかな、ルイン君。」
残念そうに溜息をつくと彩華は俺の横に座ってきた。…なぜ横に座る!?
「あの、いつもその仮面を?」
彩華が何を考えているのか分からず、ただ俺が頷いて答えると「私も素顔を見られると大変なんで何時もこのローブを被ってるんですよ。」と苦笑しながら話し続ける。…こいつは何時もこんな風に色んな奴と話しているんだろうか?言っちゃ悪いが無用心すぎないか?今の俺って傍から見たらローブを被ってSMプレイのような首輪に仮面をしている怪しさ満点の太った男だぞ?
「…いい天気ですねぇ。」
俺の心配を他所に、彩華は空を見上げながら呟いた。言葉に詰まったときに良く使う言葉なのになぜかコイツが言うと様になるな…。だが確かに、今日は雲ひとつ無い晴天で、日差しは温かく風は涼やかで心地良い。
暫くの間、無言のまま2人で空を見上げていると、彩華が静かに話し始めた。
「すみません。会ったばかりなのに、こんな馴れ馴れしく話し続けちゃって…。」
「(まったくだ。)“いや、気にするな。別に悪い気はしない。”」
「ふふ、お優しいんですね。…不思議です。初めてあったはずなのに貴方の隣にいると何故だが懐かしい気がして落ち着きます。」
そう言いながら彩華が俺の方に顔を向けた時、少し強めの風が吹いて彩華のローブが捲れて素顔が見えてしまった。
「あっ!?いけない―――」
「あれ!?あれってアヤカ様じゃない!?」
「え?ほ、本当だ!?」
彩華はすぐにローブを被りなおしたがその一瞬に素顔を垣間見た市民の何人かが反応し、気がつけばたちまちに彩華の周りに人だかりが出来てしまった。
「アヤカ様!是非、握手して下さい!!」
「アヤカ様!!私、貴方のファンなんです!!頑張って下さい!!」
「え、ええと、そのありがとうございます。」
一瞬の内に人だかりの外側に追いやられた俺は1人その光景を見つめていた。市民達は憧れのアイドルに詰め寄るファンの如く次々に言葉をかけていくが、彩華自身は人々の勢いに呑まれてしまっている感じだ。彩華自身は大変なのだろうがこうして見ていると彩華はちゃんとこの世界に受け入れられているように思えて少しだけ嬉しい気持ちに…
「(なるわけねぇだろ!?ちくしょう!彩華の奴!異世界で勇者生活を満喫しやがって!!羨ましいぃぃ~!!)」
俺は先程までの穏やかな気分が嘘のように心の中で彩華に烈火の如く嫉妬?していた。だがそんな俺の事など知った事かと言わんばかりに人だかりは増え続ける。ち、ちくしょう。こうなったらぁ…
「あのそろそろ行かないと…え?」
俺は市民達の間を抜けて彩華の手を掴むと、逃げるようにその場から駆け出した。
待ち合わせだなんて緊張するー!((p>ω<q))ドキドキ
~3時間後~
<(T◇T)>ウォォォォォ!!!ダレモコネェ!




