クエスト達成---ゴブリン討伐---
途中、あとから取ってつけたような話がありますが、気にしないでください。作者が忘れていたなんて事は決してありませんよ?(゜∀゜;)ヤ・・・ャバ
俺とエルミアは気絶した渡辺さんを起こしてからゴブリンの討伐の証である耳をそぎ落とす作業を行っていた。うぅ、いやだなぁ…。首や腕を切り落とした奴がいまさら何をと思うだろ?でも、あれは戦闘と割り切っての行動だから出来るのであって、こうして冷静に耳を切り落とすとなるとちょっと抵抗がでるんだよ…。
そんな調子であまりスムーズには進まなかったが何とか作業が終えることが出来た。ゴブリンの数が多いため、時間がかかってしまったが仕方ないだろう。…ん?なんか焦げ臭い?
「あ!勇さん、エルミアさん!見てください!」
渡辺さんが指差す先にはモクモクと黒い煙が上がっていた。森の火事…ではなさそうだ。
「どうやら、残りのパーティの冒険者がゴブリンの集落を見つけたみたいね。まっ、集落と言っても殆どのゴブリンはここにいるんでしょうけど。」
エルミアが「ふぅ。」と息をつきながら肩をあげる。俺も同じ意見だ。恐らく、集落には殆どのゴブリンはいないだろうから、見つけた冒険者達は肩透かしを食らった気分だろう。今回はそれが幸運と言えるが。
「よいしょっと、これで最後ですね。エルミアさん、このゴブリンの死体はどうしますか?」
「燃やしましょう。このままにしておくと、他の魔物を呼び寄せてしまうし、伝染病の原因になるかもしれないから。」
「そうですね。分かりました。」
俺達はゴブリンの死体を一箇所に集めてから枯れ葉や枝をかぶせてから火をつける。ゴブリンの肉が焦げ焼ける臭いが鼻を劈くので、俺はその場から少し離れて見つめる。多くのゴブリンが黒く焼け焦げていく中、一つ目のゴブリンも焼けていく姿が見えた。正直言って目を背きたくなる光景だった。
しばらくすると本格的にゴブリン達の死体が燃え始める。そんな時、
「あっ!いたいた!おーい!皆!こっちだ!」
後ろから若い男性の声が聞こえてきた。見れば複数の冒険者達がこちらに来るのが見えた。どうやら俺達がゴブリンを燃やして発生した煙を見て、此方に来たようだ。
「お疲れ様です。…うわぁ、凄い数のゴブリンですね。」
最初に来た男性が燃えているゴブリン達を見て驚いている。当然だろう、かなりの数がいるからな。今も、口をあけて驚いている男性にエルミアがローブを被りなおした姿で話しかける。一応俺も彼らが来る前にローブを被りなおしていたので正体はまだばれていない。
「そっちは集落を見つけたようね。」
「え、えぇ。と言っても本当に集落だけでゴブリンは数匹しかいませんでしたけど。」
「…捕まっていた人とかはいたの?」
「…はい。2人女性がいました。幸い生きてはいますが、精神が…壊れかけています。後は、男性だったと思われる死体が幾つか。そちらの…その方達は?」
男の冒険者が俺の傍に並べてある4人の死体を見て尋ねてくる。
「恐らく私達と同じクエストを受けた冒険者よ。私達が救出に来たときにはもう…」
「…そうですか。」
同じ冒険者として想うところがあるのだろう。暫くの間、後から来た冒険者達は今回死んでしまった冒険者達を弔うように目を瞑っていた。
その後、俺達は一緒に死んだ冒険者を埋葬してから女性達を保護している残りの冒険者達の下に向かった。女性達と1人の冒険者は焼け落ちたゴブリン達の集落の傍で休んでいた。今は眠っている女性達の姿を見ると体中が痣だらけだ。その姿が痛ましく思えたのだろう、エルミアが小さい声で俺に話しかけてきた。
「イサミ、彼女達の怪我を治せる?」
「“大丈夫。”」
俺の文字を見ると頷いてからエルミアが「彼女達の怪我を彼が治すわ。特殊な薬を使うから、ちょっと離れていて。」と言いながら他の皆を引き連れて目に見えない場所に向かった。
「(さてっと。)」
怪我だけなら問題ない。ただ、記憶を消すための無限暴食はここでまともに出すと大変な事になる。
「(タルカス、聞きたい事があるんだけど。)」
『何用であるか?』
「(無限暴食は発生すると大きな大蛇が出現するけど、あれを小さい姿で出す事は可能かな?)」
この世界での魔法はイメージに大きく依存している。ならば、俺が小さい姿の無限暴食をイメージしながら発動すれば良いのではないだろうかと思ったのだ。
『うむ、不可能ではない。ある程度までなら大小の変化は可能。掌サイズくらいなら問題ないのである。』
「(わかった、ありがとうタルカス。)」
俺は掌に乗る程度の大きさの蛇をイメージしながら小さい声で発動させる。
「“望む全てを喰らい尽くせ!《無間暴食》!”」
魔法が発動し、掌には体が台風のように渦巻きながらも形状を保っている黒い眼のない蛇が出現する。蛇はそのまま俺の掌の上で渦巻状に体を巻くとそのまま掌に吸い付く様に薄くなって動かなくなった。掌を下に向けても落ちる気配はない。まるで最初から俺の掌に黒い蛇のペイントがされているかのようだ。
「(よし!これで…。)」
俺はそのまま蛇が乗った掌で女性の頭に触れる。感触はまったく違和感がない。頭に手を触れたまま俺は女性がここへ連れ去られた所からの記憶を喰い尽すイメージをする。
「んん…。」
「ッ!?」
女性が一瞬、眉を顰めたがすぐになんとも無いように眠りに着いた。その事に安心にホッと安心してからもう1人にも同じ処置をする。その後、女性の体に触れて傷を癒し始める。
ムフフ、傷を治すんだから体に触れるのは仕方ないですよね?それこそ、普段なら触れただけでめっちゃ怒られる所も…。これは医療処置なんだから!ゲヘヘヘ!滾るぜぇ!
…嘘です。体中傷だらけの女性を見ても興奮しませんでした。それどころかあんな所とか治したらこっちが恥ずかしくなってすぐに目を背けました…。チキンでごめんなさい…グスン…。
体から痣が消えて穏やかな寝息を立てていることを確認すると、俺はエルミア達を呼びに行った。
その後、目を覚ました女性は最初はなぜ自分がここにいるのか驚いていたが、冒険者の1人が説明するとここに連れて来られるまでの記憶が僅かに思い出せた事で納得してくれた。皆は、あまりのことで2人とも記憶を失くしたのだろうと話していた。ご都合主義万歳!
「(さてっと…。)」
目当てのゴブリンの集落は潰したし、捕まっていた女性達も無事保護できた今、この場は城下町に帰る雰囲気になっている。だが、俺は帰る前にしておきたい事があった。なので、皆には少しトイレに行ってくるから先に行っててくれと伝えてから、皆から離れる。目指す先はゴブリン達を燃やしたところだ。
『どうしたのだ、イサミ?』
「ん?いや、あのゴブリン達をペテロの裂け目に入れておきたくて。」
特にあの一つ目は強かった。それゆえにペテロの裂け目に入れれば良いものが咲くかもしれない。ふふふ、こういったこまめな作業もファンタジーの醍醐味なのですよ!
鼻を頼りにゴブリン達の燃やした場所にたどり着く。死体は未だ燃えているものもあるが、殆どが真っ黒になっている。これはペテロの裂け目に入れても意味ないか?でも、やる価値はあるだろ。
そのまま触ると熱いので俺はサウンドスパイクを使ってゴブリンの死体を刺してペテロの裂け目に入れる。あれ?今何処からか鬼畜って聞こえた気がしたが気のせいだろう。そんなこんなで、そこにあったゴブリン達や一つ目を入れ終えると、右手が物凄く疼き出した。
「うぐっ!?なんだこれ!?」
『イサミちゃん、イサミちゃん。忘れてるかもしれないけど、イサミちゃんはあの洞窟でかなりの数を入れてるわよ?』
「そうだった!?」
あの後は忙しくて、忘れていたが右手はすでに疼いているんだった。早速、疼きを解消させるために俺は豊穣の息吹を発動させようとすると…。
「あの、すいません、まだですか~?」
結構近くの背後から、男の冒険者の声が聞こえてきた。先に行ってくれと言ったはずだが待っていてくれたようだ。ありがたいことだが、今は…。
「ぐ、ぐぬぅおお!?」
なんというか、男があれをしているときに母親が扉越しに声をかけて来た時の感じで、発動させてすっきりしたいのに発動できないそんな感じになってしまった。ぐぬぅ、し、仕方が無い。また今度の機会まで我慢するしかないな…。
その後、俺は皆と合流して森を出た。1人だけ、必死に右手を押さえてうずうずしている者がいたがそれに気付くものは幸い?にいなかった。
---自警団本部---
「この度は、本当に申し訳ない!!」
机に頭をぶつける勢いでナタルスさんが頭を下げてきた。その姿に俺やエルミア、渡辺さんは勿論、一緒に受けた冒険者達も驚いていた。
「報告によれば、ゴブリンの数は50体近くだとか。これは明らかにブロンズのたった3パーティので解決できる問題ではありませんでした。それを私は知らずとは言え…」
「き、気にしないでください…とは言えませんが、そこまで気を落とすことはありませんよ。」
「ですが、私の判断で、1つのパーティが…」
「冒険者ギルドのルールにも依頼によっては内容以上の依頼が発生している事もあると記載されている。その場合、逃げてもちゃんと報告すれば罰にはならず、挑んだ場合は自己責任となると言うのは冒険者なら皆知ってるわ。」
「(え!?俺知らないよ!?)」
俺1人の驚愕を他所にナタルスさんが少し涙目で「ありがとう…ございます。」と言っている。…イケメンは涙顔でもかっこいいんだな。何時もなら「畜生!イケメン○ね!」とか言うものだが、この人は本気で申し訳ないと思っているみたいだから、そこまで負の感情は出てこない。
「まぁ今回、俺達はそんなに苦労してないですし…」
若い男の冒険者の1人が頭をかきながら答える。その人の仲間達もウンウンと頷いている。
「そうね。私もそこまで倒してないわ。今回一番頑張ったのはワタナベね。」
「え、えぇ!?でも私最後は気絶しちゃいましたし…。」
「それでも、一番ゴブリンを倒したのは貴方よ。」
そうなのだ。ゴブリンの群れは渡辺さんが放った氷の雨でほぼ壊滅させられたのだ。あれは恐ろしい魔法だった。
「勇者ワタナベ様、ご謙遜なされないでください。今回のクエストは貴方がいなければどうなっていたか…。」
「いや、そんな…。」
「え!?勇者様だったんですか!?」
まるで有名人に会った野次馬のごとく冒険者達が渡辺さんに詰め寄った。「すげー!」「本物…初めてみたわ!」などと言いながら握手やサインを求められている。俺とエルミアはお互いを見合ってどうしようかと悩んでいると、
「ゴホンッ!ワタナベ様が困っていますよ。そこまでにしてあげてください。」
ナタルスさんが止める事でその場が落ち着いた。その後は謝罪も含めて少し多めに達成金を出すと依頼書に記載してくれてからナタルスさんや冒険者の皆さんと別れた。
---冒険者ギルド---
「お疲れ様でした~!」
冒険者ギルドに戻ると依頼書とステータスカードを受付嬢に渡し、何時もの流れで受付嬢が処理を行う。
「はい、お預かりします。あっ、依頼達成報酬を増やすようにと依頼人から伝達が届いていますので、もともと銅貨大が5枚(500アルム)でしたが、え~っと、わゎ!銀貨小3枚(3000アルム)になっています!」
書類を見て驚いた受付嬢は「なんだか大変なクエストだったみたいですねぇ。」と呟きながら達成報酬が入った袋をとステータスカードを渡してきた。しかし6倍か…すげーな。
「それから、ゴブリンの討伐証である耳を提出してください。追加報酬を用意しますので。」
俺は渡辺さんを見ると、渡辺さんは頷いてから耳が沢山入った袋を渡す。袋を受け取った受付嬢は「お待ち下さいね!」と元気よく言うとカウンターの奥に行ってしまった。暫く暇になった俺たちは何をする事もなく、ただ待っているとエルミアが「ちょっと席を外すわ。」と何処かに行ってしまった。ふっ、俺には分かるぜ!あれはお花を摘みに…
「あの、勇さん。」
「(ん?)」
少し躊躇いがちに渡辺さんが俺に声を掛けてきた。
「えっと、いつ王都から出て行かれるんですか?」
「“確か明後日だよ。”」
「明後日…。でしたら明日、昼に中央公園でお会いできませんか?」
中央公園、その名の通りこのでかい王都のまさに中央にある大きな公園の事だ。宿からこの冒険者ギルドに来るときに見ることが出来るので一応、知っている。でも、なんで?
「あの、渡したいものがあるので…。」
「???」
なんだろう?と思っていると、エルミアが戻ってきて、タイミングよく受付嬢もカウンターの奥からやって来た。
「お待たせしました!凄い量でしたね!はい!これが追加報酬です!」
俺は受付嬢から追加報酬を直に受け取る。掌の上には銅貨大が4枚と銅貨中が1枚あった。日本感覚で言えば10円玉のような銅貨だけなので「え?これだけ?」と思うが、もともとのクエスト達成報酬が銅貨大5枚だった事を考えると大したモノなのだろう。
追加報酬を受け取った俺達は均等に分けた後、ギルドから出た。時間はすっかり夕方になっており、あたりからは晩御飯であろう良い匂いが漂っている。
「じゃあ、私はこれで。」
「えぇ、お疲れ様。」
「“お疲れ~!”」
渡辺さんは俺たちに頭を下げてからその場を後にした。渡辺さんがいなくなったその場には必然的に俺とエルミアの2人だけになった。
「さっ、帰ろう!イサミ!」
エルミアは手を伸ばしてきた。えぇっ!?これって手を繋いで帰ろうって奴ですか!?うひょ~!?
俺は緊張で手を震えさせながらもしっかりとエルミアの手を掴む。
「~~~♪」
どこか嬉しそうな鼻声をさせながらエルミアは横を歩いている。普段の俺なら歓喜している状況だが、今の俺は感動を通り越して緊張でそれどころではなかった。
「(ひ、人の一生は、重き荷を負うて遠き道をゆくがごとし!いそ、いそぐべからず。不自由を常とおもへば、不足ナッシング!!)」
俺は必死に汗をかかない様に誰かの名言を考えながら機械人形のように歩いていった。
最後の言葉は有名なあの人が言ったといわれる名言です。奥が深い言葉ですよね。(・´ω`・)書キタカッタダケ




