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転生ライフ!オークライフ!?  作者: エケイ
第四章 : 王都 クエスト
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森の中

今回は長めです。


 大きな爆裂音と共に俺たち三人は森の中に入っていく。森と言ってもたった三組のパーティで包囲しようというだけあって比較的小さい森…のはずだ。…地図だと小さいもん。


「2人とも、敵はゴブリンと言っても油断したらダメだからね?それに今回は私達以外にもクエストを受けている冒険者達がいるから間違って攻撃しないようにね。」

「“今更だけど、他のパーティの顔合わせしてないよね?もし、強盗とかと間違ったらどうしよう?”」

「こ、こんなゴブリンの集落があるかもしれない森に盗賊がいるとは思えませんよ。」


 渡辺さんが苦笑しながら俺の意見に答えてくれた。「(まぁそれもそうか)」と思っているとエルミアが少し難しい顔をしていた。


「いいえ、イサミの言う事にも一理有るわ。間違いなくクエストを受けた冒険者で、盗賊でないとしても私達を背後から襲うと言う事もありえると考えておきましょう。」


 その言葉にエルミアの人間の冒険者なんてあまり信用ならないと言った感情が読み取れる。まぁ、エルミアは一度危険な目にあってるからね。


 三人で辺りを注意して進むと、前方から何回か嗅いだ事のある臭いがする。一応剣士で一番前を歩いていた俺は手で2人を静止の合図を送る。2人は俺の意図を察したのか、それぞれの得物を構える。暫くすると臭いがした方向から走ってくる音が聞こえてくる。足音は複数、残念ながら俺には何人か分からない。臭いはきついから尚更だ。


「…4匹ね。最初に私とワタナベで左右の二匹をやるわよ?」

「は、はい!」

「(エルミアちゃん、すっげ!?よく分かるな。)」


 俺はエルフの聴力の凄さに感心していると、エルミアの言ったとおりに前方の草むらから4匹のゴブリンが出てきた。ゴブリンたちは草むらを抜けた前方で待ち受けていた俺達を見て驚いている様子だ。


「ギャギャギ!?」

「……ッ!」

「“水よ!その身を凍てつかせ槍となって敵を貫け!氷の槍(アイススピア)!”」

 

 エルミアは静かに構えていた弓矢を放ち、渡辺さんは呪文?を唱えて構えていた杖の先のマテリアから水を出現させて氷の槍を作成してゴブリン目掛けて発射する。


「ガギャッ!?」

「グゲヤァ!!」


 エルミアの放った矢は見事にゴブリンの脳天に直撃し、渡辺さんが放った氷に槍はゴブリンを腹ごと貫いている。二人とも見事としか言いようがない。


「ガガグッ!!」


 仲間をやられた怒りからか、残った2匹が俺目指して突撃してくる。俺はブロードソードを構えて待ち受ける。久しぶりのゴブリン戦だ、と言っても最初の森で戦ったゴブリンは弱っていたし、正攻法ではなく落とし穴などを利用して倒していた為、実質これが初めての本当の闘いと言える。


 最初に突撃してきたゴブリンが錆びてボロボロの剣を俺目掛けて振り下ろそうとしたので、俺は剣を横に構えてゴブリンの剣を防ぐ。ゴブリンは下手な形で突撃した攻撃を防がれた事で、体制を崩して地面に倒れ込んでしまう。そこに剣を突き刺そうとするが、もう一体が俺に攻撃をしようとするのが見えたので断念して地面に倒れたゴブリンではなく向かってきたゴブリンに向けて剣を横薙ぎに振るう。てっきり俺が倒れたゴブリンに注意を向けていると思っていたのだろう。向かってきたゴブリンは急な俺の攻撃に対応できずにいた。


「ギャッ――」


 声を発し終える前に首が遠くのほうに飛んでいく。頭を失った体は突撃してきた勢いのまま倒れ込み地面に倒れていたゴブリンの上に重なる。倒れていたゴブリンは「ギャギャギャッ!?」と慌てたような声を発して逃げようとしたのか慌てて上に乗った死体をどかそうとするが、その前に再度エルミアが放った矢がゴブリンの額に直撃し、物言わぬ骸に成り果てた。


「や、やりました!」

「えぇ!お疲れ様!イサミ!…イサミ?」

「……。」


 俺は暫くの間、倒したゴブリンを見ていた。この世界から来てまだそこまで時間は経っていないが、このゴブリンの死体をみて俺は初めてゴブリンと戦ったときの事を思い出す。そして、グッと握りこぶしを作って俺は1つの確信を見出す。


「(…よしっ!俺は…確実に強くなっている!)」


 ヤシロと言うとても強力な力…いや味方を得て、エルミアや渡辺の力を借りて勝ったのがゴブリン。そうたかが、ゴブリンだ。この世界では雑魚だろう。だが、俺が初めて死を恐怖させた相手を俺は慌てることなく確実に倒す事が出来るようになった。ゲームとは違う、1つの難しい壁を乗り越える事ができたという現実世界では味わう事が無かった本当に心のそこから歓喜するような達成感を俺は1人静かに味わっていた。


 油断なんかしない。殺す相手に手加減なんてせずに全力で挑む。それが死と隣り合わせのこの世界で、俺に死の恐怖や生きていく事、殺し合いの厳しさを教えてくれた者達への礼儀だから。



 

---討伐開始の合図が鳴る一時間ほど前---


「なぁ、本当に良かったのか?」

「んだよ?今更。」


 森の中を四人の若い冒険者達が進んでいた。その中で、盗賊のような動きやすいの格好をした男が先頭を歩く男に話しかける。先頭を歩く男は大柄な背中に大きな戦斧バトルアックスを背負っており四人の中で一番装備も整っていた。


「だってよ。作戦の合図の前に先に森の中に入っちまって…」

「ばぁ~か!もし先に他のパーティに手柄を取られちまったらどうするんだよ!」

「そうよそうよ!あんたは何時も臆病なんだから!男の癖に!」


 戦斧を背負った男の意見を肯定するように杖を持った若い女性が男に擦り寄りながら声を発する。男もまた女性の肩を抱いて近くに寄せている姿を見れば二人の関係はおおよそ想像がつくだろう。その光景をつまらないと言わんばかりに盗賊姿の男は2人に聞こえないよう静かに舌打ちしながら「へぃへぃ、すんませんでした。」と言って後ろのほうに下がる。もう1人の盾と剣を持った男性は静かに先頭を歩く男について行っている。


 確かに今回の討伐対象は群れとは言えゴブリンだから危険性はあまり高くない。女性が言うように少し臆病になりすぎていたかも知れないと盗賊風の男は考え、それからは文句を言わずに静かになった。


 暫く歩いていると前方のほうで動く影を発見する。ブロンズとは言えゴブリン討伐程度ならそれなりの数をこなして来た四人は慌てずに武器を構えてから進む。盗賊姿の男が先行して進みゴブリンの数を確認する。数は3匹、このパーティならば問題なく対処できる数だ。そう考えた盗賊風の男は指で少しは慣れた背後にいる三人にゴブリンの数を伝える。


「…3匹か。よっしゃ!問題ねぇ!お前ら行くぞ!!」


 戦斧を持った男が大きな声を出してゴブリンに対して横から突撃を開始する。盾と剣を持った男も頷いてつき従い、女も呪文を唱え始める。盗賊風の男は数が少ないとは言え近くにゴブリンの集落があるかもしれないこの場所で、数が少ないと分かった途端、大声を出して突撃し始めた男に呆れつつも、逃げ出して増援を呼ばれる前に倒すべく三人に加勢する。


「っしゃおらー!」


 戦斧の男の攻撃は大振りではあるものの、突然現れた冒険者達に驚いて録な対応も出来ずにいるゴブリンには効果的だった。男の攻撃はゴブリンの錆びた長剣を吹き飛ばし、返す刃でゴブリンに斬撃を与える事に成功する。


「ガガギギャ!!」


 男の攻撃は確かにゴブリンに致命傷に近いダメージを与えたが死ぬまでには至らなかった。胸を切られて血が止まらないでいるゴブリンの目は怒りで血走っており、死を恐怖どころか相手を殺す事しか考えていない。大振りな攻撃をしたため、僅かに崩した体制を整えようとしていた男に血を撒き散らしながら襲いかかろうとする…が、


「詰めが甘いんだよ!!」


 盗賊風の男が短刀で背後からゴブリンの首元を一閃して、ゴブリンの体がその場に倒れ込む。「ちっ。」と舌打ちをする男を横目に盗賊風の男は残りのゴブリンに目をやる。


「《火の玉(ファイアボール)!》」


 呪文を唱えた終えた女の魔法が剣と盾を持っていた男と戦っていたゴブリンに直撃する。レア度が低いマテリアによる魔法とは言え、火をまともに食らえばただではすまない。ゴブリンは顔一面を黒焦げにされて剣と盾の男に止めを刺される。


「さて、残りは一匹だな。ッはん!弱えな!所詮ゴブリンって所か。」


 肩に戦斧を携えながら男はゆっくりと残りのゴブリンに近づく。残っていたゴブリンは先のゴブリンよりも小さく他のゴブリンと同じ顔つきだがどこか幼い気がする。おそらくゴブリンの子供だろう。大人のゴブリンがあっと言う間に殺される光景を目にした子供ゴブリンは、ぼろくなった短剣を構えながらも震えていた。その光景の何が面白いのか戦斧を持った男が笑みを浮かべて近づく。


「オイ見ろよ!コイツ震えてやがるぜ?魔物の癖によ~!」

「ギャガグギャ!」

「はっ!そんな攻撃が当たるかよ!!」


 バカにされた事が分かったのだろう。子供ゴブリンは持っていた短剣を突き出して男に向かって走り出す。だが、攻撃が当たる瞬間に男は攻撃をかわして足を引っ掛けて子供ゴブリンを転ばせる。


「ガッ!?ガグギャ―――グギャアーー!?」


 転んだ子供ゴブリンを男は足で頭を踏みつけてから戦斧を足に目掛けて振り下ろす。辺りにゴブリンの緑色に似た血が飛び散り片足が吹き飛んでいった。


「ガギャーー!!」

 

 子供ゴブリンが悲鳴染みた声を上げながら暴れるが男が頭を踏みつけているため動けない。


「ハハハッ!魔物、それもゴブリン風情が人間様に勝てると思うなよ!」

「おい、早くそいつを殺せ。悲鳴を聞いた仲間のゴブリンがやって来るだろうが。」

「バーカ!むしろ来てくれたほうが探す手間が省けるってもんだ!」

「さすがね!私達がゴブリンなんかに負けるはずないし、今回のクエストを達成すればシルバーになれるかも!」


 「おう!その時はパーッとやろうぜ!」と女と楽しそうに話している2人を盗賊姿の男は頭を抱えながら見つめていた。また文句でも言ってやろうかと思っていると突然轟音が辺りに鳴り響き、強い振動が押し寄せてきた。


「ひっ!?」

「な、なんだぁ!?」


 その場にいた全員が空を見上げると少し遠くではあるが大きな炎の塊が破裂した後のような煙が空に漂っていた。


「もしかして今のが合図か?それにしちゃ馬鹿でかい威力の合図だな…。」

「~ッ!まだ耳鳴りが止まらねぇ。ったく、もうちょっと現場の人間の事を考えろってんだ!」

「(いやいや、ここに居るのは俺達が独断先行したからだろうが…。)」

  

 耳穴を指でほじっている男に文句を言いたかったが結局、俺もついて来ている為、そこまで文句は言えない。このクエストが終わったらまたソロにでも戻ろうかなぁと考えていると戦斧を持っていた男の足元にいた子供ゴブリンがいなくなっている事に気付く。男も気付いたようで、あたりを見渡すと少し離れた場所で体を這い蹲るように進んでいる子供ゴブリンの姿を見つけた。


「てめぇ!何逃げようとしてやがる!!」


 逃げられた事にイラついたのか、怒声を上げながら子供ゴブリンに向かって走り出す。這いつくばって進む距離などたかが知れている。すぐに子供ゴブリンは追いつかれて腕に戦斧が振り下ろされた。


「ギャギャーーー!!」

「てめぇ!餌が勝手に逃げてんじゃねぇよ!」


 一本の腕では怒りが収まらなかったようで、残った片方の足を切り落とし、背中に向けて何度も戦斧を振り下ろす。幸い、いやゴブリンにとっては不幸だが男もゴブリンを仲間を呼ぶ餌と使うために殺さない程度の攻撃を繰り返している。


「っち、魔物と言えど子供相手に何やって…ん?」


 流石に見ていて不快になる光景だったので盗賊風の男は蛮行を止める為に足を進めようとしたとき、僅かに振動を感じた。先程の振動とは違い、注意を払わないと気付けないほどの小さなこの振動は…。咄嗟に盗賊風の男は地面に耳をつける。そして気付く。


「…ッ!?おい!そこまでにしろ!」

「あぁ!?止めんじゃ――」

「ゴブリンの群れがこっちに来ている!すぐに隠れるぞ!この数は俺達には無理だ!!」

「なんだと!?」


 戦斧を持った男は盗賊風の男の言葉を聞くや否な攻撃の手を止めて、合流する。盗賊風の男はもう一度、地面に耳をつけて向かってくる方向を確認する。…全方位とは言わないが何故今まで気付かなかったんだと言えるぐらい近くまで来ている。これでは逃げるにも近くの草むらに隠れるにも無理がある。となると、


「残された手段は…おい!木に登れ!木の上でゴブリンの群れをやり過ごす!」

「あ、あぁ、分かった。」

「ちょっ、私木になんか登れな…」

「急げってんだ!」


 盗賊風の男はもたもたしている女をしたから持ち上げて先に上っていた剣と盾の男に手渡す。戦斧の男も苦戦しながらも木に登り始めている。盗賊風の男もまたすぐに木の上に登り、全員が登り終えたのを確認すると静かにするように指で伝える。 


 ……一時の静寂が森の中を包み込む。だが、暫くすると辺り一面から乱れた大勢の足音が聞こえ始める。その数は10や20ではない。少なく見ても40近くはいた。そんなゴブリン達の行軍を木の上から冒険者達4人は静かに見つめる。


「(おいおい!こんなに数がいるなんて聞いてないぞ?これはブロンズクラスの三つのパーティで捌ききれる数じゃない。)」


 盗賊風の男が冷や汗をかきながら下を見る。他のメンバーも同じ事を考えているのだろう。誰一人お互いに目を合わせるどころか身動きひとつ取らなかった。


「ガギャギャ!!」


 突然、走り進んでいたゴブリンたちがまさに冒険者達がいる木の下付近で歩みを止める。そして、何かを嘆くような声を発し始めた。


「ガガググ!!」

「ガギャァ…。」


 見れば、先程まで戦斧を持っていた男が攻撃していた子供ゴブリンの周りにゴブリンたちが集まっていた。皆悲しむように声を発し続ける。


「(ゴブリンが、魔物が仲間の死を悲しんでいる?)」


 今まで戦ってきた魔物達から想像も出来ない事が、まさに下で起きている。一体このゴブリンたちは一体なんなんだ?と盗賊風の男が考えていると、突然ゴブリンの群れが割れるように左右に別れた。「(なんだ?)」とそこにいた全員が奥を見つめると、ゴブリンたちよりも一回りほど大きな体格をした何かが此方にやって来ていた。何かという表現にしたのは誰もその正体が分からないからだ。


「(お、おい!なんだよあれ!あんな大きなゴブリン、いや…一つ目のゴブリンなんて見たことねぇぞ!?)」


 戦斧を持った男が小さな声で全員に話しかける。だが、その問いに答えられる者は誰もいなかった。


 一つ目のゴブリンは子供ゴブリンの元に近寄ると、ゆっくりと子供ゴブリンを抱き起こす。子供ゴブリンは最早虫の息で助からないのは一目瞭然だった。


「ギャ…ガギェギャ……。」


 それが子供ゴブリンの最後の言葉になった。四肢の殆どを切り落とされ、最後に残った腕を必死に震えながら一つ目ゴブリンの顔に伸ばそうとしたが、もう少し届く前に力尽き、地面にその腕を落とす。


「ガ…ググ…。」


 一つ目のゴブリンは最後の最後まで苦しみながら死んでいった子供ゴブリンの体を震えさせながらギュッと抱きしめる。何度もすまなそうな震えた声を発しながら。その光景を周りのゴブリン達も静かに見守っていた。そんな時、


「キャッ!?虫ッ!!」


 小さい、恐らく無意識に上げてしまったであろうその悲鳴は普通の女性が上げる悲鳴に比べればとても小さな悲鳴だった。だが、この場においては十分すぎるほどの音量だった。


「「「ガガガギャ!!」」」


 一斉にゴブリンたちが俺達を見上げる。無数のように錯覚してしまうぐらい、数多くの殺気を込められた瞳に見つめられ、他の仲間が慌てる中、ただ1人盗賊風の男は1つの魔物のみを見つめていた。否、目を離すことが出来なかった。


「……オマエ…タチガ…。」


 子供ゴブリンをゆっくりと優しく地面に降ろしたそのゴブリンは、得物と思われる小さな大人1人分ぐらいの大きさのある棍棒を握り締めると此方をゆっくりと見上げてこれから殺すべき相手を見つめるだけで殺すぐらいの視線で睨みつける。


「オマエタチGAAAAAAAAAAA!!!!!」

 

 盗賊の男は不思議なくらいに落ち着きながら、このまま無事に帰ることが出来ない事を静かに悟った。

 


話が長く読みづらくなってしまい、申し訳ないです。m(_ _)mソーリー

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