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転生ライフ!オークライフ!?  作者: エケイ
第四章 : 王都 クエスト
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秘密

今回は長めです。

誰だって嫌な事が有ると、全てがどうにでもなれって思ったときは有りますよね?ね?(。・ω・)ノ゛

「えっ!?」

 

 思わずまたしても声を出してしまう。だって仕方ないだろう!今まで通じなかった言葉が通じたのだから。…いや、まてよ?そういえば渡辺は俺と同じ日本からやってきたんだから日本語が通じてもおかしくない、むしろ通じて当たり前だ。エルミア達には通じなかったのと人前では余り声を出さないようにエルミアに注意されていたから話しかけなかっただけで、最初から渡辺とは話すことが出来たのか。(注意!イサミは、自分が豚声で話していることに気付いていません!)


 2人して暫くの間、無言になる。何から話せば言いのだろう?日本語を話している時点で最早唯のオークでは無い事はばれている。ならば、いっその事俺が山県 勇だと伝えるか?いや、でもエルミアが言うように俺に危険が及ぶ可能性がある。下手をするとエルミア達も危険な目にあうかもしれないの。それだけはなんとかして避けたい所だ。でもどうやって日本語について説明すればいいんだ!?


「イサミさん…、あなたは本当は喋る事が出来たんですか?」

「えっと…ともかくこっちへ!」


 いつ人が通るか分からないここではまずいと感じたので、脇道の方へと渡辺さんを誘導する。え?傍から見たら犯罪臭がするって?言わないで!?とりあえず、脇道に連れ込んだ俺は改めて周囲に人がいない事を確認してから渡辺さんと向き合う。


「渡辺さん、俺が日本語を話せる件についてだけど…。」

「日本語!?どうして日本語を知っているんですか!?」

「えっ!?」

「えっ!?」


 おかしい。何かがおかしいぞ?渡辺さんはてっきり俺が日本語を話しているから驚いたと思ったのに、この驚きは日本語と言う言語自体を知っていることについて驚いている感じだ。


「えっと、聞きたいんだけど渡辺さんって今俺が話しているのって日本語だよね?」

「え?は、はい。確かに聞こえるのは日本語ですけど、どうやら私達はこの世界の人たちの言語を理解する力を与えられているみたいなんです。だからこの世界から来てから会話には不自由していないんです。」

「あー、そうなんだ。つまり俺が今話しているのは日本語か或いは違う世界の言葉か分からないってこと?」

「そ、そうなります。」


 なるほど、なんとなく想像はしていたが、やはり召喚された人間は異世界言語理解的な力をこの世界に来たときに与えられているのか。そうなると何故俺だけ聞き取りは出来るのに話す力が無いのかが不思議なところだ。


 ん、あれ?聞き取りに関しては不自由してないって事は、もしかして自分が話している言葉は日本語じゃないかもしれないってことか?ま、まさかオークだから豚のような鳴き声だったり…いや、まさかね!前に会ったオークですら声は片言でも豚の鳴き声じゃなかったし、俺も…


『ん?イサミはずっと豚の鳴き声で喋っていたが?ブヒーと。』

「(ノオオオオォォォ!!!????)」


 俺は頭を両手で抱えながら心の中で絶叫する。何?つまりはじめてエルミア達に会ったときには豚の鳴き声で話しかけたってこと?そりゃあ警戒されるわ!日本語すら最早喋れず豚の鳴き声しか出せない俺の異世界ライフ…詰んでね!?コレで女性に好かれるって無理だろう!!あぁ!最早俺には、オークの女性にアプローチするしかないのか…そんなのいやだぁ!!


「あ、あの、大丈夫ですか?それで、どうしてイサミさんが日本語を知っているんですか?日本と言うのはこの世界でも一部の人しか知らないことなんですが。」

「…あぁ、…それは俺も日本から来たからだ。」

「えぇ!?じゃ、じゃあやっぱりイサミさんは山県 勇さんなんですか!?」

「…うん、そう…。」

『お、おい!?イサミ?』


 このときの俺は自分でも呆れるぐらい、全てがどうでも良くなっていた。馬鹿だなぁ~と思わないでくれ。俺はこのとき本気で落ち込んでいて全てが嫌になってどうにでもなれと思ってしまっていた。それこそ、秘密にすべき事を暴露してしまうぐらいに。


「やっぱり!!でもどうしてオークになってしまったんですか!?」

「…さぁね。」

「もう!勇さん!しっかりして下さい!」


 やる気のない返事に少し苛立った声を発する渡辺さん。その声に少しだけ俺はやる気を取り戻す。そして自分が言ってしまった事について改めて気付く。


「あの、渡辺さん。このことは誰にも言わないでくれ。」

「え?あっ!はい、もちろん誰にも話したりしませんよ。危なくなるかもしれませんもんね。でも、彩華さんぐらいには…。」

「ダメだ。本当は渡辺さんにも知られたくなかったんだからな。」


 少し強い口調で渡辺さんを説得する。少し前の自分に渇を入れたくなったが、やってしまったものはしょうがない。今は出来るだけ秘密の漏洩を防がなければならない。…心配してくれている彩華には悪いが、俺はこの世界で世話になった人たちを俺が原因で危険な目には合わせたくない。


「良いね?渡辺さん?」

「わ、分かりました。」


 オークの顔で迫った事が悪かったのか、少し怖がったような顔で頷いてくれた。「うん。」と俺は呟いてから渡辺さんから一歩下がる。


「ごめんね。なんか脅迫したみたいで。」

「い、いえ、いいんです。イサミさんの考えも分かりますから。あ、明日もクエストを受けられるんですか?」


 明らかに話題を変えてきた。だが、俺はその事を気にせずに会話を続ける。


「あぁ、明日も幾つかクエストを受けようと思う。」

「で、でしたら、私もご一緒しても良いですか?イサミさんの正体を知った以上、彩華さんの代わりに私が力をお貸しします。」

「(うーん…。)」


 俺は悩む。出来る事なら、勇者である渡辺さんと過度な接触はしたくない。でも、俺を心配してくれて純粋に助けてくれようとしてくれる気持ちを無碍にするのも忍びない。


「(ヤシロ、どうしよう?)」

『まぁ、問題ないのではないか?数日後にはイサミはこの町を出るのであろう?それに初心者の冒険者が先輩の冒険者に教えてもらっているという事にしておけば良いのではないか?』

「(さすがヤシロさん!頼りになるぜ!)」


 俺はヤシロの考えを採用する事にして、内容について渡辺に説明する。


「…という事なら。」

「わ、分かりました。それで問題ないです。それじゃあ、明日迎えに行きますね!」

「よろしく頼む。」


 俺と渡辺さんは明日もう一度、宿(タカナミ)で会う約束をしてからそこで別れた。ヤシロ達以外と言葉で会話したのは本当に久しぶりだったので、俺は少し嬉しい気持ちになりながら宿に向かって歩き出した。   



---渡辺---


 


 勇さんと別れた後、私は寄り道せずに王城に辿りつきました。「お帰りなさいませ!ワタナベ様!」と入り口で警備している人たちに挨拶しながら私は自分の部屋に向かいます。この王城は本当に広いので下手に知らない道に行ってしまうと道に迷ってしまいます。


「ふぅ、今日も疲れました。」


 部屋に着くと、装備していた杖や服を脱いで楽な服装に着替えます。この部屋は元の世界の私の部屋よりもかなり広くて服を仕舞ったりするタンスも大きいものばかりです。未だ少し慣れない部屋で着替え終わった後、私は今日の報告をするために彩華さんの元に向かいます。


「はぁ…、なんて言おう。」


 報告、それは冒険者ギルドに人間の"山県 勇"が登録しに来ていないかと言うものだった。今日は私が冒険者ギルドに聞きに行く日だった。


「(内容はいつもと同じで、登録された経歴は無しと言うもの…だったはずなのに…)」


 何時ものようにネルナさんから報告を聞いてからギルドを後にしようとした時、背後から大きな声が聞こえたんです。見ればかっこいい若い男性の方が全身ローブに包まれた長身の男性に向かって大声を出していました。すぐにローブの男性が、イサミさんと気付いた私は勇気を出して会話に入っていったんです。


「(いま思うと自分でも驚くぐらい無茶な行動したなぁ。でも、本当に驚いたのはその後…)」


 イサミさんを助けた後、ギルドはお祭り騒ぎになりました。私は一杯のジュースを奢ってもらってからイサミさんと一緒にギルドを後にしたんです。そしてその帰り道で私はイサミさんの正体を知ることになりました。なんと、イサミさんの正体は私たち、いえ彩華さんが必死に探していた山県 勇さんだったのです!


「(前からオークにしては、人間らしいと言うか、オークに似つかない賢さを持っているなぁと思っていましたし、何よりも名前が勇さんと一緒だと言う偶然からして怪しいとは思っていました。)」


 私の予想通りイサミさんは私達と同じ世界から来た人でした。なぜオークになっているのか、話せないふりをしていたのか分からないところは多いですが、これで彩華さんを安心させられると思ったのです。でも、イサミさんからはこの事を秘密にしてくれと言われてしまったのです。


「(エルミアさんの考えも分かります。でも…彩華さんは本当に勇さんを心配していたんです。)」 


 彩華さんはこの世界に来たときに、私達を纏めてくれた人です。元々生徒会長という責任ある立場にいた事もあってか、常に私たちのことを気にかけてくれました。


「(例えば…)」


 この世界に来て最初に挫折しかけた事、それは魔物との戦闘です。弱い魔物と言っても血が通っている生物である事は変わりありません。この世界に召喚された時の恩恵のおかげで戦闘そのものはこの世界の人間より有利に進める事が出来ました。しかし、魔物を殺したとき、いえ、斬ったり魔法で攻撃したときなどに魔物からも血が出ました。それも大量に。


 初めて感じた殺し合いと言う空気。周りには私達よりも強い人たちが護衛してくれているため命の危険は少ないですが、それでも命の奪い合いと言う行為に嫌になるという人たちが出るのは仕方ないと言うものでした。


「(かく言う私も、その1人なんですけどね。)」

 

 私も初めて人型ともいえる子鬼ゴブリンを殺したとき、大量の血が私の手や顔に付いてしまいました。そして目の前には私の魔法で腹に穴が開いた子鬼ゴブリンが倒れているのを見ると私が殺したのだと改めて認識すると、急に体が震えてしまいその場に座り込んでしまいました。


 何も見たくない、聞きたくないとでも言うように目をギュっと閉じて、両手で耳を防いで目の前の死体を忘れようとしましたが、脳裏に焼きつかれた死体の光景が何度も蘇ります。ついに吐き気が止まらずに思わず今朝食べたものを吐き出してしまったその時、


「大丈夫?」


 背中に手をおいて優しく擦ってくれたのが彩華さんでした。私はずれた眼鏡の位置を直し、涙でぼやけながらも彩華さんを見る。そのときの顔は今でも忘れもしません。私の背中を擦りながら心配そうに覗き込んでくるその顔はまるで女神様だと思えるぐらいに、女性の私でも心がドキッとしてしまうぐらいに綺麗な顔でした。


 呼吸が落ち着いた私は、頷いてから立ちあがる。目の前には変わらず目を背けたくなるような死体がありました。ですが、彩華さんが肩に手を置いてくれる事で、ようやく私はこの世界での戦闘での覚悟を身に付けることが出来ました。


「(彩華さんは本当に凄い人です。私達のほとんどが挫折しかけた事を難なく成し遂げて、私達の目標として手助けしてくれました。でも…)」


 戦闘においては誰よりも強い彩華さん。この世界で貴族と呼ばれる人たちにセクハラ紛いな事をされた時、真っ先に助けてくれて、貴族を私たちの変わりに粛正してくれた彩華さん。そんな誰よりもカッコよくて綺麗な彩華さんでも、とても弱々しい姿を見せることがありました。それが、勇さんの行方についてでした。


 この世界に来たとき、一緒の教室にいたはずなのに、この世界に来たときにはいなかったと言う勇さん。副会長の佐々木さんや書記の竹中さん、特に風紀委員長だった鈴木さんは勇さんのことを忘れたほうが良いと言って彩華さんを説得しようとしていました。


 冷たいようですが、平和な日本にいた人が何もないところに召喚されたとすると魔物が存在するこの世界では生存が絶望的です。だから、私も皆も彩華さんを説得しようとしました。でも、普段は皆の意見を尊重して纏めてくれる彩華さんは、この事だけは頑なに諦めませんでした。


 忙しい毎日の中、時間を作っては王宮魔術師筆頭のアレイさんや冒険者ギルドに連絡を取って勇さんが来ていないか、情報がないかを確認していました。しかし、月日が経つにつれて、私にも伝わってくるぐらいに彩華さんの焦燥が大きくなっていき、元気が無くなっていきました。皆、元気にさせようと声を掛けたりしましたが、意味も無く、唯1人諦めずにいる彩華さんを見ている事しかできませんでした。


「(そんな彩華さんが、急に元気になったのは勇さんから手紙が来たときでしたね。)」


 朝早くから、元気一杯に私達に勇さんの生徒手帳を見せてくれた彩華さんを見たときは、本当に良かったと思う気持ちと一緒に少しだけ、勇さんが羨ましく思えました。


「(これだけ彩華さんに思ってもらえるなんて…女の私でも羨ましいです。)」


 それからの彩華さんは今までも元気の無さが嘘のように、この世界に来たときと同じぐらいに元気になられました。でも時折、勇さんの生徒手帳を眺めながら寂しそうな顔を見ると早く勇さんを見つけてあげたいと思ったものです。


「だからこそ…、どうすればいいのか…。」


 少し前の私なら喜び勇んで彩華さんにこの事実を伝えたでしょう。でも、エルミアさんの考えを聞いた後では素直に教えて良いのか?と思ってしまうんです。


 そうこう考えている内に私は彩華さんの部屋の前にたどり着きました。私は、どうしようかと考えているとしばらくの間、部屋の前で立ち尽くしているとガチャっと目の前の扉が開きました。


「ッ!?」

「ん?お前は…たしかワタナベだったな。」


 目の前に現れたのは、綺麗な金髪でしており、目付きは鋭いが幼いながらも見る者を惹きつけるような精悍な顔つきをした少年だ。殆どの女性が通り過ぎる際振り返るであろうこの少年の名前を私は知っています。


「こ、これは、ルイン様。」


 私は慌てて一歩下がってから頭を下げて名前を口にする。ルインと呼ばれたこの少年こそ、この国の王の息子の1人で王位継承者の中で最も有力である第1位のルイン・セルジューク・ラウムその人です。


「そのように堅くなる必要は無い。今の私は唯の客人であるのだからな。アヤカに用か?」

「は、はい。今日の報告に…」

「あっ!渡辺さん!」


 ルイン様の後ろから彩華さんが顔を見せる。彩華さんは今日私が来る事を知っていたので、特に慌てた様子も無く私を部屋に招きいれてくれました。


「むぅ、俺が先にアヤカと話していたのだが…」

「ごめんね、ルイン君。今から渡辺さんと大事な話があるから。」


 「むぅ~…。」と先程とは違い、少し頬を膨らませて年相応の顔を見せるルイン様。本来ならばどのような理由があろうとも、王族、それも王位継承者第1位であるルイン様を話があるからと退出させる事はありえないし、あってはならない事だと思います。実際にそんな事をすればルイン様に激怒されて不敬罪として罰せられるでしょう。ですが


「わかった。では俺はこれで帰るよ。アヤカ、また今度一緒に話そう。」

「うん、いいよ。お休み、ルイン君。」

「お休み、アヤカ。」


 ルイン様はとても嬉しそうな顔をして別れの挨拶をしてから部屋を出て行きました。その顔は分かる人が見れば一目で分かるような顔でしたが、彩華さんの心を何となく察している私は何も言いません。


 ルイン様が出て行った後、彩華さんが期待に満ちた目で私を見てきます。うぅっ!?なんて伝えれば…。


「渡辺さん!どうだった?勇はいた?」

「ええっと…。」

「きっと勇はこの国にいるはずなの!だとしたらあのファンタジー好きの勇が冒険者ギルドに行かない筈がないわ。きっと冒険者で名前を挙げてやるって無駄にやる気出してるはずよ。勇ってバカだらさ!」

「あ、あの、彩華さん。ごめんなさい…、今日もその、まだ見つかっていないそうです。」

「…そう。」


 元気に話していた彩華さんが急に元気を無くすのを見ると、とても辛いです。正直に話すことが出来ればどんなに良いか。


「…彩華さん。」

「ん?」

「も、もし、もしですよ?勇さんが誰にも知られたくない状態で、もし知られたら命が狙われるといった状況だとしたら…それでも彩華さんは知りたいですか?」

「…どうしたの?渡辺さん。」


 後から思えば、答えそのものを言っているような質問。それでも、私は聞かずにはいられなかったんです。


「あ、彩華さん。教えて下さい。」

「…もしそういう状況だったら、私は知らなくても良い…かな?勇が生きていてくれれば私はそれで良いから…。」


 とても、寂しそうな顔をしながら話す彩華さん。その顔を見ているとすぐにでもお教えしたくなる。でも、それだと彩華さんの考えを否定してしまいます。


「どうして…そんな事を?」

「あっ!?いえ、ただ気になっただけなんです!これだけ探しても見つからないのは何か理由が有るのではないかと思って…。」

「…確かにそうだね。理由か…。」


 少し考えるように顎に手を添えて考える彩華さん。これ以上ここにいても仕方ないと考えた私は彩華さんの部屋から退出した。


「(ごめんなさい…、彩華さん。)」


超イケメン王子様登場、でも暫くは出てこないです。イケメンなんて優遇しないですぅ!(^Д^)



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